100年以上続く歴史ある街 Kensington Market|ボヘミアンタウン「ケンジントン・マーケット in トロント」特集

多国籍の移民が集い国際色豊かなコミュニティへと発展

 ケンジントン・マーケットの始まりは1815年にイギリス軍人のジョージ・テイラー・デニソンがスパダイナアベニューの西側に100エーカーほどの広さのBellevue Estateを築いたことに遡る。のちに彼はその土地の区画を分け、1850年代にイギリス移民へ、1860年代にアイルランド移民へと売り渡す。これを契機に移民が増加し、労働者がケンジントン・アベニューやオックスフォード・ストリート周辺に小さなコテージを築き始め、やがて中級階級のアングロサクソンが居住するエリアへと変貌を遂げていくことになった。

 1900年代初頭になると主に東ヨーロッパからのユダヤ系移民がこのエリアに流入し、文化的景観が大きく変化する契機となる。貿易や販売を拒否されたユダヤ系の人々はそれぞれの自宅前に露店を構え、近隣の人々に商品を販売し始めた。これが世界でも歴史あるマーケットエリアへと発展していくきっかけとなった。

2005年に国定史跡に指定

 他の住人たちも遅れをとるまいと次々とお店を構えていき、1960年代後期までには東ヨーロッパ、イタリア、ポルトガル、中国、東インド、アフリカ系カリビアンなど、世界各国からの移民が集う国際色豊かなコミュニティとなり、今日まで続くケンジントン・マーケットへと発展を遂げることとなる。現在でも多様な文化が混じり合い、ここにしかない独特な雰囲気を肌で感じることができる。2005年には国定史跡に指定され、景観保全も進められている。

個性あふれる建造物

 このエリアの特徴はなんといっても建設当時から変わらない1880年代から1960年代の多種多様な建築様式とその街並み。さまざまな様式の屋根、窓やドアの開閉方式、モールディング、建物の表面から見てとることができる。

 その他にも、主にビクトリア様式の長屋に拡張された店舗部分、レンガ、木材、ガラス、セラミック、金属、近代的な複合材料といった多様な資材、塗料や表面処理剤、昔ながらの様式と用途に合わせて変化した様式との絶妙なバランス、礼拝堂や公園などの特定の目的のために建てられたものが共存し、街角には目を引くカラフルなペイントアートも多く、ユニークな空間を生み出している。