カナダの企業家たちへ送る日本進出とその成功の鍵 JETRO主催 Let’s Talk Japan開催

パネルディスカッションでは積極的な意見交換が行われた


 3月26日、JETROの主催により日本進出を考えるカナダ事業家に向けたセミナー、「Let’s Talk Japan」がBennett Jones LLPにて開催された。海外投資家や企業関係者が日本展開を視野に入れる際、成功を収めるためにも疑問となってくるのがスタートのための壁や、ビジネスを維持する方法といった点だ。今回のセミナーではそのような疑問への鍵を提案するため、日本でのビジネスに知見の深い3人のカナダ実業家を招き、ディスカッションが行われた。会場には日本でのビジネスに関心のある方が集まり、同時に設けられたネットワーキングの時間と合わせて、皆熱心に情報を得ている様子が伺えた。

拡大する投資に呼応する日本の体制

 イベントのオープニングとして、JETROの酒井拓司所長より挨拶が行われた。JETROがカナダと日本のビジネスを繋ぐために貢献してきた実績や、今回のように日本のエージェントが海外において直接的に投資家と対話する機会の貴重性に触れ、イベントの意図が解説された。続いて伊藤恭子総領事より、近年拡大する日本への投資とそれを支える日本の体制をGDP等に基づき紹介。近年日本へ投資したカナダ企業も紹介され、日本がいかに成長余地と投資価値のある市場であるかと言った、ビジネス展開への利益を期待させる幕開けとなった。

左:挨拶を行う酒井所長 右:伊藤総領事の挨拶

 ディスカッションに移ると、登壇したのは司会進行を務めるJETROのジョニー・タン氏と、日本でのビジネス経験を持つエリック・デグルート氏(Icynene Asia Pacific Inc.社長)、ロバート・クレイン氏(Equiom Canadaコーポレート・ディベロップメントディレクター)、ロン・ディカランタニオ氏(iNAGO社長)の3名。長年に渡る日本でのビジネス経験を持つ彼らがそれぞれの経験を踏まえ、日本への投資について意見を交わした。

〝ものづくりの国〟で成功を収める鍵とは

 初めに議題となったのが、日本でビジネスを始める際に外国人投資家が直面する問題だ。ここでまず話題に上がったのが会社設立手続である。日本での活動経験の長い登壇者からは、当時の苦労話として資本金が10万ドル、代表取締役の日本在住条件、株式額面の最低金額要件を披露する場面となった。しかし規制緩和が進み、以前に比べて日本への進出が容易になっているというのが3者の同意するところであった。

 次に取り上げられたのが、会社設立後の事業展開と成功への鍵に関して。日本は海外企業との取引に乗り気ではない、あるいは外国人と仕事をしたがらないと言われることについてロン氏は「私はそんな経験は全くない。寧ろ外国人・企業であることでビジネスの扉が開くことになった」と話す。そして強調するのは、日本市場は何も特別な所ではなく、他国でのビジネス展開と同様に、その地に拠点を持ち、その国の言語で自社製品を説明し、問題が起きたらすぐ解決してくれることが事業展開には必要不可欠。そんな当たり前のことが出来ていない外国企業も多く見受けられるという。エリック氏は〝ものづくりの国〟である日本製品の高クオリティさにも触れ、「日本市場を飛び越えて中国・インドへ進出した方が楽なのではないかという数年前までの話は、他の市場にもそれぞれの問題があることがわかってきたことから、もうあまり聞かれなくなった。日本の製造・サービスの質は周辺国との比ではない」と語る。

セミナー後には日本酒も振る舞われた


 外国人投資家にとって大きな壁となるのが、英語を扱える人材を探すことである。特にマネジメントやソフトウェア開発等の専門知識を持つバイリンガルとなるとハードルは高い。ロバート氏は「日本には優秀な人材がいる。ただそういう人たちを小さな外国企業に集めるのはチャレンジングだ」と指摘する。また、日本で進む少子高齢化にも話題は及び、若い人材が不足する市場において自動化システムは大いに参入余地のあるマーケットであり、カナダが開発に力を入れるAI技術の参入余地が示唆された。

 続いて行われた質疑応答では多くの質問が寄せられた。最後に3名からは日本進出のためにはJETROを含め、現在利用できる出助けを最大限に活用するようアドバイスが贈られた。

JETROの提供する万全のバックアップ体制

 終わりに、JETROの江崎江里子氏より、JETROが提供するサービスについての紹介があった。特に日本に参入する海外投資家の一時的なオフィスとして機能するサービスであるIBSCは、コンサルティング等も含めた幅広いサポートを提供する。ビジネスの発展を手助けする場として機能するこのIBSCは日本の主要都市6箇所に設立されている。

 セミナー後に設けられたネットワーキングの時間では、参加者たちは積極的に意見を交える姿が印象的だった。海外への投資は事業化にとって魅力的かつ挑戦的なビジネスだ。その上過去と比較しても、それを援助する仕組みも今では充実している。今回のセミナーはJETROの活動が今後も日本とカナダのビジネスシーンを繋ぐ架け橋となることを確信させる、大変意義のある公演となった。