園長先生!気付けば息子も大きくなりました…第66回 「ぼーっとする時間のススメ」

第六十六回 「ぼーっとする時間のススメ」

23年前に誕生した「池端ナーサリー・スクール」。その園長であり創設者の池端友佳理さんのそばにはいつも日系三世のご主人・マークさんと現在24歳の健人くんがいた。母親であり、教育者であり、また国際結婚移民をした友佳理さんとその家族の笑いあり、涙ありの人生をシリーズで振り返ります。


TORJA読者の皆さま、明けましておめでとうございます。

この年末年始のホリデーシーズンを使って、自宅でのんびり休養されている方、日本に帰国されている方、冬を脱出して南の島でバカンスを楽しんでいらっしゃる方等々、様々でしょう。

私の夫マークはケータリングの会社を経営しており、12月いっぱいは猫の手も借りたい程の異常な忙しさで、私もナーサリーの仕事と掛け持ちで週末も休みなく借り出されていました。もうヘトヘトになっていましたので、クリスマスくらいは休むぞーーと思っていながらも、クリスマス祝日の連休は毎年恒例行事になっている親戚一同クリスマスパーティーを、今年も我が家で開催しました。

私もマークももうそろそろ歳ですから「体をこき使い過ぎだなぁー」と思うのですが、実はじっと出来ないのです。マークは物静かに見えるのですが、結構私に似ています。南の島へ行っても、海辺で波の音を聞きながら浜辺で寝そべる…なんて事が出来ないのです!よく驚かれるのですが、私達は毎日朝から晩まで何らかのスケジュールを入れ、一分一秒すらも無駄にしたくないと言う感じで一日中動き回っているのです。これはもう職病柄と言うよりは性分ですね。

夫婦揃ってこんなですから、健人が生まれた後も毎日忙しくしていました。健人が物心つく前からとにかく、健人相手に何かをして過ごす日々、時間。赤ちゃんの頃から、健人が寝ている時間以外、延々話しかけたり、遊んだり、どこかに連れ回したり。私自身が家でこじんまりと赤ちゃんと2人だけで過ごすなど出来ず、また健人には日本語の話せるお友達を作り、充実した時間を過ごさせてあげたいと望んでいましたから、私は健人が6ヶ月の頃から仕事を始めていました。

健人が小学校低学年の頃にはお稽古事を毎日の様に入れ、アイスホッケー、スイミング、日本語学校、音楽教室…等々、とにかく時間を無駄に過ごさせない事が私のミッションの様になっていました。おかげで、健人はスポーツもアートも勉学も満遍なく吸収する事が出来、全てに関して平均的に学べる環境にいられたと母として私は自負していたのです。

でも、健人は子供ながらに「のんびりしたい〜」と言っていた事があり、私はそれに対して「全く、子供らしくないなぁ」と思っていた程だったのです…。全く、今から思えばとんでもない母でした。
 
最近、こんな記事を目にしました。『子どもの育ちに必要なのは、ぼーっとする時間』…えっ?ぼっーとするの?びっくりです。

私は昔から健人がぼーっとしている様子を見たならば「そんなにぼーっとしてないで、何かしたら?」と言いがちでした。時間がもったいなく感じたからでした。

ぼーっとすると言っても、ただ単にテレビを見せておくだけとか、ゲームをさせておくという意味ではありません。

ぼーっとする、つまり、何かに意識を集中させていなくて心ここにあらずの状態で、目の前の作業とは無関係なことを考え始めてしまうことを「デフォルトモードネットワーク」と呼ぶそうです。その時、実は脳はぼーっとしていなくて、意識して課題に取り組んでいる時の「20倍」活発な活動をしていて、それが意識的な脳活動にとって非常に重要であることがわかってきているのだとか。ぼーっとする事によって脳のある部分が活性化され、色んな考えが湧いて来るのです。子供の場合、それはイマジネーションであったり、自分の好きな事だったり。それが自分で考えた遊びに繋がり、子供の創造性を豊かにするというものなのです。

また、ぼーっとする時と同じくらい脳を活性化させる効果に「落書き」もあるそうなんです。全く無意味な落書き、例えば自分のサインや抽象的なパターンを延々描き続けたり、広告の人物にひげを付けたり…と、この落書きが「思考する頭と、鉛筆を持つ手、さらに 紙に書かれた落書きを見ている目の間の相互のやりとり」を活発にさせるのだそう!

実におもしろいな、と思います。ぼーっとしている様に見える子供達は実は大人が考えている何十倍も脳を使っていて、それが人格形成にまで繋がっているとは!あ、もちろん、朝から晩までぼーっとし続けているのとはまた違いますけれどね。
 
あー、半世紀もじっと出来ずに生きて来て、今更うまくぼーっと出来るかどうかは分かりませんが、脳の活性化のために私もぜひ作ってみようと思います、『ぼーっ とする時間』。皆さまもぜひ取り組んでみてくださいな。


池端友佳理
京都出身。大阪の大学看護科を経て同大学病院の産婦人科で看護師として経験後、1990年に渡加。伴侶は日系カナダ人三世。一人息子(大学生)の母。1993年に自宅で池端ナーサリー託児所を開設。1999年日系文化会館内に池端ナーサリースクールを設立。園長を勤める傍ら、カナダ唯一の産後乳房マッサージ師として活躍中。

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