園長先生!気付けば息子も大きくなりました…第72回「ビューティフル・ネーム」

「ビューティフル・ネーム」

23年前に誕生した「池端ナーサリー・スクール」。その園長であり創設者の池端友佳理さんのそばにはいつも日系三世のご主人・マークさんと現在24歳の健人くんがいた。母親であり、教育者であり、また国際結婚移民をした友佳理さんとその家族の笑いあり、涙ありの人生をシリーズで振り返ります。



6月は池端ナーサリーの卒園式があり、多くの園児達が巣立って行きました。毎年の事なのですが、言葉も話せずおむつをしていた程の小さな頃から就学前までの間をずっと数年間に渡り見続けて来た子ども達の成長ぶり。その子達の練習に練習を重ねて来た卒園発表。その完成度の高さと素晴らしさで観客の感動と涙を誘います。私もこみ上げる想いで胸はいっぱい、溢れる涙で顔はボロボロ。

今年の年長組の卒園コンサートのテーマは「名前」。昔流行ったゴダイゴの曲『ビューティフル・ネーム』に振りを付け、歌い、卒園児と在園児クラスのみんなが自分の名前の由来を一人ずつマイクで発表します。両親の愛の元生まれて来た小さな命。その大切な命に愛と心を込めてつけられた素晴らしい名前。一人一人の名前に込められた想いを知れば知る程、またその子達が愛おしく感じました。

実は私の旧姓は千坂で、フルネームで千坂友佳理。よく、女優さんみたいな名前!と言われていましたが「名前負け」という言葉がある程で、見た目も性格も全く名前負け(笑)。控えめでおしとやかで楚々とした…イメージの名前だったはずなのですけれどね(名は体を表す…というのは大きな間違いです)。

佳い友達に恵まれるようにと両親が心を込めてつけてくれた名前だったのですが、そこはまさにその通り。子どもの頃から今に至っても、友人や周りの人達には本当に恵まれていて、名前でやはり人生まで決まるのかしらん?と、ふと本気で考えたりしてしまいそうになる程です。何が残念かって…私の苗字を全面的に変えてしまった事です(笑)。当時1990年代でしたから、結婚したら相手の苗字になるのが当たり前と思っていました。今から思えば、両方の姓を名乗っていたかったなぁ…と。どちらの姓も珍しく、下の名前同様、大切な由来や歴史がある訳ですから。

そう、名前の由来。日本語や中国語など、漢字で表すと漢字一つ一つに意味があり、苗字と名前との音の響きや字画数なども重要視されますし、日本でよく見受けられるのは、先祖代々から、または血の繋がった両親や祖父母から名前の一文字を次の世代に受け継ぐ形です。うちの息子、健人はその名前の通り、健やかな人になる様に…との意味はもちろん、父であるマークの日本語のミドルネーム「健二」の一文字をもらいました。

健人は自分の名をすこぶる気に入ってくれていますので、嬉しく思っています。また、自分の名前の由来やその時の親の気持ちが分かってくれていれば、子どもの想いも違うのかもしれないと常々思っていましたので、今回の卒園コンサートのテーマ、担任の先生達の想いを聞いた時、卒園式に子ども達から両親に伝える感謝の気持ちも含め、素晴らしい企画だと思いました。担任達は子ども達に「一人一人の名前に込められた両親の気持ちや想い、愛情を分かってもらいたい。お父さん・お母さんが子どもの事をどれほど大切に思っているかを知ってもらいたい」と考えたからです。

名前の由来にこだわるのは日本人(語)だけではありません。英語やその他の言語でも語源の意味があったり、バイブルなど宗教上の名前から引用されたりする事も多々あります。

また、私が日本にいた時は全く知らなかった名前の付け方として、自分の親族、両親や祖父母からそのまま名前を受け継ぐ、という形です。先ほど記した様に親から漢字一文字を継続する形はあっても、親と全く同じ呼び名をJr.として付けるのには不思議な感じがしていましたが、それもまた敬意を表する意味でステキだと思います。

お父さん・お母さんが付けてくれた大切な名前。今回は年長組全員が名前についてじっくり考える良い機会でした。自分の名前の由来をお友達に教えてあげることで、自分もまたお友達の名前を大切に感じる事が出来る。愛されている一人一人の事を考えることが、他人を思いやる気持ちに繋がって行く。そして、そのような感情を大切にすることで次の世代、自分の子どもに対しても同じ様に愛情を注ぎ、大切に育ててくれるのではないか…そんな風に思うのです。


池端友佳理ー 京都出身。大阪の大学看護科を経て同大学病院の産婦人科で看護師として経験後、1990年に渡加。伴侶は日系カナダ人三世。一人息子(大学生)の母。1993年に自宅で池端ナーサリー託児所を開設。1999年日系文化会館内に池端ナーサリースクールを設立。園長を勤める傍ら、カナダ唯一の産後乳房マッサージ師として活躍中。