園長先生!気付けば息子も大きくなりました…第75回「良くも悪くも…ネット時代」

「良くも悪くも…ネット時代」

23年前に誕生した「池端ナーサリー・スクール」。その園長であり創設者の池端友佳理さんのそばにはいつも日系三世のご主人・マークさんと現在24歳の健人くんがいた。母親であり、教育者であり、また国際結婚移民をした友佳理さんとその家族の笑いあり、涙ありの人生をシリーズで振り返ります。


突然ですが…うちの旦那さん、マークの携帯電話が先日盗まれてしまいました!(涙)

家の近くのコミュニティ・センターで彼の所属するスイミングクラブのトレーニング中の事でした。知る人ぞ知る、マークはアマチュア・トライアスロン選手のため、毎日トレーニングを欠かしません。そのため、色々なジムやトレーニングに関連するセンターには多々通っています。どこの更衣室でも鍵は持参し、きちんとロックしていたにも拘らず!という事でしたので、マークの怒り爆発…!40人程のスイミングメンバーが約1時間半の貸し切り状態のプール。なので、プールの更衣室へ出入りする人も限られているはずなのですが、当然更衣室には隠しカメラなども設置されていませんから、証拠を特定することは出来ません。また、驚くべきか、鍵は壊された訳でもありませんでした。ロッカーを開けて、ジム・バッグの中に入れておいたはずのバスタオルがバッグの外に出ていたのを見て、あれ?と、思ったところ、携帯は紛失しており、しかし、鍵がそのままだったので盗難を疑うべきか否か。自分の勘違いだったのか?など。家に帰ってすぐ確認。携帯紛失時、その所在を見つけられるアプリで探してみましたが、電源が切られており、機能しませんでした。やはり、盗難でした。

警察と携帯電話の関連の会社に連絡しましたが、なす術もありません。マークの鍵は4つの数字によるコンビネーション・ロックでしたが、その鍵をしていたにも拘らず、どうしてその鍵が壊されることなく、そんな簡単に暗証番号を見抜くことが出来るのものなのか…。

インターネットで調べてみたところ、信じられないことに、ご丁寧にもネット上の動画でその鍵の開け方が公開されていたのです!それも、鍵の会社や鍵の種類別での開け方!いや、本当にビックリしました。苦労して作成された鍵をいとも簡単に開けてみせて「こんな風に簡単に開けられますよ。気をつけてください」と注意を促す動画。それは、注意喚起と言うよりは、「ほーらね、私にかかればこんな鍵なんてお茶の子さいさい!」と、誇示しているかの様にも私には思えました。

この一連の流れを見て、ひとつ、恐ろしく感じた事がありました。それは、最近SNSで多く流れ、注意を喚起する子供に関する動画。『どれほど簡単にあなたの子供が誘拐される恐れがあるか?』動画作成者は試験的に、被験者となるべく子供の関心をありとあらゆる方法で引き、誘拐する手順を公開しています。

例えば、可愛い仔犬を連れて歩き「君は犬が好き?うちには仔犬がたくさんいるんだけれど、一緒に見に来ないかい?」とか、見栄えするスポーツカーに乗って「カッコ良い車が好きかい?この車に乗って一緒にドライブに行きたいかい?」という様な、甘い言葉で小さな子供から、少し大きな子供達まで言葉巧みに誘います。驚く程にホイホイひっかかって行く子供達の様子が動画に捉えられており、最後には「こんな風に簡単に子供達はひっかかるので注意する様に!」と注意喚起しているのです。

その動画を初めて見た時は、私自身ビックリする程、子供達が簡単にひっかかるので、半信半疑ながらも、確かに有り得るなぁ〜注意すべき点はたくさん有るなぁと思い、目からウロコの思いで見ていたのです。本当に何も考えずに、情報社会で得るものは多く、良いご時世になったもんだ、とその時は単純に考えていました。

しかしながら、マークの更衣室の鍵事件で考えは一転!

確かに、動画を流す本人は閲覧者の興味を引き、閲覧数を少しでも増やし、それによるスポンサー数を増やすのが目的。そう、私達閲覧者はそれを忘れがちなんです。

子供をお持ちの方には得益情報で良い様に見れば良い動画もたくさん有りますが、考えようによっては「こんな風に簡単に子供を誘拐出来ますよ」と、誘拐の手順を教えている様なもの。

このご時世、ありとあらゆる情報を手に入れることが出来る様になって、本当に世の中便利になったなぁ…と思う反面、裏を返せば、必要以上に提供し過ぎている情報。全く思いもよらない要らぬ心配もしなければならなくなって来たということでしょう。全く、何を信じて良いのかもよく吟味して行かないといけません。このネット時代に包み込まれた昨今。どんな時でも、子供との対話は絶対に途切れさせる事なく、〝両親の生きた言葉〟で子供には指針を示し続けて行ってあげてくださいね。


池端友佳理ー 京都出身。大阪の大学看護科を経て同大学病院の産婦人科で看護師として経験後、1990年に渡加。伴侶は日系カナダ人三世。一人息子(大学生)の母。1993年に自宅で池端ナーサリー託児所を開設。1999年日系文化会館内に池端ナーサリースクールを設立。園長を勤める傍ら、カナダ唯一の産後乳房マッサージ師として活躍中。