「日系カナダ人・新移住者の絆」| カナダ・トロントにある幼稚園の園長先生コラム。気付けば息子も大きくなりました…第76回

・新移住者の絆」

23年前に誕生した「池端ナーサリー・スクール」。その園長であり創設者の池端友佳理さんのそばにはいつも日系三世のご主人・マークさんと現在24歳の健人くんがいた。母親であり、教育者であり、また国際結婚移民をした友佳理さんとその家族の笑いあり、涙ありの人生をシリーズで振り返ります。


1967年10月に多国籍移民の国、カナダで移民法施行規則改正が発行され、新たな移民選考基準が導入された新移住者の年から今年でちょうど50年もの年月が経ちました。

過去、日系カナダ人が戦中戦後、全財産を奪われ様々な困難があったにも拘らず、また差別や偏見に見舞われても卑屈な様子は微塵もなく、見事な佇まいで生き、このカナダに日系人が幸せに暮らすことが出来るコミュニティを形成してきました。

そして、戦後の日本は経済発展国として急成長し、海外でも多くの日本企業や日本人が活躍する様になり、新移住者として移り住む人々もどんどん増えました。国際社会化が進み、日本は先進国として裕福なイメージだけでなく、その精神力と道徳心、伝統的文化も人気の部類となり、日本人に対しての印象も大きく変わりました。

私もカナダに来て27年が過ぎましたが、トロントに置ける日系コミュニティや先代の日系カナダ人の方々からは感謝してもしきれない程の恩恵を受けて来ています。また、トロントには世界でも数少ないトップクラスの素晴らしい日系文化会館があり、その中に日系コミュニティの未来の子供達の巣であるナーサリーを受け入れていただいた事によって、子供達とその家族がこのコミュニティの中にしっかりと根付き、多くの日系人と繋がる事が出来ました。 この日系カナダ人・新移住者の輪を広げ、またそれを後世に伝え、未来の新しい日系移民者達に日系カナダ人の歴史を知ってもらい、築き上げて来たコミュニティをより深い絆と共に継続維持していけるようにと、50年であるこの節目に日系文化会館にて記念パーティーが開催されました。

私もこのパーティーを主宰する実行委員会に参加させていただき、400人もの方々が出席される記念パーティーの準備から関与することが出来ました。このパーティーに参加された方々は同窓会気分で、美味しい料理に舌鼓を打ちながら、懐かしい想い出話に花を咲かせ、交流を楽しんでくださっていました。もちろん、私の家族も、マークの家族も出席し、楽しいひと時を過ごしていました。また、息子・健人並びに長年お付き合いしている彼女も、今では日系文化会館には馴染み深く、第二の我が家の様に感じ、多くの方々と歓談出来たと喜んでいました。現在、オンタリオ州警察官として日本語を生かしながらコミュニティに貢献出来る事も、元々は日系コミュニティから受けた恩恵への恩返しと言えるのかもしれません。私の主人マークは日系人三世であり、その両親や祖父母達は戦後大変な苦労をして来たと聞いています。それでも、家族や仲間が居て支え合って来たからこそ、今の幸せな暮らしがあるのでしょう。


パーティーの参加者を見ながら、ここに集まった人達は何らかの形でこの日系社会と繋がっており、支え合う仲間であり、また同志であり、ある意味一つの大きな家族なんだなぁ…としみじみ考えていました。

特に新移住者達は、日本の家族と離れ、右も左も分からないこの異国の地で新しい生活を始めないといけません。パートナーが日本人でない、または日本語を話さない人達は日本の文化や日本語に触れるだけでもほっこりすることが出来るのではないでしょうか。

私はマークが日系三世であり、仏教が背景の和食シェフであったため、日本人背景と食生活にも全く困ることなく、また決定的な息子の日本語教育にも協力的だったので海外生活も文化的には違和感もなく、大変楽な方でしたが、移民されて来た人の中には食生活や宗教の背景、子供の言語教育などで悩む人も多いことでしょう。
 
50周年記念パーティーの記念冊子に寄稿をされた、この50年をカナダで実際に過ごして来られた方の文章の中にもあったのが〝これからの子供達の日本語維持〟についての問題でした。カナダで生まれ育ち、カナダ人として過ごす子供達に日本語をどう継承して行くのか。今も昔も、私達日本人の親は子供達のことを常に想い、考え続けるのですね。

息子、健人は幸いにもバイリンガルに育ってくれましたが、今後私の孫の世代まで日本人としての文化や習慣、そして日本語を受け継いでくれ続けるのかどうかはもちろん定かではありません。しかしながら、確かなのは、私には支えてくれる仲間が日系社会に居てくれる事、その仲間は息子や孫の世代まできっと家族のような存在で居てくれるということで、そんな日系社会と仲間達に心より感謝の気持ちを伝えたいと思います。

皆さま、本当にありがとうございます!!これからもどうぞよろしくお願いいたします!!


池端友佳理

京都出身。大阪の大学看護科を経て同大学病院の産婦人科で看護師として経験後、1990年に渡加。伴侶は日系カナダ人三世。一人息子(大学生)の母。1993年に自宅で池端ナーサリー託児所を開設。1999年日系文化会館内に池端ナーサリースクールを設立。園長を勤める傍ら、カナダ唯一の産後乳房マッサージ師として活躍中。

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