私、国際結婚します!! でもちょっとその前に知っておきたいお話 #13 国際結婚、花嫁の父にインタビュー

国際結婚、花嫁の父にインタビュー

日本滞在中に「もし娘が国際結婚して彼の国に行きたいと言ったなら?」というテーマでインタビューを試みました。今回はその第2弾です。

「孫がハーフなのは嬉しい」などと、娘の国際結婚を歓迎するという親が多い一方、共同親権やハーグ条約に関する認知度はゼロだったとお話しましたね。国際結婚はイメージできても、海外での結婚生活など、想像できないのは当然です。

そこで今回は、実際にお嬢さんが国際結婚をしているという男性のお話を紹介します。「お嬢さんから国際結婚したいと聞かされた時のお気持ちは」という問いに対するお応えです。

「留学させた時からね、青い目の彼氏ができるかも、とは思っていました。でも、実際に連れてこられた時は、どうしていいかわからなかったですね。『お嬢さんをください』みたいなやつを期待していたわけじゃないですけどね。座敷で体育座りしている彼を見た時は、さすがに戸惑いましたね。ほら、あのひざ抱えて座るやつ。反対も何も、『結婚します』って報告でしたからね。個人主義って言うんですか。結婚は本人が決めることで親は関係ないとかで…」
 
お嬢さんが留学先の大学で知り合った白人男性と国際結婚して一年半、もうすぐお孫さんも生まれる、とおしゃいます。
「里帰り出産するんですよ。向こうじゃ手伝ってくれる人がいないとかで、しばらくこっちでのんびりしたいみたいですよ。外国での出産は心細いって言ってね。」

おやおや、個人主義はどこに行ったのでしょう。ともあれ、お孫さんの誕生とお嬢さんの里帰りを楽しみにしているご様子に水をさすようで、ハーグ条約を話題にするのがためらわれました。

そこへ、「ハーグ条約って子供が生まれる前に帰ってきた場合は関係ないんでしょ」とのご質問。さすがに国際結婚の当事者家族ならハーグ条約をご存知なんだなと感心しつつ、「お嬢さんの国際結婚に不安をお持ちなのですか」と、たずねてみた。

「不安、というか、帰ってきて欲しいですね。旦那も一緒に日本に引っ越してくれればいいな、と思っています。…国際結婚って、相手の国に住む方がどうしても損でしょ。だって、苦労するのはやっぱり外国で暮らす方ですよね。どちらかがしんどい思いをしなければならないなら、男の方がすべきでしょ。それに、日本にいれば、僕らが娘夫婦の力になってやれますよね。初めて出産するのに、誰も手伝わないっておかしいでしょう。日本にいれば、孫のめんどうも見てやれるし…」

なるほど、実際に娘が国際結婚をすると、いろいろと思いを巡らすものなのですね。海の向こうで暮らす大切なお嬢さんを思う親心が汲み取れます。

さて、この方のコメントをまとめると以下のようになります。あくまでも個人の意見としてご参照ください。
・国際結婚では、配偶者の国へ移った方が損をする(苦労をする)
・国際結婚はしんどいので、男の方がそれに耐えるべきだ
・しんどい国際結婚でも、日本で暮らしてさえいれば助けてやれる

娘の国際結婚に反対しなかった(できなかった)お父さん、最後にこう話してくれました。

「反対したってね、どうなるものでもないですしね。ハーグ条約なんて聞いたこともなかったですからね。うまくいかなかったら、帰ってくればいい、くらいに思っていました…ご近所にね、孫を連れて実家に戻ってきた娘さんがいるんです。 娘と孫が同居してくれるなんて、大歓迎ですよ。いえ、別に離婚してほしいと思っているわけじゃないですよ。でも、離婚も悪くないなって…」

日本における離婚に対する考え方は、大きく変わったようですね。三組に一組が離婚するというご時世、ダメならやり直せば良いと感じている人が増えているという統計を後ろ立てるお話です。

さて、「子供が生まれる前に日本に帰ってきた場合はハーグ条約は関係ない」というコメントは、まさにハーグ条約の盲点ですね。妊娠中に離婚した場合でも養育費問題などが発生するカナダですが、妊娠中の母親が国境を超える場合の対応に関しても、じっくり調べてみる必要がありそうですね。

ちなみに、日本やカナダのようなハーグ条約の批准国間では、親権や面会権を持つ子の父親の同意を得ずに子を連れて国境を越えれば、父親は子の返還請求を起こすことができます。国際離婚案件に経験を持つ弁護士に相談し、きちんと親権や監護権、さらには帰国後の面会交流などについての取り決めをしてから出国することをお勧めしたいです。

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kokusaikekkon160601野口洋美 心理学名誉学士(HBA)、コミュニケーション学修士(MA)
NPO法人APJW代表:別居や離婚を経験することになった日本女性の相互支援(ピアサポート)団体(web:apjw.info)の代表として、自立に向けての様々なテーマで勉強会を毎月開催。2015年、APJWはオンタリオ州のNPOとして承認される。国際離婚関連の執筆多数。離婚駆け込み寺(日加タイムス)、ひとり親のつぶやき(mamma、日系ボイス)など連載。2014年、国際離婚とハーグ条約をテーマにヨーク大学にて修士論文を発表。法律通訳としても活躍中。