私、国際結婚します!! でもちょっとその前に知っておきたいお話 #10 ゴール・インvs.インフォームド・チョイス

ゴール・インvs.インフォームド・チョイス

最近、ある方とのおしゃべりで、なぜか国際結婚が話題になりました。あちらは私の素性を知らないし、私も取材をしていたわけではありません。しかし今日は、この方が何気なく口にした「?年も付き合ったのに…」を軸に国際結婚について考えてみることにします。

まず、「?」にちょっと多めの数字を入れてみてください。あなたにとって「も」がつくにふさわしい数字です。日本語とはつくづく便利な言語です。「?年も付き合ったのに…」の後に何が続くかは、誰にでも想像がつくでしょう。

あえて例を挙げるなら、「5年も付き合ったのに破局した」「6年も付き合ったのにゴールインしなかった」などですね。しかし、この時とっさに私の口から出た言葉は、 「?年も付き合ったから、でしょ」でした。

交際期間とインフォームド・チョイス

長い交際期間は、国際結婚の成功と深いつながりがあるように思います。国際結婚するなら、できるだけ長く交際し、相手のことを知り、自分のことを相手に知ってもらいましょう。

長い交際を経て決めた道が、別離であれば、それは英断ですし、結婚ならば、門出です。どちらも二人の関係をよく吟味した選択です。これをインフォームド・チョイスと言います。つまり、自分の選択に責任を持つためには、自分が選んでいるものは何なのかをよく理解する必要がある、ということなのでしょう。

国際結婚を決める三種の神器?

 
物事をよく知るためには、「時間」「情報」そして「想像力」が必要です。これらが国際結婚を決める時にどんな役割を果たすのか、少し考えてみましょう。

まず、結婚という人生の一大事を決めるに際しては、十分な時間が必要です。これは、「だらだら関係を続けろ」と言っているのではありません。交際期間が長ければ、楽しいことばかりではなくなります。二人に何かしらの困難が訪れた時、互いの反応を見ることで、それぞれの限界を知ることができるのです。

例えば、 もしあなたが思いがけない事故にあってしまったら、相手はどんな思いやりを見せてくれるでしょう。もし相手が突然失業してしまったら、あなたはどこまで支えてあげることができるでしょう。

互いがどこまで互いをいたわることができるか、互いの短所をどのように受けとめることができるか、などは、短い交際期間では、見抜くことも、気づくこともできないに違いありません。

大切なことを決める時、もう一つ必要なことは、情報を集めることです。 相手の家庭環境や人間関係を知ることに始まり、様々な物事に対する相手の価値観を見極めることは、国際結婚には、死活問題です。

さらに国際結婚にとって欠かせないことに想像力があります。自分の描く未来のどこに相手がいるか、相手の目指す目標のどこに自分が位置するのか、などをイメージしてみることは、国際結婚の行方を示唆する有効な手段であると思います。

情報収集も想像力の駆使も、交際期間の短い二人にとっては、かなりむずかしいことです。これらは二つとも、相手に恋愛感情しか感じられない時期には、不可能に近いものかもしれません。つまり、国際結婚を決めるのに必要な時間の長さは、情報量、想像力に比例すると考えて良いでしょう。

ゴールイン?

ところで私は、結婚を「ゴールイン」と呼ぶことに大きな抵抗を感じます。なぜなら、結婚が二人のゴールであってはならないからです。「結婚すること」が目的だった結婚の前途は多難です。結婚することで何かが達成できると考えたのなら、結婚後の様々なチャレンジに戸惑ってしまうことになります。  

「彼はすっかり変わってしまった」や「こんなはずではなかった」などは、その典型と言って良いかもしれませんね。結婚前に互いの長所や短所に馴染みを持っていたなら、結婚生活の中で常に遭遇する相手の身勝手や自分の不機嫌と上手に付き合って行くことができるようになるはずです。

結婚がゴールではないのと同様に、結婚生活にゴールなどありません。結婚生活とは、どこまでいってもプロセスでしかないのでしょう。

そもそも、何がどこでどうなるか誰にもわからないのが人生です。しかし、時間、情報、想像力の三つを味方につけることで、いつ、どんなことが起こっても、何とか対処することができるようになるものです。

ゴールを目指すのではなく、インフォームド・チョイスを繰り返してゆくことこそが、結婚生活であり、人生そのものであるのかなぁ、と考えさせられました。

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kokusaikekkon160601野口洋美 心理学名誉学士(HBA)、コミュニケーション学修士(MA)
NPO法人APJW代表:別居や離婚を経験することになった日本女性の相互支援(ピアサポート)団体(web:apjw.info)の代表として、自立に向けての様々なテーマで勉強会を毎月開催。2015年、APJWはオンタリオ州のNPOとして承認される。国際離婚関連の執筆多数。離婚駆け込み寺(日加タイムス)、ひとり親のつぶやき(mamma、日系ボイス)など連載。2014年、国際離婚とハーグ条約をテーマにヨーク大学にて修士論文を発表。法律通訳としても活躍中。