東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い 第55回

トロントの日本食レストランでも良く見かける、岩手県の銘酒である南部美人。実は南部美人の蔵は2011年3月11日の東日本大震災で被災した蔵のひとつだ。南部美人の5代目である久慈氏は震災直後から日本酒を通じて地域復興に様々な取り組みを行ってきた。TORJAでは久慈氏が体験したこと、復興に向けての取り組みなどを寄稿してもらった。

日本では今、「貧困」問題が大きくクローズアップされています。若者の貧困、貧困の連鎖から抜け出せない子ども達、そしてシニアの貧困。

日本が一億総中流と言われた時代はもうとっくに過ぎ去り、6人に1人が貧困に直面しているというデータもあるそうです。

そんな貧困と東日本大震災は、密接に関連しているという報告が出ました。

東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県で家計が厳しく、修学旅行費用の補助など行政の就学援助の対象になった小中学生が、震災前と比べ1万7千人増の6万7千人に上ることがわかったと報道されました。岩手県は2772人、宮城県は1万547人、福島県は3706人増加という事です。

これは、震災後、保護者の生活再建が進んでいない影響とみられ、このままでは東日本大震災を理由とした金銭的理由で進学をあきらめたりして、貧困の定着化につながる恐れがあると支援団体は声をあげています。

東日本大震災は突発的な天災で、それまで普通の生活をしていた子ども達が、震災をきっかけとした親の離職や転職によって、貧困の目に合うというのは本当につらいことです。

就学援助は各自治体で基準なども変わります。住んでいる場所によって差が出ないように、国もかかわりを大きくしなければ、住んだ場所が悪かったというだけで、子ども達が抜けられない貧困に突入していくのは耐えられません。

まだまだそういった場所への援助や義捐金などはどんどん募集するべきですし、使っていくべきなのだと思います。

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さらに、こういった貧困との関係もあり、長く住んだ沿岸部に別れを告げて、内陸や都会へ出て行く家族も増えてきています。

幸いなことに今日本は、有効求人倍率も都会では1を超えていますし、選ばなければ職はたくさんあります。しかし、田舎や津波被害の大きかった沿岸部では就職も限られ、なかなか依然と同じ水準で生活できない人も増えています。

これも岩手、宮城、福島の3県で、小中学生が震災前から約2万5千人減少したデータも出てきました。12.2%の減少率で、全国の小中学生の減少率が5.2%なので、その差は歴然です。

もともと少子化が進んでいた地域に震災が追い打ちをかけた形になりました。
被災地では学校の統廃合が一層進み、慣れ親しんだ学校が消えていき、津波でまちも消え、学校も消え、あまりにも悲しい状態になっています。
岩手県も東日本大震災で大きな津波被害を受けた大槌町が、小中一貫校となり、新しい1歩を踏み出しました。

統合すればいい面もあるかもしれませんが、遠くから通う負担も増えます。しかし、減少率がこれだけ高いとどうすることも出来ず、ほかの地域よりも学校の統合はどんどん進むでしょう。それは地域のためになるのか、もう一度じっくり考える必要があると思います。


オンタリオ取扱い代理店:
nanbu-bijin-sakeOzawa Canada Inc
現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。
南部美人
http://www.nanbubijin.co.jp



kuji-kousuke-sake本文:南部美人 五代目蔵元
東京農業大学客員教授
久慈 浩介

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