東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い 第59回

トロントの日本食レストランでも良く見かける、岩手県の銘酒である南部美人。実は南部美人の蔵は2011年3月11日の東日本大震災で被災した蔵のひとつだ。南部美人の5代目である久慈氏は震災直後から日本酒を通じて地域復興に様々な取り組みを行ってきた。TORJAでは久慈氏が体験したこと、復興に向けての取り組みなどを寄稿してもらった。



東日本大震災の時に岩手県内で最も大きな被害を受けたと言える「陸前高田市」。岩手の一番南の沿岸部として、岩手の湘南とも呼ばれる温暖で穏やかな場所です。

陸前高田市は、このコラムでも何度も書かせていただきましたが、日本最北限の「ゆず」が生育しており、その「ゆず」を「北限のゆず」として、震災復興のモデルとして官民一体となって盛り上げています。

私も東日本大震災後は何度も陸前高田に入り、この「北限のゆず」を使い、「糖類無添加北限のゆず酒」というリキュールを造りました。

そんな陸前高田市ですが、震災以降から市長や国の方々が話をしていて、私も実現することを切望していた「高田松原津波復興祈念公園」が実現することになり、この度その起工式が行われました。


この祈念公園は東日本大震災の記憶と教訓を継承するためにつくられます。
そして、自然災害では国内初の国営追悼・祈念施設となり、県が整備する伝承施設も併設、有名な「奇跡の一本松」など、4か所の震災遺構などで構成されます。

震災から6年経過して、震災の記憶は間違いなく被災地以外の日本人から薄れて行っているこの現状の中、復興や防災への強い意志を国内、そして海外に発信して、地域のにぎわいを創出する目的を持つ大事業となります。

今回の起工式には関係者が約100名ほど出席して、田中良生国土交通副大臣からは「被災地が地方創生の良きモデルになるような復興の実現に向けて取り組む」とご挨拶がありました。

その後は田中副大臣や達増岩手県知事らがくわ入れで工事の安全を願い、地元の方々の和太鼓の演奏もありました。
この復興祈念公園は2019年に同じく被災地である岩手県釜石市で開催されるラグビーワールドカップを経て、2020年の完成を目指します。

復興祈念公園が建設されることで、被災地の祈りはさらに深まり、震災に対する意識の高揚、そして防災の備えなど、いつ、どこで起こるかわからない自然災害に対し、しっかりとした備えを考える機会につながります。

また、津波被害の被災地は、人口流出も激しく、陸前高田市も震災前から比べると、ほかの津波被害の無かった岩手県の市町村と比較しても、かなりの人がまだそこには戻ってきていないのです。

これは大きく考えると、私たちの住む岩手県の人口が大幅に減少する事につながり、私達のように津波が来ていない市町村も危機感を持たなければいけません。
復興祈念公園を核に、陸前高田市が震災以前よりも光り輝く街になる事を願ってやみません。

自然災害は日本に住んでいればいつでも、どこでも起こります。
私たちはその備えを万全にし、経験から学び、もしも次があったとしても、出来るだけ被害を最小に抑えるよう後の世代に伝え続けなければならない使命があるのです。


オンタリオ取扱い代理店:
nanbu-bijin-sakeOzawa Canada Inc
現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。
南部美人
http://www.nanbubijin.co.jp



kuji-kousuke-sake本文:南部美人 五代目蔵元
東京農業大学客員教授
久慈 浩介