東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い 第60回

トロントの日本食レストランでも良く見かける、岩手県の銘酒である南部美人。実は南部美人の蔵は2011年3月11日の東日本大震災で被災した蔵のひとつだ。南部美人の5代目である久慈氏は震災直後から日本酒を通じて地域復興に様々な取り組みを行ってきた。TORJAでは久慈氏が体験したこと、復興に向けての取り組みなどを寄稿してもらった。



岩手県では東日本大震災で、陸前高田市や大船渡市などの沿岸の比較的大きめの市が大変な被害を受けました。

沿岸部の比較的大きな市は、そこに昔から住んでいる人も多いのですが、県内外から移住をしてきたり、嫁いできたりする人も多く、そういった方々は、人生の途中から「海」やそれにかかわる「津波」と向き合って暮らしています。

もちろん、小さな町村にもそういった方々はおりますが、人口規模が大きくなればそれだけ移住してきた方々は多くなります。

昔から海と接して、海と共に暮らしてきた人たちは、その恵みも、そしてその怖さも小さいころから理解する教育をされておりますし、実際にそこで暮らしてきているのだから、経験もあります。

しかし、ここで考えてみてください。このコラムを読んでいる方々も、ほとんどがカナダで言えば「外国人」です。

通常の生活も最初の頃は困難だった記憶もあるかと思いますが、外国人が「被災」したらどうなるでしょうか。

実際に東日本大震災では多くの外国人が被災しました。もちろんお亡くなりになった外国人の方々もいます。

日本では、外国人は制度上、高齢者と同じ災害時に助けが必要な「要支援者」になっています。

実際に東日本大震災前と震災後では、共同通信社の調査で国際交流協会の行う体験防災訓練に在住外国人を参加させる取り組みは約2倍に増えたそうです。

それだけ、日本に住む外国人の意識も、そして日本で外国人をお世話する国際交流協会のような団体の意識も変わってきています。

避難所の炊き出しやけが人の応急手当、多言語での情報提供など実践的な訓練に在住外国人を参加させている団体が約半分だそうです。

防災訓練


しかし、残念ながら岩手県はこういった支援をまだしていません。

自治体により意識も違い、また言葉の壁もあり、それをサポートしてくれる大きな組織のある人口規模の大きな市町村、東北では仙台市などはしっかりと行っていますし、あとはブラジル人などが多く住む静岡市の国際交流協会などはしっかりとした避難訓練を外国人も入れて行っているそうです。

震災時はネットが使えません。外国人の方々は普段ネットに親しみ、翻訳などのソフトも活用し、生活していると思いますが、いざ災害となれば、その頼みのネットやスマホが使えなくなります。

避難所への誘導放送や、津波警報など、多言語で行うのはなかなか難しいと思います。

最近ではコミュニティーラジオで災害情報も発信していますが、こちらも小さな放送局なので多言語化は難しいです。外国人をどのようにして被災や、二次被災から守っていくか、日本の力が試されています。日本人も外国人もみんな救えるような手を考えたいです。


オンタリオ取扱い代理店:
nanbu-bijin-sakeOzawa Canada Inc
現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。
南部美人
http://www.nanbubijin.co.jp



kuji-kousuke-sake本文:南部美人 五代目蔵元
東京農業大学客員教授
久慈 浩介