東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い 第62回

トロントの日本食レストランでも良く見かける、岩手県の銘酒である南部美人。実は南部美人の蔵は2011年3月11日の東日本大震災で被災した蔵のひとつだ。南部美人の5代目である久慈氏は震災直後から日本酒を通じて地域復興に様々な取り組みを行ってきた。TORJAでは久慈氏が体験したこと、復興に向けての取り組みなどを寄稿してもらった。



日本には電柱がたくさんあります。海外に行くと、この電柱が無いところが多く、その際の景観の素晴らしさはまさに私たちのあこがれるところでもあります。今回は電柱と震災について考えてみたいと思います。

なぜ日本にはこんなにも電柱が多いのでしょうか。特に田舎に行けば行くほど電柱が多い気がします。そもそも日本に電柱が増え始めたのは、高度経済成長期でした。電力や電話の需要が一気に高まることで、電柱が拡大していきました。現在では電線類地中化計画が進められてきて、新しく都市計画する地域などは電柱が地下にあらかじめ入れられております。

しかし、こういった地域はまだ少数で、新しく地下に電線を入れようとすると、道路を掘り返して埋設するコストや、変圧器など地上機器の設置場所の確保などの問題があり、都市部でもまだ普及が進んでいません。そんな状況で、地方の小さなまちが進むわけがありません。

この電柱ですが、大きな災害時、特に地震による際は大変厄介な存在になりかねません。

実際に東日本大震災でも、阪神大震災でも多くの電柱が地震による揺れで倒れてしまい、緊急車両の通行が阻まれました。田舎のほうならまだ迂回しやすいかもしれませんが、これから起こると予想される首都直下地震や南海トラフ巨大地震などでは、都会を地震の揺れが直撃し、道路にほとんど電柱が倒れてしまい、初動の緊急車両の動きが制限されてしまうと予想されています。


こんな状況を見て、国土交通省は災害が発生した場合の緊急輸送道路や避難路について、電柱の新設を禁止する方針を決めました。

初動の緊急車両の妨げにもなってしまう倒壊電柱は、避難をする道でも倒れてきますので、避難できずに津波などの被害にあった人もいると聞きます。

欧米に比べて電柱が多い日本。
欧米に比べて地震大国の日本。

なぜ今までこの電柱の地中化をもっと進めてこなかったのか。災害が起こってから何事も前に進めるでは、本当に困ると思います。

予算が無いのは十分わかっていますが、阪神大震災をきっかけに、もっと早く進めていれば、東日本大震災でも電柱の倒壊により逃げ遅れたり、初動出動の緊急車両が到着できず亡くなる命も減ったのかもしれません。

予算が無く、一気に整備できなければ、毎年少しずつでも進めていかなければ次の大きな地震でも同じような悲劇が繰り返されます。

私も東日本大震災の時に、トンネルで止まった新幹線から救助されて、初めて見た地上の景色は倒れた電柱の多さが特に印象に残っています。悲劇を繰り返してはいけません。


オンタリオ取扱い代理店:
nanbu-bijin-sakeOzawa Canada Inc
現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。
南部美人
http://www.nanbubijin.co.jp



kuji-kousuke-sake本文:南部美人 五代目蔵元
東京農業大学客員教授
久慈 浩介