東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い 第63回

トロントの日本食レストランでも良く見かける、岩手県の銘酒である南部美人。実は南部美人の蔵は2011年3月11日の東日本大震災で被災した蔵のひとつだ。南部美人の5代目である久慈氏は震災直後から日本酒を通じて地域復興に様々な取り組みを行ってきた。TORJAでは久慈氏が体験したこと、復興に向けての取り組みなどを寄稿してもらった。



東日本大震災以降、日本国内では各地で大きな災害が増えています。地震では、熊本の地震が大きい被害を生みましたし、豪雨被害では広島や、つい最近では秋田の豪雨の被害が大きかったです。

地震はもちろん怖いのですが、それ以上に日常降る雨が凶器のようになる豪雨災害。最近の日本はとても変な天気で、ゲリラ豪雨に代表される、豪雨被害が全国各地で広がっています。

先月も秋田県大仙市の広域で、大きな豪雨被害がありました。大仙市の雄物川など4市2町の計7河川で氾濫が確認され、17市町村で約490棟が浸水被害にあいました。まだまだこの被害は拡大する見込みだそうです。


そんな秋田県の豪雨被害で、私の東京農大時代の同級生でもあり、同じ東北の仲間の蔵元である「出羽鶴」を醸す秋田清酒さんの蔵が浸水被害にあいました。今まで近くの川が氾濫する事は無かったようで、初めての経験だと話していました。未明の氾濫ということで、人命など心配しましたが、今回けが人や死者などが出なかったことは幸いでした。

古くからある蔵が水につかってしまい、蔵の中は泥だらけ。さらには、醸造機械の関係も水没し、その修理だけで数千万円近くかかるのではないか、という話でした。まだ、酒造りの時期ではなかったので、少しは良かったのですが、これからはじまる今年の酒造りに向けて、蔵を掃除し始める時期にこの浸水被害はあまりにも気の毒です。

さらには、高価な醸造機械がかなり水没したということで、現代の酒造りは醸造機械の発達により、品質向上の手助けになっている分、機械の修理がとても急がれます。

この豪雨被害はいち早くSNSで知らされ、全国の日本酒愛好家が秋田までボランティアに来てくれたそうです。泥に沈んだお酒を1本ずつ救出して、それを洗うという地道な作業から、泥の掻き出し、醸造機械の搬出など多くのボランティアの皆さんが力をあわせて出羽鶴の銘柄を救ってくれたそうです。

そして、ボランティアなどに参加できない方々は、全国で出羽鶴を飲んで応援しようと、たくさんの方々が被災地の復興支援の飲み会などを開催してくれました。

日本大震災以降、被災地の食や酒を飲んで支援していこうという機運がとても高まっており、これは東北の酒を飲んで花見をしてください、と私たちがお願いしたハナサケニッポンの思いが全国に伝わっているようで、とてもありがたいです。

出羽鶴さんは今見事に復興して今年の酒造りに間に合うという話です。さらには、日本で一番有名な秋田大曲の花火大会もこの後のさらなる豪雨で開催が危ぶまれましたが、見事花火大会の当日に復旧して、見事な花火大会が今年も開催されました。

被災地が団結して困難に立ち向かう姿。日本人は本当にすごいです。


オンタリオ取扱い代理店:
nanbu-bijin-sakeOzawa Canada Inc
現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。
南部美人
http://www.nanbubijin.co.jp



kuji-kousuke-sake本文:南部美人 五代目蔵元
東京農業大学客員教授
久慈 浩介