オンタリオ州の保険アレコレを知ろう #8 法人および個人事業主の損害保険

法人および個人事業主の損害保険

今回は法人、個人事業主および非営利団体の方の資産や収入を様々な災害や訴訟から守るために主に必要な保険について説明します。事業内容に合わせたパッケージ保険に加入することも一般的です。

1. 企業財産保険(Business Property)

火災、落雷、爆発、騒擾(そうじょう)、盗難、電気的事故などの災害や事故に起因する企業財産の損害を補償します。補償の対象となるのは、建物(Building)オフィス用品(Office Contents)、什器備品(Equipment)、商品・在庫(Stock)、等の財物です。

幅広い災害を補償するBroad Formが一般的ですが、状況によって、例えば空き家の状態であれば限定した災害を対象とするNamed Perilsとなります。補償方法は、ダメージを受けたものと同等なものに現状復帰される補償方法(Replacement Cost)あるいは時価による補償(Actual Cash Value)です。在庫(Stock)は時価補償です。

ここで気を付けたいのは、付保割合条項Co-insuranceです。これは、実際の財物の価値を下回る金額を保険でかけて損失が起きた場合に、保険加入者が支払うペナルティです。このCo-insuranceが80%であれば実際の財物価値の80%以上を付保していることが条件となっているわけです。この条件に違反した場合は、保険金は満額払われません。例えば、$1,000,000の財物に対して、Co-insurance80%、Replacement Costの保険を$500,000かけていたとします。水漏れ事故により$200,000の損失が起こった場合、保険会社が負担するのは、$200,000×$500,000/
$800,000=$125,000です。残った$75,000は保険加入者の自己負担となります。

オプショナル補償として次のようなものがあります。機械設備補償(Equipment Breakdown)、サイバーリスク補償(Cyber Risk)、休業補償(Business Interruption)、犯罪事故補償(Crime)など。

2. 商業損害賠償責任保険(Commercial General Liability)

事業に起因して第三者に損害を与え、かつ被保険者が過失により賠償責任を求められた場合の保険です。主な補償は次の通りです。

・第三者(Third Party)の怪我(Bodily Injury)や物損(Property Damage)
・名誉棄損・広告虚偽による損害(Personal/Advertising Injury)
・大家に対する賠償責任(Tenants Legal Liability)
・医療費用(Non-fault Medical Payment)

保険会社によっては、損害賠償が特定の施設で起きた事故に限られる場合(Premises Restricted)、製品やサービスが使われた先で起きた事故を除く場合(Products Completed Operation Excluded)もあります。

3. 専門職業人賠償責任保険(Professional/Errors & Omissions Liability)

建物インスペクター、鍼灸師、指圧師、マッサージ師、建築士、印刷工、ITプロフェッショナルなど専門職業資格を持つ人、またコンサルティングなど人にアドバイスを与える職業の方のための賠償責任保険です。業務上の過失によりお客様に経済的損失を与えてしまった場合の賠償責任を補償します。

4. 団体役員賠償責任保険(Directors and Officers Liability)

営利あるいは非営利に関わらず団体役員として不当行為があり、株主、従業員、第三者から損害賠償請求された場合の経済的損害を補償します。 賠償金請求が役員個人の資産にまで及ぶリスクを回避するのが目的です。

5. パッケージ保険

美容院、レストラン、写真スタジオ、小売業、施工業者などの事業者には、パッケージ保険が普及しています。企業財産保険と企業賠償責任保険の他、その業種特定のニーズに対応した補償内容を加えた内容となっています。

■ 気を付けたいこと
北米にて事業を行う上で賠償責任を求償されることは日常茶飯事です。個人事業主、団体役員の場合、多大な責任を負っていますので、賠償責任保険加入はリスク回避の第一歩です。

保険加入の際に、建物の状態、詳しい事業内容や事業経験などに関して正確かつ最新の情報を開示することが重要です。これらの要素を勘案して保険料が決定するため、事実と異なる情報をもって加入した場合には、保険金請求が棄却される可能性があります。

自宅を唯一の事業活動拠点としている場合、業種によっては住宅保険にビジネス賠償責任・財産を補償する特約を加えることができます。保険代理店・ブローカーに確認してください。

■ 保険代理店・ブローカーを見つける
ここに挙げたのはビジネス保険のほんの一部です。保険は業種・事業内容に応じて多種多様であり複雑です。事業、収入および個人資産を確実に守るためにも、ビジネス保険に精通した保険代理店あるいはブローカーに相談しましょう。
*上記は参考資料です。個々の補償内容に関しては保険証書・約款にてご確認ください。