防潮堤に賛成派・反対派それぞれの理由 | 東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第66回】

防潮堤。それは命を守る海と陸地の間に立つ大きな壁。この防潮堤をめぐり、今、沿岸部では大きな議論がされています。

岩手県では、東日本大震災津波を受けて、沿岸部に防潮堤の整備を決めています。実際に建設がスタートしている地域もあり、その高さは12.8メートルになるところもあります。まさに目の前に大きな壁が出来ている状況です。

この大きな防潮堤。沿岸に住まない私たちから見ると、とても安心できる良い整備だと思いますが、沿岸部では賛成派、反対派が分かれて議論しています。

まず、賛成派は、まさに心の安心と、そしてそのうえで非難する心得を徹底することで、減災につながる、という考え方です。やはり、津波が来た時に、何も防ぐものが無ければ、避難する時間も短くなるし、より大きな範囲に津波がいきわたってしまうという考えもあります。それを防潮堤で防ぐ、というのはその通りなのだと思います。

そして、反対派の意見としては、同じく沿岸部の岩手県田老町の日本一の防潮堤神話の崩壊が大きく影響しています。田老町には東日本大震災前の津波を受けて、日本最大の防潮堤が完成していました。田老町の人たちはこの防潮堤を誇り、そして安心して生活していました。しかし、東日本大震災津波では、この日本一の防潮堤はあっけなく崩壊。安心して防潮堤の近くまで家を建設していた田老町の人たちは、避難の遅れもあって、大きな被害を受けました。どんなに高い防潮堤でも津波を100%防ぐことはできないという考え方です。さらに、12.8メートルの高さがあっても、東日本大震災の津波は15メートル以上の津波になったところもあり、どんなに高くしても完璧に防ぐことはできないという意見もあります。

田老町の防潮堤


海に生きる人として、海の変化にはとても鋭敏で、東日本大震災の時も、海の水が一気に引いていき、それを見て、大きな津波が来る、と判断して逃げ切った人がとても多かったそうです。海の変化を見ることが出来ない、というのは、そこに長年住む人にとって、これほど恐ろしい事は無いでしょう。

さらに、大きすぎる防潮堤で囲われてしまい、海を見に来た観光客への悪い影響も出るのではないかという意見もあります。

賛成派、反対派、どちらの意見も正しいと思います。しかし、どちらかに決めて前に進まないと、いつまでも沿岸部の復興は進みません。

防潮堤だけではなく、様々な未来の沿岸部の議論をすることで、どのように進んでいくかしっかりと決めて進んでいく事が大事なのだと思います。


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本文:南部美人 五代目蔵元
東京農業大学客員教授

久慈 浩介