白ふくろうのネタ探し #10 大学事情がこんなに違う!?

大学事情がこんなに違う!?

約2か月の夏休みが終わり、バック・トゥー・スクールとなりましたね。上の学年に進んだ人、新しい学校に入った人、そしてそれを機に一人暮らしや寮生活に入った人もいることと思います。期待と不安で一杯でしょうね。白ふくろうは、これまで一人暮らしというのを一度も経験していないので、その期待と不安がどれほどのものかわかりませんが、なかなかつらいこともあるのではないでしょうか。

わが家では、上の息子が大学4年間寮とベースメントルームで一人暮らしをしましたが、なかなか大変だったようです。その息子の大学のオリエンテーションで大学の人が教えてくれたことに、「サンクスギビングシンドローム」という言葉があります。

日本では、4月入学の後、5月にゴールデンウィークがありますが、カナダでも9月入学の後、10月にサンクスギビング連休があります。こちらではサンクスギビングは家族が集まる重要な祝日で、親元を離れた子供たちの多くは実家に戻ります。ところが、サンクスギビングで実家に戻った後、大学に戻ってこない学生がいるのだそうです。一人暮らしができない、大学生活になじめないなど様々な理由が考えられますが、そうした症状を「サンクスギビングシンドローム」というのだそうです。やはり、子供たちにとって、大学というのは子供から大人になる大きな節目なのでしょうね。

その大学ですが、日本とカナダの大学事情で大きな違いはなんでしょうか。まずは、大学数と学生数で比較してみましょう。

日本の文部科学省が発表している大学の数(平成28年10月1日現在)は、国立86校、公立88校、私立600校、計774校となっています。そして、学生数は約287万人。

これに対して、カナダのUniversityは、公立96校、私立14校、計110校だそうで、その学生数は、フルタイム約98万人、パートタイム約31万人。

人口比で約3.5倍の規模を持つ日本との比較でみると、フルタイム学生のほぼ人口比に近い数字ですね(287万人vs 98万人)。日本の大学制度にパートタイム学生というのは馴染みがありませんのでこの比較が妥当かと思います。
では大学数はどうでしょう。

人口比約3.5倍に対し、大学数は約7倍(774校 vs 110校)。大きな違いですね。日本の場合、特に私立大学の多さが目立ちます。少子化が進む日本の場合、定員を満たせない大学が多くなっており経営が成り立たず廃部・廃校となることが心配されています。

カナダの場合、私立は非常に少なく、運営はそれぞれ独自に行っているものの、基本的に大学は州の管轄下にあります。よって、公立とはいえ、その授業料などは支援金を出す州の教育方針に沿っています。

州平均で見た大学授業料(2016/2017年度)は、オンタリオ州が一番高く$8,114に対し、一番低いのはケベック州$2,851、ニューファンドランド&ラブラドール州$2,759となっており、約3倍の開きがあります。

では、入学者と卒業者はどうでしょうか。

日本の過去10年間のデータでは、大学、短期大学・専修学校を合わせた高等教育機関への入学者数が100万人レベルで推移しているのに対し、卒業生数(大学、短期大学のみ、専修学校含まず)は60万人~65万人レベルとなっています。よって大学・短大の卒業率は約7割ほどでしょうか。3人に2人の割合くらいですね。

カナダの場合、UniversityとCollegeを合わせたポストセカンダリー教育機関への2014/2015年度入学者数は、約205万人だそうです。日本の約2倍の人が高等教育機関に入学しています。一方、卒業学生数は、52万人、入学者数に対して卒業者数が約25%、すなわち入学した学生のうち、4人に1人しか卒業していないことになります。
パートタイム学生という制度があるので、全員が卒業するわけではないのでしょうが、それでも少ないような気がしますよね。

学校制度と統計の取り方の違いから、正確な比較はできませんが、一般的には、カナダの方が卒業が難しいと言えるでしょう。

日本では、高等教育機関への進学率は75%レベルとなっています。少子化で18歳人口がピーク時の200万人から現在は120万人に減少していますので、学校経営はますます難しくなり、学生の確保が課題になっています。学生確保のため、ほぼ無条件に入学を許可している大学(フリーで入学できることからFランク大学と呼ばれる)もあるようで、そのため教育現場で問題が起きているようです。大学という高等教育現場で、初等・中等教育の内容の知識がなく、講義内容がまったく理解できない学生が増えているのだそうです。4年間で何も学ばない学生が卒業でき、「学士」となるこの不思議。

楽に入学、卒業でき「学士」の資格を得られる日本と、入学試験は(一部の学科を除き)ないが、卒業が難しく「バチェラー」の価値があるカナダ、どちらがいいのでしょうか。就職事情や社会認識が違うので一概にはなんとも言えませんが、あなたならどちらを選びますか。



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白ふくろう

1992年音響映像メーカー駐在員として渡加。8年の駐在の後、日系物流会社に転職、休眠会社を実業会社へ再生再建。2007年より日系企業団体事務局勤務、海外子女教育・日本語教育にも関心が高い。2009年より、ほぼ毎日トロントやカナダのニュースをブログ(カナダはいいぞ~。トロントはもっといいぞ~)で配信している。

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