【After 3.11 Interview】『がんばれ東北!カナダと日本、キッズメッセージ・キルト・プロジェクト』発起人 リンダ・オオハマさん

国を越えて思いを繋ぐ布手紙。その思いはさらに大きくなっていく。

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『がんばれ東北!カナダと日本、キッズメッセージ・キルト・プロジェクト』発起人 リンダ・オオハマさん

『がんばれ東北!カナダと日本、キッズメッセージ・キルト・プロジェクト(以下:布絵手紙プロジェクト)』は、震災直後に「被災地を元気づけたい」と、日系三世の映画監督・アーティストのリンダ・オオハマさんが立ちあげたプロジェクトだ。キルトは大量の布手紙で構成されており、それぞれカナダ・東北・日本の子供たちからのメッセージが描かれ、国を越えた友情と支援の輪として繋がり、今なお拡がり続けている。このキルトは日本を巡回し、現在カナダ巡回中。トロントでも昨年12月12日から今年1月31日まで、JCCCにて展示会が行われ、多くの人がキルトに描かれたメッセージに目頭を熱くした。プロジェクト発起人のリンダさんにプロジェクト始動のきっかけやキルトが巡った軌跡を伺った。


孫との会話からはじまった布絵手紙プロジェクト

東日本大震災発生の翌日、孫が私に「東北の状況はどうなっているの?子供たちは大丈夫?」と被災地を心配して尋ねてきました。孫の様子を見て「世界の子どもたちも思いを馳せていることを被災地の方々にも知ってもらいたい」と私は思い、布絵手紙を作ることを思いつきました。日本語や英語が分からなくても、布に刺繍や絵を描くことで、誰でも気持ちを伝えることができるのではと考えました。また、素材を紙ではなく、布にしたのは巡回に耐えられるものにするため、そして刺繍や布用ペイントを使うようにしたのは、絵をカラフルに長持ちさせるためです。私と孫の制作した2枚の布手紙からすべては始まりました。

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トロント展示会での様子

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布絵手紙を制作する学生たち


2枚の布手紙から「カナダ―東北―日本 メッセージキルト」へ。プロジェクトはどんどんと広がっていく

周囲にプロジェクトへの参加を呼び掛けると、わずか2カ月間でカナダ各地から激励、希望、友情、連帯などが書かれた約800枚の布のメッセージが寄せられました。そして、その布手紙をバンクーバーのボランティアたちが繋ぎ合わせ、「カナダメッセージキルト」が出来ました。
2011年には「カナダメッセージキルト」は被災地の宮城、岩手、福島各県の小学校や中学校、避難会場や仮設住宅などを巡回。このキルトを見た東北の子どもたちがこれらのメッセージに対するお礼の返事を書きました。約800ともなったメッセージが私の祖母の故郷である広島県尾道市に届けられ、そのメッセージは尾道市のボランティアの手によって7枚の大きな「東北メッセージキルト」となりました。
そして、このカナダと日本の子どもたちの友情と支援のメッセージ交流を、是非とも日本全国の子どもたちにも共有してもらいたいと、在日カナダ大使館主催で巡回展示が企画され、2011年10月から約50の街を巡る「カナダ―東北 メッセージキルト」の展示会ツアーがはじまりました。展示会を訪れた日本中の子供たちもこれらのメッセージキルトを見て自分たちのメッセージキルトを作り、「日本メッセージキルト」が誕生したのです。
これらカナダ・東北・日本のメッセージキルトが一緒になり、現在、感動的な「カナダ―東北―日本 メッセージキルト」となったのです。

キルトが東北の子供たちに与えた笑顔。

震災から、そしてこの布手紙プロジェクトが始まってから約3年が経ち、現在キルトはカナダ側4枚、日本側14枚の計18枚にまでに膨れ上がりました。これほどまでにキルトが大きくなること、そしてこのプロジェクトが続くことは予想していませんでしたから、本当に驚いています。
カナダツアーの前に行った日本ツアーで私は震災後初めて東北を訪れました。展示会で出会った子供たちはキルトを見て、とても驚き、目を輝かせていました。これほどにカナダの人々が自分たちのことを気にかけていてくれたのだと知って、子供たちの孤独感も幾分薄れたようで、安心した様子でした。キルトが彼らに笑顔を与えたのです。そして東北の子供たちがまた布手紙を制作することで、今なおキルトは大きく成長し続けています。
さらに、当初多かった津波に関するものからフクシマへ、そして今では世界平和への願いと、布手紙のメッセージも変化を遂げています。震災を発端として、多くの子供たちが環境に優しい、安全な世界を願うようになってきたのです。


リンダ・オオハマ
バンクーバーを拠点に活躍する日系三世の映画監督。1970年代初頭からビジュアルアーティスト、教育者、インディペンデント映画監督として活躍し、現在ではプロデューサー、ライター、編集者、ナレーターとしても活動している。カナダの映画賞であるレオ賞受賞作『おばあちゃんのガーデン』らを代表作に持つ。
リンダ・オオハマさんHP:www.lindaohama.com
「がんばれ東北!カナダと日本 キッズメッセージキルト」HP:www.clothletters.com