マリファナ違法店舗と警察による取り締まりバトル|特集「カナダ大麻合法化」から1年が経過して分かったこと

 昨年10月の合法化以来、合法販売店の数は増えつつある。しかし、その裏では政府からの販売許可が降りないまま営業を続けている違法店舗も数多く存在する。

購入者の間でも店舗は人気

 ショップが許可されるか否かは財務や店舗スペースにチェックが入り、基準を通過した販売店が抽選で選ばれるというから、お店をオープンするのも厳しい道のりだ。しかしながら、オンラインで購入するのと違い、店員と直接話せるということで許可を得ている店舗は人気が出ているのが現状だ。

 政府が発行している許可書を保有している店舗や事業主であれば、大麻の所持だけではなく、輸送、貯蔵、保管、さらには研究開発にも用いる許可が下りる。詳細は www.canada.caで確認できる。

 合法化当初、オンタリオ州には3店舗が許可を得て営業をしていたが、同時期に違法で営業をしている店舗が少なくとも20店舗ほどあったと言われている。さらには、これに加えて100以上の大麻配達サービスもあり、合法化の後にも関わらず、多くの店舗や事業による違法な取引が続いていたことが判明している。

絶大な人気を誇った無認可店「CAFE」と警察の攻防

 政府に認可されずに営業していた店で話題になったのが、トロント大学の近くに店舗を構えていた販売店の「CAFE」。この販売店はダウンタウンでも店舗を複数構え、多くのトロントニアンから人気を誇っていた。実際、トロント大学近くのハーボード通りにあった店舗は、連日大盛況だったのが記憶に新しい。

 1日に約5万ドルの売り上げを記録することもあったという「CAFE」だが、警察の取り締まりによりトロント大学の近くにある店舗は数ヶ月前に閉店。他の店舗も閉店を迫られたそうだ。現在では店先にはいかにも重そうな石のブロックが積み上げられ、外からは店舗内部の様子が見えないようになっている。

 以前にも何度か警察により取り調べを受け、閉店に追い込まれたものの、その度に再び開店してきた「CAFE」。
 その行く末を多くのトロントニアンが注目してきたが、「大麻を違法に取引している事業や事業主が保有している住居でない店舗や施設は閉業することが可能」という理由において、住居であれば閉業に追い込まれることがないということを逆手に取り、同店関係者は、店舗がある建物の二階や地下に人が住んでいると訴え、閉店と開店を繰り返した。

 今では、この事例を踏まえ大麻取締法は改正され、「住居だから」という理由は通じなくなったとされる。

違法販売の撲滅へ向けた政府の狙い

 合法化されてから一年になり、さらに50もの新しい店舗がオープンする予定だ。また、以前はオンラインでしか購入することが出来なかった大麻だが、対面販売を好む購入者も多く、これからも店舗が増え続けることが見込めると言われている。

 一方で、トロントとバンクーバーでは合わせて200以上の違法販売店が警察により閉店を迫られたという。さらに、一時は80もの違法販売店があったハミルトンだが、今年の6月時点で全て閉店。一件落着と言いたいところだが、「大麻の需要はまだあり、これからも違法の販売店舗が増え続ける恐れがあるため、休んでいる暇はない」と警察関係者は取材に応じていた。

実店舗よりも取り締まりが難しいオンライン販売店

 一方で、連邦警察が特に懸念しているのはオンラインの販売サイトだ。実店舗に比べ容易に作ることが可能なため、取り締まりが間に合わないスピードでその数が増加している。さらに、ひと目見ただけでは許可を得ているサイトなのか否かを判断することが難しいことも、取り締まりのハードルを上げている。

一足先に大麻が合法化された南米のウルグアイのケース

 2014年に大麻が合法化されたウルグアイ。当初3年半は店舗での販売は違法だったという。さらに、販売する店舗も薬局に限られているため、国内でも17の店舗でしか販売がされていない。また、市場に出回る大麻においては、中に含まれる成分の一つで脳や体にも影響を及ぼすTHCの量もきつく取り締まりがされている。カナダに比べると、より慎重に大麻の合法化を実現してきたように思える。

 このように、合法化されたことにより違法取引に対する取り締まりが厳しく行われているカナダ。店舗の営業許可を政府が降ろすことにより、大麻の不法取引を撲滅できるという期待も高い。実際、大麻が合法化された理由にはこのような政府の狙いも含まれている。

 さらに、この合法化の成果を物語るかのように、違法の販売店は合法化以前に90以上あったのが20未満に減少しているという。これからも街中の大麻販売店が増えていくにつれ、警察がどのように対応を強化していくのか、注目していきたい。