国際結婚とカナダのお産 | 私、国際結婚します!! でもちょっとその前に知っておきたいお話【第29回】

 国際結婚の将来設計には出産や子育ても含まれることでしょう。国際カップルの子育ての難しさは、頻繁に取り沙汰されます。しかしそれ以前に、自分が育った国以外でお産をすることになった女性たちは、時として不安に押しつぶされそうになるかもしれません。そこで今回は、オンタリオ州での出産を視野に入れた国際結婚の出産準備情報です。

母子手帳

 日本で出産準備の第一歩といえば、母子健康手帳の入手でしょう。これは、在住する市町村役場に妊娠の届け出をすることで交付されるもので、一般に母子手帳と呼ばれます。

 母子手帳には、妊娠中の検診結果や赤ちゃんの成長や予防接種暦などが、医療のプロたちによって記載されます。幼稚園や小学校に入学する際には、その記載が確認される場合もあります。

 オンタリオ州には、母子手帳に代わる記録システムは存在しません。予防接種に関しては、黄色い記録カードが発行されますが、子供の身長や体重に関しては、自分で記録するか、ファミリードクターに頼んで記録の写しをもらうことになります。

 日本に住民票を持たない移住者が母子手帳を望んだ場合、少し前まで日本に帰国した際などに購入するしかありませんでした。しかし近年は、総領事館などの在外公館を通じて、海外在住の日本人妊婦にも無料で配布されています。これで、親子の記録をしっかり残しておけます。もし将来日本に移り住むことがあった場合、母子手帳の存在は、想像以上に大切なものとなるかもしれませんね。

定期検診と超音波検査

 日本でもカナダでも妊娠中の検診は欠かせません。妊娠に気づいた時、まず訪れるのはファミリードクターです。ここで産科医を紹介される場合もあれば、ファミリードクターがそのまま定期検診を続ける場合もあります。

 オンタリオ州での検診の頻度は、妊婦の年齢や既往症などによる個人差はありますが、妊娠初期から中期にかけては四週間に一度、後期は二週間に一度、臨月には毎週が目安です。これは、日本と大差ありませんね。

 さて、日本の検診と大きく異なることは、オンタリオ州ではOHIPと呼ばれる医療保険制度が充実しているため、妊娠中の検診から出産に至るまで全て無料だということでしょう。しかし日本のきめ細かい検診と比べ、大雑把であると感じる日本女性もあるようです。

 例えばウルトラサウンドと呼ばれる超音波検査、日本では検診の度に行われ妊婦は写真を手に産院を後にします。一方、オンタリオ州では、担当医が必要を感じない限り、妊娠四ヶ月から五ヶ月頃に一度行われるのが一般的です。

 この超音波検査の少なさに対して、日本で出産した人の経験などと比べて不安を覚える女性もいます。しかし、超音波検査をしないということは、その妊娠が正常だと判断されている、ということなのでしょう。

赤ちゃんの性別判断

 超音波検査によって赤ちゃんの性別がわかることあります。赤ちゃんが、男の子か女の子か知りたい人もいれば、生まれるまでの楽しみに取っておくという人もいるでしょう。

 あらかじめ性別を知りたい理由に、子供部屋や産衣の準備がしやすいことを挙げることがあります。けれども「男の子なら青、女の子ならピンク」に疑問を抱く夫婦もあるでしょう。

 超音波検査による性別の判定は決して100%ではありません。確実に性別を知るには赤ちゃんの遺伝子を知るための羊水検査を受けるしかありません。しかし羊水検査の目的は性別の判断ではありません。胎児が障害や病気などを抱えているかどうかを検査することなのです。

 妊娠16週頃に行う羊水検査は、最も一般的な出生前診断です。ダウン症を抱える子の妊娠が急増する35歳以上の妊婦に対して、担当医は羊水検査について詳しく説明してくれます。

 この時、羊水検査には、わずかではあるものの流産の危険性があることも説明されるでしょう。さらに検査で胎児に問題が発見された場合、妊娠を継続するかどうかの決断をすることにもなります。担当医の話をしっかり聞いて検査を受けるかどうか選択したいものです。

 このように妊娠は、夫婦の将来にとって大きな転機となるものです。命を育む喜びと責任感は、母になる人を強くしてくれるでしょう。その一方で、重圧が国際結婚の行方に影響してくる場合もあるかもしれません。妊娠中は、国際カップルのコミュニケーションがより大切な時期であると言えるかもしれませんね。

出典: https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ghp/page3_000780.html


国際離婚経験者のピアサポートグループAPJW(NPO)

apjw.info


kokusaikekkon160601

野口洋美 心理学名誉学士(HBA)、コミュニケーション学修士(MA)

オンタリオ州公認パラリーガル、国際離婚経験者のピアサポートグループAPJW(NPO)理事
別居や離婚を経験することになった日本女性の相互支援(ピアサポート)団体(web:apjw.info)の代表として、自立に向けての様々なテーマで勉強会を毎月開催。国際離婚関連の執筆多数。離婚駆け込み寺(日加タイムス)、ひとり親のつぶやき(mamma、日系ボイス)など連載。2014年、国際離婚とハーグ条約をテーマにヨーク大学にて修士論文を発表。法律通訳としても活躍中。