トロント日本映画祭 岡田准一主演「関ヶ原」原田眞人 監督 インタビュー|トロントを訪れた著名人


6月に行われたカナダ最大級の日本映画の祭典「Toronto Japanese Film Festival」で、グローバルに様々な名作を生み出してきた功績が称えられ「Toronto Japanese Film Festival Special Director’s Award」を贈呈された原田監督。2015年以来二度目となる同映画祭でお話をうかがった。

ー二度目のトロント日本映画祭への参加となりますが、トロントやカナダの印象はいかがですか?

 人口が急増している影響もあってか、前よりも道が混んでいるように感じました。昨日はブルージェイズの試合を観戦に行ったのですが、前回来た際もロジャースセンター周辺を歩きましたので、あの辺りの印象が強いです。

ー今年は映画「関ヶ原」での参加となりますが、すでに他国での上映なども含めて海外での反応はいかがでしょうか?

 すでに、ハワイとワシントンDCでは上映していますが、「駆込み女と駆出し男」の時よりもペースが早い作品になっているので、分かりやすくなっていると思います。司馬先生の原作の登場人物を簡略化しつつ、字幕でもフォローできるように工夫をしています。また、女性の役割を前面に出しているせいか、海外では女性の方からの反応が多いように思います。中には、音楽の使い方に反応してくださった方もいます。

ー原作の3部作を1つの映画にまとめる際に登場人物を簡略化されたとのことですがポイントだった点について詳しくお話を伺いたいです。

グローバルに様々な名作を生み出してきた功績を称えられ「Toronto Japanese Film Festival Special Director’s Award」が贈呈された


 主要登場人物に関しては、関ヶ原の戦いに関連しない人物は登場させなかったり、役割を軽くするなどの工夫をしました。なおかつヒロインの初芽は、原作とは異なる描き方をした点も原作と映画を比べる時にポイントにしていただくと興味深いかもしれません。

ー私たちが教科書で学んできた際にはフォーカスの当たらない人物たちが軸となるストーリーになっていると思いますが、その理由を教えてください。

 原作自体が石田三成と徳川家康の話ということもありますが、出版された際に、石田三成の評価が良い方向に変わったのです。それから50年かけて三成は人気がある登場人物になっていきました。一方で、小早川秀秋に関してはいまだに誤解されたままなので、そこを修正というかフォローアップしたいという思いがありました。その心は、虐げられた者たちをしっかりと描くということが私の作品の根底にあるということです。

今の政治に必要なのは石田三成型の政治家だと考えています。

ー日本人なら多くの人が知っているであろう「関ヶ原」をなぜこのタイミングで映画化しようと思ったのですか?

 私自身は以前から映画化を考えていたのですが、まだ誰も映画化をしていないほどスケールが大きい「関ヶ原」という事象を映画化するのはとても時間がかかりました。コンピューターグラフィックスの必要性という観点からも現在でなければ映画化できない内容だと思います。

 同時にまた今の政治状況も関連しています。私は、今の政治に必要なのは石田三成型の政治家だと考えています。

ー送り言葉の使用や、東本願寺を撮影の現場として使うなどたくさんのこだわりが詰まっている作品だと思いますが、本作品へのこだわりはどのようなところでしょうか?

 時代劇ということもあり、全てを現代語に置き換えるわけにはいかないと思っています。観客のみなさんが意味を理解できなくても、フレーバーになるという観点から送り言葉を使用しています。薩摩兵が何を言っているか分からないというシーンが劇中にありますが、そこがポイントとなっています。言葉が通じないからこそ、争いの引き金となっているということを表現しているのです。

多くファンとの交流も笑顔で応じていた

ー本作は25年という長い構想期間だったということですが、その中でなぜ岡田准一さんを主演に起用することに重点を置かれていたのですか?

 まず岡田さんは身体能力が高いことから、武術や馬術にも優れていた石田三成を表現するのにぴったりだと考えていたからです。そして、彼が石田三成を演じるのに適した年齢になったということもありました。長い期間待った甲斐があったなと感じています。

ー読者に一言お願いします。

 敗者に属してしまった人がどれほど筋を通して生きてきたのかということは、日本の外に出て海外で客観的に日本人を見つめることができるからこそ、共感を覚える人物像だと思います。是非そんなようなことに注目して作品を見ていただければ嬉しいです。