リアル脱出ゲームの仕掛け人 Company & Co Michael Yambaoさんインタビュー

リアル脱出ゲームがトロントに!仕掛人にその裏側を聞く!

「リアル脱出ゲーム」は謎解きをメインにした日本生まれの体験型イベント。参加者同士が協力して、ヒントをもとにある場所からの脱出を目指す。日本では2007年に初開催して以降、現在までに240万人以上を動員するほどの人気を博している。このゲームに惚れ込み、トロントでの開催にこぎつけたのがCompany & Coだ。今回はトロントでの「リアル脱出ゲーム」開催の裏側を伺った。

michael-yambao-interview01

「リアル脱出ゲーム(英語名: Real Escape Game)」をトロントで開催しようと思ったのはなぜですか。日本企業である株式会社SCRAP(以下SCRAP)とどのように協力していったのかも教えてください。

SCRAPは「リアル脱出ゲーム」を最初に企画・運営した会社です。「リアル脱出ゲーム」は日本で初めて商業的に成功し、その後アジアやアメリカに進出しました。友達とバーに繰り出したり映画を見たりして遊ぶのではなく、チームワークや問題解決能力を生かして冒険気分を味わえるこのソーシャルなイベントを、私たちはすっかり気に入ったのです。

当時トロントには、類似のイベントはありませんでした。コンセプトがとにかく気に入ったので、トロントで共同開催させてもらえないかとサンフランシスコのSCRAPに連絡をとりました。これまでに3種類の「リアル脱出ゲーム」を共同開催し、1年以上にわたりチケット販売を行っています。

今回の「Lost & Found in Chinatown」は、屋内ではなく特定の地域で開催された初めての「リアル脱出ゲーム」でした。どのようにこのエリアを選んだのでしょうか。困難はありましたか。

これまでの「リアル脱出ゲーム」では、参加者はひとつの部屋に閉じ込められて、そこから脱出しようとするのが定番でした。アイデアはそのままに、ゲームそのものを屋外で開催し、あるエリア全体を会場にしてみたらもっと面白いのではないかと考えたのです。チャイナタウンは、私たちの拠点が近いという事実は別にしても、トロントの歴史的な場所であり、1890年代に形作られたあと多くの変化を経てきました。

街の色や活気自体が特徴的で、冒険にはもってこいの素晴らしいセットになったのです。陰謀の匂いがあり、乱雑な路地があり、色鮮やかな商店や喧騒に溢れた人ごみがあり、人々が知らないチャイナタウンの歴史を探索するというアイデアが気に入りました。

「リアル脱出ゲーム」のアイデアを固めて企画として実現させるのに、どれくらいの時間がかかりますか。

ゲームの規模にもよりますが、最低3、4ヶ月は必要です。ゲームごとにアイデアやパートナー、コンセプトは異なりますが、プロセス自体は効率的に素早く取り組んでいます。最も時間がかかるのは、ゲームがもたらす最高の体験を作り上げてコンセプトに落とし込むところですね。ここがスタート地点ですから、それができさえすれば、やるべき流れが見えてあとは早いスピードで準備を進めることができます。ブレインストーミングとプロトタイピング、ベータテストなどを繰り返し、参加者にとって最高の経験となるように作り上げていきます。

今回ゲームを楽しむことを通じて、歴史を学ぶことができました。歴史や文化を学べるという点では、ただ遊ぶだけではなく教育の役割も果たしていると思います。御社の提供するゲームを通じて、プレーヤーにどんなことを得てもらいたいと考えていますか。

michael-yambao-interview02

このゲームのそうした側面を気に入っていただけて良かったです。参加者には、一時的な現実逃避やその日限りの楽しみ以上の何かを持って帰って欲しいと思っています。プレーヤーが手にするのは解きがいのあるパズルですが、ゲーム自体に魅力的な物語と印象的なコンセプトがあれば、より素晴らしい体験になるはずです。

体験型のゲームというものは、うまく作り上げれば、本を読んだり舞台を鑑賞したりするのと同じような感情的かつ思考的な効果があると考えています。物語の主人公になれるのですから、ある意味ではさらに効果があるかもしれせん。私たちが目指しているのは、そういう類の経験が得られるゲームです。プレーヤーにとって、ゲームに参加したあとは、世界が少しだけ違ったものに見えるはずです。

トロントには魅力的な場所がたくさんありますが、他のエリアで「リアル脱出ゲーム」を開催する予定はありますか。

まだ決まっていませんが、議論を続けています。トロントの人々が今回の「Lost & Found in Chinatown」を気に入ってくれて実行可能であることの証明になれば、たとえば「Lost & Found in Annex」とか「Lost & Found in the Distillery District」なんかをやるのも良いかもしれません。

この秋冬のシーズンのイベントについて、読者におすすめを教えてください。

パズルやなぞなぞがお好きでしたら、SCRAPと共同で開催している「Real Escape Game」にチャレンジしてみてください。やりがいがあって成功率も低いので、クリアできたら周囲に自慢できますよ。「Escape from the Red Room」は、ゲーム中に言語が全く存在しない点が特徴的です。何かを象徴したシンボルや物体、数字などの文字にされていない指示をもとに、パズルを解かなくてはならないのです。これはコラボレーション企画としては最も新しいゲームで、今までとは趣向が異なります。

プレイするにあたって、英語すら必要ではないのです。私たちが提供している中では、最も難しいゲームです。ある種の演劇の世界に没入するような体験がしたかったら「Casa Loma Escape Series」がおすすめです。歴史的なCasa Lomaで繰り広げられるこのゲームは、衣装を着た役者と話をしながら進めるので、本当に城の中で大冒険をしているような気分になれます。

Company & Co

Secret City Adventuresを企画・運営するCompany & Coは、Patrick KeenanとTina Santiago Keenanによって2012年にトロントで設立。日本生まれの「リアル脱出ゲーム」を2014年に初めてカナダで開催したほか、トロントの歴史的な建物であるCasa Lomaでの脱出ゲームなどを手がけている。
secretcityadventures.com



michael-yambao-interview03

翻訳: 鈴木 深雪

グラフィックとwebのデザイナーとして、東京の外資系コンサルティングファームに勤務。家族の仕事の都合で、仕事を1年間休職して今はカナダに滞在中。CanPacific Collegeで通訳翻訳ディプロマプログラムを修了。日本語と英語のセンスを磨くべく、ひたすら話して書いて読んで学び続ける日々。