MIRAY’S STORY #23 「ドラム」
Chapter 23 「ドラム」
こんにちは、シンガー・ソングライターのミレイです!2013年にインディーズでデビューしEPをリリース、現在トロントを拠点にしています。日系社会においては2006年のJCCC紅白歌合戦に出演以来、新企会、Matsuri Festivalなど多方面で活動しています。連載コラムでは私の音楽だけではなく、日本からカナダへの道のりやニューヨークでの修行道中など盛りだくさんお話したいと思います。
テレビはアメリカ大統領選挙の真っ只中。政治に興味ない人も流石にこれは誰もが注目を浴びる接戦。良くも悪くも、国民の希望や不安そして怒りが浮き彫りにされているこの選挙は目を見張るものがあります。
そんな中、最近のミレイは何をしているかって?それはドラムの練習やらEWIの挑戦やら作曲やら相変わらずってところです。ドラムのレッスンは自分のバンドのトニー・ネスビット・ラーキンからもうかれこれ2年ちょっと習っていて、中学からたどると彼は6人目の先生。小学校の時はほぼ見よう見まねで休み時間音楽室にこもり、ひたすら両足と腕のコーディネーションを練習して家ではお茶碗とお箸で実習(笑。いい迷惑でした)。カナダに引っ越した時に初めて母にドラムセットを買ってもらい、レッスンを開始。なぜ6人もコロコロと先生が変わったかはあまり良く覚えていないのですが、確かそこの先生が辞めちゃったり、ツアーに出ちゃって帰ってこなかったり。理由は様々でした。
高校時代お気に入りだった先生は過去にカナダの国民的アイドル「ネリー・ファータド」や、なぜかニューヨークのサタデーナイトライブのバンドメンバーだったり、マライヤ・キャリーと演奏したりしていてスゴイ人なのにとても天然で気さくな人でした。彼は私とのレッスン中に、自分が受けようとしているオーディションの話をよくしてくれました。そのオーディションと言うのはブルーマングループという劇場型のショーで、ご存知ない方にはザックリ言うと、ブルーマンは全身青色に塗った集団が様々なクリエイティブパフォーマンスを行うものなのです。それは、ニューヨークのブロードウェイから始まって、今では日本をはじめ世界各国の劇場で観客を魅了しています。
その集団に入る第一条件は、ハゲでなければいけない(笑)という事なのですが、彼はすでにスキンヘッドだったのでそこは簡単にクリアーでした。それよりも難しい事は、普通のドラムセットよりも遥かに進化したショー用のパーカッションを巧みに操れなければならないという事。その競争率は半端ない程高く、生徒たちのクラスの合間にイヤフォンで必死にテスト曲を覚えていた様子を鮮明に覚えています。いつもニコニコしている彼が真剣な眼差しで黙々と練習する姿を見て「この人スゴイな」と思わずにはいられませんでした。「先生受かる確率ってどれくらいなの?」と聞くと「算数とか得意じゃないけど、多分3%くらいかな?笑」って低っ!厳しいじゃん!と言うと「だよねー」とちょっぴり落ち込みました。
私はもちろん受かってほしいと思いましたが、同時に正直言うと本当は受かって欲しくないと思うところもありました。何故ならもしブルーマンに入れば先生とはお別れをしなければいけないから。せっかく出会えたお気に入りの先生なのに…心がチクっとしました。そしてしばらくたって私の予想通り、先生は見事にオーディションに受かったのです!寂しさと嬉しさが込み上がり、学校のスタッフみんなでお祝いしました。初の派遣場所はドイツのミュンヘンと嬉しそうに言っていました。
そんなこんなで何年か経って、私がミニアルバムを出した年のコンサートでたまたま再会!私が歌手になっているとは知らなかったらしく、めちゃくちゃ驚いていました。私も突然のことでびっくり。先生はいつまで経っても、私の先生なんですね。応援してくれて嬉しかったです。そしてここ最近彼は新たなグループに参加。今人気上昇中のカナダ人歌手、アレッシア・カラちゃんの専属ドラマーになったとの事。グラミーやらヨーロッパやらあちらこちらのテレビ番組で見かけるようになりました。
そして今年はコールドプレイのツアーにも参加。止まる所を知りません。いつも遠くからパワーをもらっています。私も近い将来、一緒に共演できる事を楽しみにしています。
Miray
神奈川県鎌倉出身、親戚にグラミー賞受賞者を持つ音楽家族の元、幼少からドラムとタップダンスを始める。カナダ移住後ジャズやロックバンドでドラムを演奏、吹奏楽部でクラリネットを演奏。 15歳で初めてソロボーカルの舞台を経験。ヨーク/シェリダン大学デザイン科専攻卒。在学中にジャズ、ゴスペルコーラス、R&Bバンドに所属。現在デザイナー&シンガー・ソングライターとして活動中。世界的ドラマーのレニー・ホワイトにも曲を絶賛される。ボニー・ピンクやホリー・コールなどのジュノ賞ノミネートプロデューサー:マーク・ロジャーズと共に新曲作成中。
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