「女はつらいよ…」| MIRAY’S STORY【第35回】

最近ニュースで度々耳にするのが女性スキャンダル。業界の中で多大な富と権力を持つ男性達の女性に対するハラスメントがやっと少しずつ表に出てくるようになり「見て見ぬ振り」も罪深いのだという訴えがネットや報道で目立つようになりました。これはどの業界も日常茶飯事。でも芸能界という表舞台に立ち、イメージを何よりも大事にしなければいけない世界ではこのニュースは極めて重大であり、社会においての男女平等というトピックの中で大きな進展の第一歩につながるように思えます。

私は今まで自分はまず歌手、、ソングライター、であり、自分が女だという事を正直あまり深く考えずにいました。男友達もいるし、特に音楽業界なんてほとんど男性ばかり。でも実際にソロでバンドを集めたり、ジャムセッションしたり、その「男だらけの世界」に飛び込んで見ると、どうしても「女」として見られてしまう。これはどうする事もできず非常に厄介です。他のメンバーがどんなに兄弟のように仲良くなっても私は最終的に「女」という枠で蚊帳の外なのです(これは女性ミュージシャンあるあるです(笑))。女性ミュージシャン以外にも、女性全般、何かを仕切ったり、注意したり、知的な自己主張をすると邪険にされ相手にされなかったり。「ディヴァ」だの「偉そう」だの散々言われるのが落ちです。

でも逆に捉えると今までこの社会で実力で這い上がってきた女性達って本当にすごいなと思いました。女性は仕事に関して、常に神経を尖らせ、隙を見せる事なく、相当重い鎧を被らなければ男性と平等に見てもらえないし認めてもらえない。この「女」というステレオタイプから守る鎧はいつかなくなるのでしょうか。

前に女性アーティストのためのパネルがあって女性マネージャーやPRの人など様々な音楽業界の人達が集まり、お互いの経験を語り合う機会がありました。その話の中で度々言われたのが「自分が女である事を決して忘れないでください」という言葉でした。その背景には彼女らが体験したハラスメントや恐怖。男性が大勢いる密室のスタジオの中で気づいたら自分だけが女だったり、個人的に家に招かれたり。この話を語る女性達はとても真面目でストイックに仕事を淡々とこなしてきたつもりでも男性から見れば女であり餌食なのである。“Trust your intuition”「自分の勘を頼りにして、身の危険を感じたらすぐにその場から退場する事」。

以来、私が一人でライブを観に行ったりミュージシャン仲間の家に行ったりする時に母が異常に心配する理由がよく分かりました。私は男じゃないし、どんなにストイックに振舞っても女なんだ。それをよく理解しました。

でもこのような問題が注目される事を機にこれからもっと女性の地位向上や職場環境の改善、女性が安全且有意義に活躍でき性別に拘らず、お互いに尊重できる場を男女共に作って行きたいですね。

さて、来月は毎年恒例のLAです。今回はニューオリンズとサンディエゴも寄ってみたいと思っています。去年のLAのNAMMショー(北米楽器・音楽業界のコンベンション)は男性ばかりが楽器のデモやショーをやっていたので、今回はもっと女性のミュージシャン、特にドラマーやギタリスト、プロデューサーなどが見られれば良いですね。今から楽しみです。

2017年もあと残り少なくなってきました。今年は皆さんにとってどんな年でしたか?来年も平和で良い年になりますように。

突然ですが、今回を持ってミレイのコラムを終了させていただきます。皆さん長い間読んでいただきありがとうございました。
ミレイ


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Miray

神奈川県鎌倉出身、親戚にグラミー賞受賞者を持つ音楽家族の元、幼少からドラムとタップダンスを始める。カナダ移住後ジャズやロックバンドでドラムを演奏、吹奏楽部でクラリネットを演奏。 15歳で初めてソロボーカルの舞台を経験。ヨーク/シェリダン大学デザイン科専攻卒。在学中にジャズ、ゴスペルコーラス、R&Bバンドに所属。現在デザイナー&シンガー・ソングライターとして活動中。世界的ドラマーのレニー・ホワイトにも曲を絶賛される。ボニー・ピンクやホリー・コールなどのジュノ賞ノミネートプロデューサー:マーク・ロジャーズと共に新曲作成中。
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