【8月25日記念Gala開催】Momiji Health Care Society 理事会議長パメラ・ ウェイントローブさん 創立40周年特別インタビュー

日系カナダ人シニアのサポートを続け更なるサポート拡大を目指す


スカボローにあるMomiji Health Care Societyが創立40周年を記念して8月25日にガラを開催することが決定した。Momijiはこれまで主に日系カナダ人のシニアの方々を対象に、居宅での自立した生活が可能な限り継続できるよう支援する非営利慈善団体として活動をしてきた。8月25日のガラではそのサービスが更にアップデートされ、より多くの方へと届けられるよう、新たにMomiji Community Wellness Fundの設立を目的としている。

 今回はMomijiの理事会で議長を務めるパメラ・ウェイントローブさんにMomijiの歴史やガラ、そして今後の展望についてのお話を伺った。

Momijiはボランティアやドナーをはじめ多くの方で成立している

ーまずはMomijiの歴史について教えていただけますでしょうか?

 Momijiは元々、最初に日本人がカナダに移民してきた100周年を記念し、何かできることは無いかという所から始まったプロジェクトでした。ブリティッシュ・コロンビアに住んでいた日本人、日系人の方々は第二次世界大戦の結果自分たちのコミュニティーを失い、トロントに移ってきたものの新たなコミュニティーを形成できない期間が長く続いていました。そして特にシニアの方は頼れるコミュニティーがなく、孤立してしまうと長生きすることがどうしても難しくなってしまいます。だからこそ、社会的に、身体的に、そして精神的にアクティブでいられるような施設を作る必要があるという結論にたどり着きました。

 そのアイディアを基に1978年からプロジェクトが始動し、それを動かしていたグループが後にMomijiと呼ばれるようになります。Momijiは日本にとってのメープルリーフでもあり、年を取るごとに美しさを増していくカナダと日本の架け橋になれるような葉であることから命名されました。

 Momijiをどのような施設にするかという選択にもとても迷ったのですが、ユダヤ系の介護施設であるベイクレストの力を借りてハミルトンやロンドン、GTAにどれだけの日系カナダ人がいるのかという事を電話帳を使って調べました。日本人らしい名前を持っている方には一人一人電話をかけ、どれだけの人がMomijiのサービスを必要としているかがわかりました。

 Momijiの方向性が定まってからは1980年代後半から土地の購入、建物の建設、そして家具を買いそろえるという目的で資金集めを始めましたが、コミュニティーセンターについては寄付で作られることとなりました。コミュニティーセンターはこのレジデンスに置いてコアとなる部分であり、多くのボランティアとドナーのおかげで建設が出来ました。

1991年から工事が始まった


 この資金集めは日本でも展開され、『Obasan』という本を読んだ日本の大越弁護士という方からの協力をいただきました。『Obasan』は第二次世界大戦中に日系カナダ人に起きたことを綴った本なのですが、大越弁護士は日本人にも何かできることがあるのではと思ったそうです。それからは彼が日本政府とのロビー活動を行い、Momijiへの寄付についての税金控除を認めていただいたことで1.2万カナダドルが集まりました。

 これらの資金や、1988年に日系カナダ人への損害賠償が行われ、Momijiも日系カナダ人をサポートする団体として2.1万カナダドルを受け取り、NAJCから1990年と1992年の2回に分けて支払われました。1992年には建物がオープンを迎えたのです。

ガラは40周年を祝う会であると同時に、将来へ向けて計画を立てていく会

ー今回開催されるガラについても詳しく教えていただけますでしょうか?

 1992年にオープンした際の平均入居年齢は77歳だったのですが、それが今では85歳になっています。これはいま入居している方々がとても健康的だからこそ入居時期がおそくなってしまい、結果的に現在750名がウェイティングリストに並んでいます。

 必要な介護の内容も変わってきており、オープン当時はパートタイムの介護士一人が部屋の掃除をするくらいで問題なかったのですが、今では合計で23名のパートタイム、フルタイム、オンコールの方が働いています。業務内容も軽い清掃ではなく入居者のニーズに合わせたケアに代わってきています。

Momijiでは多くのセミナーを行っている


 ウェイティングリストに載っている方の95%は入居者の方と同じく、ニーズに合わせた介護が必要になっています。彼らも入居していないとはいえ、コミュニティーの一員ですので、何ができるかを考える必要があります。

 Momijiが今よりもできることを増やしていくためにはファンディングが必要不可欠のため、8月のガラではMomiji Community Wellness Fundを立ち上げることにしました。その目的は今のMomijiを保ちつつ、よりコミュニティーのためになることを続け、発展させていくことです。

 ガラは40周年を祝う会であると同時に、将来へ向けて計画を立てていく会でもあります。

ー現在コミュニティーの中で行っていることを教えていただけますか?

 いまは小規模ではあるのですが、中にはMomiji at HomeというMomijiのケアを自宅で受けられるサービスを行っております。
 そのほかにはCommunity Congregate Dining Programと呼ばれるイベントを行っています。そこではJCCCやハミルトン等でランチをシニアの方と一緒に食べて、健康について学ぶLunch and Learnをしています。

 ですがこうした取り組みをこれからも続け、拡大していくためには交通手段が大きな課題になっています。イベントに参加したい方用に送迎サービスを行っているのですが、限界もございます。シニアの方にとって外に出ることは健康を維持するために大切なことです。Uberを使えばいいのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、歩くのにサポートが必要なシニアがいるため、そうしたサービスを適用するのが難しいことも現状です。

ーMomijiが40周年を迎えるとのことですが、振り返ってみていかがでしょうか?

 Momijiは同業者の中でもとても高い評価を受けています。そしてコミュニティーの中で大切なのは人々がMomijiに親しみを持つことです。

 Momijiのサービスや取り組みが評価されてのことだとは思いますが、Momijiは思いやりでできているコミュニティーです。スタッフだけでなく、入居者たちもお互いのことを思いやり、誰かがいなくなるとすぐ気が付くのです。

 そうした入居者の方々を見ているとコミュニティーの中にいるという意識が健康に繋がっていると強く感じますね。

バザーなども開催され、人々が交わる場になっている

Momijiは入居者にとって失ったものを取り戻す場所

ー同業者の中でも高い評価を誇っているMomijiですが、それを可能にしているモノとは何だと思いますか?

 入居者の方々だと思います。入居している方の殆どが2世ではありますが、戦時中の経験はみなさんほぼ同じようなものです。だからこそ、コミュニティーを失ったという感覚もわかりますし、彼らにとってMomijiはその失ったものを取り戻す場所でもあります。

 かつて住んでいた場所のように、ちょっと誰かに合えばお茶をしにいく、コミュニティー全体がお互いを知っているという感覚をMomijiに入居することで取り戻していったことを何回も見てきました。

 ここに入居した方は、入居して初めて「ここに住むことが夢だったんだ」と気が付くのではないでしょうか。そしてお互いを知っているという安心感とコミュニティーというものの良さを実感できていると思います。