現代日本文学を世界へ届ける英語文芸誌 Monkey Business Vol.7 出版記念会レポート

9月23日、ジャパンファウンデーションにて文芸誌「Monkey Business」第7巻目の出版記念会が開催された。2011年より毎年発行されている同書は、日本と北米の現代文芸作品をまとめ上げた英語文芸誌であり、日本の文学を海外へ届けることをコンセプトに出版されている。

今回はゲストとして同書の編集者である柴田元幸氏とテッド・グーセン氏、そして作家陣はきたむらさとし氏、松田青子氏、ヘレン・グーリ氏、梅沢類氏の4名が参加した。

はじめにジャパンファウンデーション清水優子所長により挨拶が行われ、新刊発行への祝辞とゲストらへ歓迎の言葉を述べた。またジャパンファウンデーションの図書館にて同書の貸し出しを行っていることについても触れ、来場者全員に是非一度読んでいただきたい本であるとした。

清水優子所長


続いて同書の編集者を務めるグーセン氏と柴田氏より、この出版記念会の日を迎えられたことへの感謝の意が述べられた。

その後4人の作家たちにより、それぞれの作品が朗読された。

翻訳家・小説家・童話作家という三つの肩書きを持つ松田氏は自身の作品の中から「ナショナルアンセムの恋わずらい」を朗読。同作品は日本国歌が第一人称として物語をリードしていくというなんとも想像力あふれる物語でその独創的な発想力に来場客たちは驚きの色を見せた。

トロント在住のグーリ氏は「Self-Love」と呼ばれる詩とエッセイを朗読。感想を求められた松田氏が「何気ない日々の出来事をヘレンさんが文章にすると、そのふとした日常でさえも何かの魔法がかかったかのように見える」とコメントするほど、文のリズムや言葉選びの巧みさがなんとも言えない趣を秘めている。

(左から)柴田氏、きたむら氏、梅沢氏 


絵本作家であるきたむら氏は「外套」という紙芝居を披露した。この作品は主人公となるコートが、持ち主を探すという非常にユニークな発想の紙芝居で、大人が見ても面白いと感じられる作品。観客たちもきたむら氏の絵と語りに夢中になっているようであった。

グーリ氏と同じくトロント在住の作家、梅沢氏は日本の民話を新たな解釈で書いたという「Strange Light Afar」の一節を朗読した。それぞれ原作の大筋はそのままになぞらえつつも、ストーリーには描かれていない登場人物の心情が細かく描写され、来場者はその世界観に惹きつけられていた。

それぞれの作品の朗読のあとには来場者たちとの質疑応答の時間が設けられた。その作品はどこからインスピレーションを受けて書かれたものか、普段どのようにして作品作りに取り組んでいるのかなど様々な質問が寄せられた。また作家同士でお互いの作品に対しての感想や質問が投げかけられる一幕もあり、普段はなかなか聞くことのできないような裏側のお話まで、赤裸々に語られることとなった。

(左から)グーリ氏、松田氏、グーセン氏


約2時間にわたって行われた同記念会は、作家と読者の貴重なふれあいの場となり、終始非常に和やかな雰囲気で盛況のうちに幕を閉じた。海外で日本の現代文学に触れられる貴重な機会がこれからも増えていくことを期待する。