トロント国際映画祭の変遷で振り返る10年間|トロントと日本を繋ぐ映画倶楽部【第9回】

 2011年に創刊されたTORJA誌が、今月で記念すべき100号。そこで、2009年からトロント国際映画祭(TIFF)に行くようになった私は、この10年間をTIFFの変遷から振り返ってみることにします。

2009年(下)と2010年(上)の観客賞の投票用紙

2009年(下)と2010年(上)の観客賞の投票用紙

 10年前は、ずいぶんアナログでした。2009年や2010年のTIFF観客賞の投票は、入場時に渡される投票用紙に記入して投票箱に入れる方式。いつの頃からか、これが入場チケットの半券を投票箱に入れる方式になり、2018年からはついにウェブ投票になりました。

2009年(上)と2019年(下)の入場チケット

2009年(上)と2019年(下)の入場チケット

 入場チケットもアナログでした。ウェブでの販売システムが今よりも貧弱だった10年前は、発売日に日本から国際電話をかけてチケットを購入したものです。2009年には雑にもぎられていたチケットも、今やバーコード読み取りになり、スマホに入れた電子チケットでも入場可能になりました。2012年には、うっかり勘違いして別の上映劇場に並んだ私、違う映画のチケットを出したのにモギリのボランティアスタッフにも気づかれず、映画が始まってから間違いに気づき、そのまま違う映画を見ちゃった!なんてハプニングもありました。TIFFには、違うチケットで入場してごめんなさい、というところですが、アナログ時代の良き思い出です。

2009年(右)と2018年(左)の会場地図(TIFF発行の冊子より)

2009年(右)と2018年(左)の会場地図(TIFF発行の冊子より)

 10年前と比べると上映劇場も違います。TIFF Bell Lightboxがオープンしたのが2010年の映画祭期間中なので、2009年はまだ建設中。2009年のTIFFでは、Yonge-Dundasの角のAMCやBloor St沿いのVarsity Cinemas(いずれも現Cineplex Cinemas)なども上映劇場になっていました。ボックスオフィスも、City Hall近くのNathan Phillips Squareにテントを立てて開設されていました。ここのボックスオフィスに毎朝並んだものの、ヒース・レジャーの遺作となった『Dr.パルナサスの鏡』のチケットはどうしても取れませんでした。

 この10年を振り返ると、年々デジタル化が進み、日本からの情報収集やチケット購入が今ではずいぶん楽になったなと思います。そんな中、人気作品のチケットが取れない点は、この10年間でTIFFが変わらずにいるところです。

みえ

 大阪在住の映画好き。好きな監督の日本未公開作見たさに日本語字幕なしの輸入DVDを見始めたのが約20年前。さらに、未公開の最新作見たさに約10年前からトロント国際映画祭に行くようになり、映画三昧の今に至る。