ミュージシャン 村山二朗さん インタビュー

東京打撃団オリジナルメンバー 日本国内だけでなく世界各地で篠笛のライブを行うミュージシャン 村山二朗さん インタビュー

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国内外問わず世界で活躍する篠笛奏者の村山二朗さんが、永田社中とのコラボ公演でカナダ初ライブを実行。篠笛の演奏だけでなくワークショップなどいろいろな活動をされる村山二朗さんへ海外でのライブの様子、篠笛からみえる日本文化の良さ、篠笛との出会いについて語ってもらった。


海外と日本で公演の様子や観客の反応に違いはありますか?

やはり日本で演奏した際の観客の反応は海外に比べ大人しい印象を受けますね。海外では素直に反応してくれますし、特にアフリカやラテンの国々での演奏はとても盛り上がります。アフリカの民族楽器でも太鼓があるので現地の人は元々私たちの公演に興味があったようです。ただ、和太鼓では手ではなくバチを使うため音がとても力強く、アフリカの人たちはそういった文化の違いを楽しんでいただけたようです。今までで一番印象に残っているコンサートはメキシコでのセルバンティーノ国際フェスティバルです。そこではロックコンサート並の熱狂ぶりで、観客と私たち演奏者の間に身を守るための柵があるほどでした。
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今回のような海外公演ではどのくらいリハーサルに時間をかけるのですか?

今回は合わせる部分がとても多いので、公演前に三日間念入りにリハーサルを行っています。やはりトロントと日本では距離があり、細かい調整などはインターネットでの打ち合わせには限界があり、直に顔を突き合わせて肌と肌で合わせないと伝わらないところもあることがわかっていました。なので、今回も早めに入ってリハーサルしようということをあらかじめ話していました。

今回の演奏はトロントの観客の方にどのように楽しんでいただきたいですか?

今回は笛の演奏が普段の永田社中の公演よりも多いため、笛と太鼓のコラボに注目して観ていただきたいです。また、日本人の方でも実は篠笛を知らない方も多いので、この機会に知って欲しいです。永田社中さんのファンの方には、新しい曲も用意しているのでそこもご覧いただきたいです。

篠笛をはじめとして、様々な日本文化が海外へ広まっていますが、それについてはどう思われますか?

まず、篠笛の表現力には幅があり、そこが海外で注目されています。音も大きく、太鼓との演奏中でもマイク無しで観客まで届きます。私はその力強い響きがとても良いと思うので、その点に注目して聞いてもらいたいですね。次に、フルートやクラリネット、オカリナなどの楽器は長い年月を掛けて穴の位置が変わるなど「楽器が人に合わせる」ようにつくられています。しかし、篠笛は昔から形状が変わらず、穴の間隔が均等についており「人が楽器に合わせる」ように作られています。具体的にはクラリネットなどリードを使う楽器は、それぞれ個人に合わせて調整されているので使う人を選びます。でも篠笛はほとんど全てが同じ形状をしているので貸し借りが簡単です。それは、楽器だけでなく他の日本の文化にも当てはまります。例えば、着物はお端折りで着丈を調節することで着る人を選びませんし、下駄も使う人を選ぶことはありません。そういったことで、物の貸し借りやプレゼントがしやすいのも日本文化の一つの利点だと思います。このように、一見不便なようで便利な一面が日本の楽器・文化にはあり、それも文化が広まるきっかけの一つではないでしょうか。

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カーボンファイバーの篠笛を開発されたそうですが、それはどのような笛ですか?

これは、世界初の試みで篠笛がカーボンで作られています。中には漆が塗られていて、音は通常の篠笛とほとんど変わりません。この笛を作るまでに篠笛に使われている篠竹について調べ、節の位置や太さなど多くのデータを集計し、そこから導き出された理想の形をしています。ただの真っ直ぐな管ではなく、本来の篠竹のように膨らみがあり、自然な曲線をした竹の形が篠笛の音色に味を出しています。

今後の展望をお聞かせください。

私はカナダでの演奏は今回が初めてです。伝統的な演奏も大切にしていますが、ワールドミュージックとしてバンドスタイルの演奏もしています。なので、次カナダに来るときは、そういった違うスタイルの演奏をしたいです。

篠笛との出会いや音楽を続けることになったきっかけは何ですか?

私は小さい頃から音楽に興味を持っていて、特に吹く楽器が好きでした。小学校のころにやったハーモニカが楽しくて、自分で音を拾ってアニメソングなどを吹いていました。その後、トランペットやサックス等いろいろな管楽器をやっていました。しかし、どれもしっくりこず、人の演奏を見ると「いいな!」と思い挑戦してみたものの、自分で吹くといい音も出ず、たいしてモノにならないものばかりでした。このように自分に合う楽器を探し求めていた時に、笛を吹いてみたところ、それがすごく体に馴染んだので笛を吹くことを決めました。そのため、他のプロの方々よりも少し遅い18歳になってから笛を始めることになりました。

音楽を続けている人は多いですが、それをキャリアとして続けるのはとても難しいと思います。そこで、夢を探し、追いかける若者にアドバイスをお願いします。

私はまずオリジナル要素が大事だと思います。人の作品と似ていると世間では評価されません。特に近年の方の作品を参考にしてしまうと、それこそ誰かと似ていると評価されないです。なので、「温故知新」とあるように、もっと昔の人の作品を学び、それを基礎にしてオリジナル要素を足していくようにしています。すると、オリジナルの曲なのに古風な雰囲気を持った曲が書けるなど、新しい作品を作り上げることができます。

村山二朗
lebunkamuy.com
ミュージシャン。篠笛をメインとして海外の音楽フェス等にも参加し、国内外問わず精力的に活動中。東京打撃団のオリジナルメンバーの一人。今はライブだけでなく、ワークショップやカーボン篠笛の製造など積極的に様々な活動をしている。