子供たちとお年寄りの避難 | 東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第48回】

前回は4月に発災した熊本地震のお話をさせていただきました。あれから約二か月経過しましたが、まだ避難所で生活する方も多く、さらには車での避難が今回の震災の特徴でもあり、狭い車での避難生活の影響で、エコノミー症候群で亡くなる方も多く出ました。あらためて早期の復興を願っています。

さて、東日本大震災でも、今回の熊本地震でもそうなのですが、大災害が起こった時に、一番避難をするのが困難なのが小さな子供たちと、お年寄りになります。東日本大震災でもこの子供たちの避難と、お年寄りの避難はとても大きな問題として取り上げられました。朝や夜ならば、子供たちは保護者の元にいます。そういう時間に大災害が起こった場合は、保護者がしっかりと責任を持って避難誘導が出来ます。お年寄りも同じで、そういった時間であれば、歩けないお年寄りも担いで逃げるとか、車いすに乗せて逃げるとか、家族の支援があれば、助かる命は間違いなく多いと思われます。

しかし、日中に大災害が起こればどうなるでしょうか。子供たちは学校や幼稚園に行っています。親は仕事などで子供たちと基本的には分かれて生活していて、そんな中で大災害が起これば、学校や幼稚園、保育所などの責任で避難しなければいけません。そんな事態に備えて、岩手県では学校や幼稚園などでの避難訓練をとてもしっかりとおこなってきました。

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実際に東日本大震災で大きな被害を受けた沿岸部の野田村保育所では、避難訓練にのっとった迅速な避難行動により、約90名の園児の全員が無事に避難することが出来て、奇跡の脱出とも言われました。所長さんは「避難訓練を地道に積み重ねた成果」と言っておりますが、それがどれだけ尊いことか、本当に尊敬します。

また、岩手県では東日本大震災の時に沿岸部の幼稚園、保育所で施設管理下での園児の犠牲は一人もいませんでした。園児は歩くスピードや理解するスピードもそれぞれで、一斉に避難訓練をしてもなかなか理解できませんが、一人ひとりの発達のスピードに合わせて訓練を重ねていたとのことです。しかし、お隣宮城県では、石巻の私立幼稚園や保育所で犠牲が出て、いまだに裁判でその責任について争っているところもあります。
どんな形でも、子供たちは自分の命は自分で守れません。学校や幼稚園、保育所は大災害があった際には子供の命をしっかりと守る義務があり、それにどれだけ真摯に向き合うかなのだと思います。

お年寄りも同じで、日中誰も介助のない状態で大災害が起こったら、自分で動ける人はいいですが、車いすの人や、歩けない人などは、もうどうすることもできません。歩ける人ですら、そのスピードは普通の大人よりもはるかに遅く、避難はとても大変なのだと思います。日々の備えや日頃の避難訓練がどれだけ大事か、平時の今だからこそ改めて考えなければいけないと感じています。


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本文:南部美人 五代目蔵元
東京農業大学客員教授

久慈 浩介