震災関連自殺 | 東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第61回】

東日本大震災ではここで述べるまでもありませんが、大変多くの方々が被災して、多くの命がその震災により失われました。

しかし、報道ではあまり出されていない事ですが、「震災」の直接的な被害で亡くなった方々はもちろんたくさんいるのですが、実は「震災の後」の間接的な事象により亡くなった方々、つまり「震災関連自殺」も、実はかなりありました。

私も仲間の女性をこの震災関連自殺で亡くしました。せっかく震災の被害から助かった命・・・なぜそれを自ら断たなければいけないのか・・・

それがどれだけ残された人を苦しめ、悩ませ、後悔させるか。当事者にならなければわからない事でした。あまりにもつらい経験だったので、今まで書けませんでしたが、今回はやっとここで書くことが出来ました。

この震災関連自殺の話をここで書こうとしたのは、さまざまな悩みを24時間、365日受け付ける無料電話相談よりそいホットラインに岩手、宮城、福島の被災3県から寄せられた、自殺に関する相談の割合が、被災3県を除く、全国の2倍に上った、というニュースを目にしたからです。

震災からこれだけ時間が経過しているのに、いまだにその自殺関連の相談は被災3県の割合が減っていない、とも書かれていました。

私の友人が自殺したのは震災が起こった年でした。それはもう、本当に信じられませんでした。こんなつらい経験はもう誰にもしてほしくありません。


このホットラインへの自殺の相談は全国と比べて50代の割合が高いそうで、復興が進む一方で被災後の生活困窮の深刻化や経済的な格差の拡大が背景にあるのではないかと思われます。

さらには広域避難者の孤立も課題になっています。理解者がいない、と打ち明ける避難者もいるそうで、時間が経過して、東北はもうすっかり元通りになっている、と思っている人も多いかもしれませんが、心の傷や心の問題はまだまだ元通りにはなりません。

今でも自殺した仲間を思い出します。まだ若くて、すごく素敵で活発で、震災発生後も、誰よりも積極的に津波被害の大きかった沿岸部でボランティアをしていたのに。自分の家族も無事で、これから復興していこうと言う時に、なぜ。今でも自問自答しています。

私たちのあの時の行動がもう少ししっかりしていれば彼女の命を救えたのではないか、頑張れと言いすぎたのではないか、もしかしたら追い詰めたのは私たちだったのではないか。

こんな思いはもう誰にもさせたくありません。声を掛け合って前に進んでいきます。


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本文:南部美人 五代目蔵元
東京農業大学客員教授

久慈 浩介