新日系コミッティー(NJCC)代表団が伊藤恭子 在トロント日本国総領事を表敬訪問

伊藤恭子総領事(中央)を囲んで。NJCC代表団の皆さん(左から)服部江里子さん、ラシュトン美紀さん、中山あつ子さん、劉東滉さん、澤原こずえさん、ジェームス・ヘロンさん、三枝与一さん、内藤洋子さん、武元昭儒さん


日本人新移住者同士のためのコミュニティーとして組織され、日本語教育や文化継承に努めている新日系コミッティー()の代表団が2月28日にトロント総領事館を訪れ、伊藤恭子総領事と日系コミュニティーの歩みや課題等について意見交換を行った。

新日系コミッティー・NJCCの歩み

NJCCとはNew Japanese Canadian Committeeの略で、日本語では新日系コミッティーと呼ばれている。前身のトロント新移住者協会(NJCA)は1976年に発足し、その当時は戦後移住者である新移住者の親睦を深め、相互理解や援助を促進することで移住者の地位向上を目指してきた。

昨今では国際結婚によって新日系二世が増え、新移住者の多様化が進み、さらには留学生やワーキングホリデーで渡加するする人も活発になり、就職や起業などでカナダに移住する日本人も増えてきている。こうした背景を受け、2015年、大きな枠組みとしての日系社会と日本文化を守り、存続させていくことを願ってNJCAは日系文化会館であるJCCCと運営を共にすることを決定し、NJCCとして新しく発足した。

現在の主な活動内容としては季節を感じられる恒例のお正月会や夏祭りなど日本文化・伝統の継承を目的としたイベントの企画、運営、そして日本語教育プロジェクトとして、日本語教師研修会の開催、日本語学校との連携を行っている。

伊藤恭子総領事とNJCC代表団の初会談

代表団と伊藤恭子総領事の会談では、NJCCの活動内容はもちろん、前身のコミュニティー団体であるNJCAが1978年に初めて総領事館を表敬訪問した当時からこれまでの歩みや、日本語学校や文化継承を行っていく上での課題について密な話し合いが行われた。

-1978年の初表敬訪問から続く友好的な関係

NJCAが初めてトロント総領事館を訪れたのは、1978年だという。当時はまだ移住者協会の組織が全くできておらず、今後の日系コミュニティーの活性化を考え、当時総領事だった茂木氏のもとに日系文化会館やトロント日本商工会の人たちと一緒に新移住者の話や様々な面からのサポートを得るための話し合いが行われたとのことが説明された。それから40年の月日が流れ、2015年にはスムーズな形で世代交代をしてきたことなど、これまでの歩みについても語られた。今後の課題としては、また新たな世代交代が行われる際、どのような形で次の世代に任せていけるかという点ではないかと語った。

団体の意義と活動内容を説明する武元共同代表

-総領事館の今後の活動

伊藤総領事からは、今年2018年が日加修好90周年を迎える年であることから、トロントのみの活動に限らず、日本と姉妹都市関係を結んでいる場所にも赴こうと考えていると語った。3月には藤沢市と姉妹都市であるウィンザー市を訪れ、ウィンザー大学で講演を行ったり、市長と会ったりすることで日本についての情報発信に力を入れていきたい考えだそうだ。

また、学生や有識者など幅広い人を対象にした講演の機会を増やしていくことも予定しているという。総領事自身が講演に赴き、日本の外交、日加の関係を日本の代表として積極的に公演を行っていきたいと述べた。

-日本語教育と文化継承の課題について

前身団体であるNJCA時代から日本語継承・教育に力を入れてきている新日系コミッティー。過去には国際協力機構(JICA)支援を受け、教師研修会を実施、及び日本語教育啓蒙の場を提供するなどしてきた。

トロントには継承日本語学校として国語教室、日加学園、日修学院の三校があるが、その存在意義とは対照的に学校の経営は厳しくなってきており、援助も減ってきているという現状を、日本文化の継承を目的に活動するNJCCは憂いているという。以前と異なり、現在では校舎使用料等を払う必要も出てきてしまっているため、月謝という形で子供を学校に通わせる親御さんたちから協力を得ているそうだ。数々ある助成金に申請をしているものの、既存の助成金の中でも募集が打ち切りになっているものも多くあるため、日本政府や総領事館からも今後もサポートを行っていただきたいと述べた。

団体の意義と活動内容を説明する武元共同代表

-文化的遺産・継承物の重要性について

日系文化会館(JCCC)ではヘリテージに重要性を置いており、ヘリテージ委員会も設置している。その目的はカナダ人に日系カナダ人の文化や歴史の遺産を伝えながら、日系コミュニティーがこれまで行ってきたカナダへの貢献などの情報を発信するとともに、ヘリテージを知るということは日本人の血を持ってカナダに生まれた二世や三世の方々が自らのルーツを探る大切なきっかけの場にもなっていると語られた。

ヘリテージ継承というテーマはJCCCの傘下であるNJCCにとっても重要なテーマであり、2017年には「トロント新移住者50年の歩み」と題した記念誌を作成し、無料配布を行った。記念誌には新移住者の歴史、日本人野球リーグやトロントで開催される紅白歌合戦の記録、年代別の移住者座談会や新移住者からの寄稿文や祝辞、戦後移住に関する資料がカラー写真入りで168ページにわたって掲載されている。

このような文化継承、歴史継承を促進する活動にも助成金といったサポートが必要であることは明白だ。このような活動を続けていくためにも、どのような助成金プログラムに申請することができるかを見つけ出すことが現在の課題だそうだ。

和やかな雰囲気の中、積極的な意見交換が行われた

これらの課題に対して伊藤総領事は、カナダは多様な文化が集まった国であるため、より分かりやすい形で助成金プログラムの申請についての情報が開示されていると思っていたため、このような課題があることに真剣な表情で話しを聞いていた。その上で、様々な民族のヘリテージを守りつつダイバーシティーを守ろうという動きが連邦レベルだけでなく、州レベルでも活発であることから見て本来であれば多種多様な助成金プログラムがあるはずだとも述べた。また、トロントのようなマルチカルチュラルな大都市では必然的に別の文化から来ている人々が文化継承や歴史継承を活発に行っているため、国語教室、日加学園、日修学院の三校が共同で申請をしてみるのも一つの方法ではないかと提案した。

大変和やかな雰囲気の中、活発な意見交換会が行われたNJCC代表団による伊藤総領事への表敬訪問。今後も日系イベントや日本語教育、文化継承に関連するプログラムを通じ、NJCCが総領事館などのサポートや伊藤総領事のアドバイスを通じてさらに日系コミュニティーの発展を牽引していくことに期待したい。

NJCCではボランティアも募集しているため、
是非 jccc.on.ca/njcc/ から詳細をチェックしていただきたい。