[第11回] アービトレーション1|カナダ・オンタリオ州公認パラリーガルによる日本語法律相談

前回まで、ミディエーションとは、「裁判に代わるプロセスではあるけれども当事者双方に歩み寄る姿勢がないと成立しない」こと、「弁護士抜きで解決に導く簡易プロセスではないこと」を紹介してきました。さらに、ミディエーションには法的拘束力がないため「話し合いの席で同意されたことが、必ずしも同意書作成に反映されるものでない」こともお話しました。

今回から数回にわたり、ミディエーションの限界を補うアービトレーションについて解説しましょう。

◆アービトレーション~z
ミディエーションは、仲裁または調停と訳されますが、アービトレーションの訳も、仲裁や調停とする辞書をよく見かけます。 また「コンピューターの周辺機器や拡張ボードの処理がぶつからないよう制御する機能」であるIT用語としても浸透していますね。

しかし、二つの異なる主張が「ぶつからないよう制御する機能」としてのアービトレーションは、「第三者に解決を依頼する」ことを指します。ミディエーションと異なり、アービトレーションでは、当事者はアービトレーターの判断に従わなければなりません。

このように、アービトレーターの判断は法的拘束力を持つため、日本の審判と同じであるとされることもあります。けれども日本の審判が、裁判所の介入であることに対し、カナダのアービトレーションは、当事者が「誰に判断を委ねるか」を決めることができるのです。

◆ミディアービ

裁判を避ける選択肢としてのADR(Alternative Dispute Resolution)において、最初からアービトレーションを選ぶ人はあまりいません。

ビジネス上の契約などで「万一問題が発生したらアービトレーションで解決する」という項目が盛り込まれるのが一般的であるのに対し、個人間の対立では、まずミディエーションで話し合いを進めることが好まれるようです。

しかし、法的拘束力がないというミディエーションのリスクを回避するために、「もしミディエーションが失敗に終わったら、即アービトレーションに移行する」という取り決めをしておくことで、心理的、経済的負担を軽減することができるでしょう。

まず仲裁者の下、当人同士が話し合い、それが物別れに終わった場合、同じ仲裁者が判断を下すことをミディアービと言います。ミディエーション+アービトレーションの略ですね。

ミディエーションで解決に至らなかった場合、結局裁判になることが多いことを考えると、初めからミディアービを採用することで、裁判を避けることも可能です。

ADRは、裁判に代わるプロセスとして、大勢の人々に利用されています。それに伴い、トレーニングを受けたミディエーターやアービトレーターも増えてきていますので、法的対立の解決方法としてぜひ検討してもらいたい選択肢です。

次回は、アービトレーション・プロセスについて、もう少し詳しく覗いてみましょう。


野口ひろみ

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