カナダの日系コミュニティの人たちの多くが参加し交流を深める「ノスタルジアナイト」が今年も晴れやかに開催 7月28日 @日系文化会館

パイオニア賞を受賞したJCCCカラオケクラブ、トロント仏教会カラオケクラブ、ヤツナミシニアカラオケクラブ、モミジカラオケクラブ、歌おうネットでカラオケの皆さん

日系コミュニティに貢献してきたカラオケクラブを表彰

 日系文化会館で開催された「ノスタルジアナイト」は、カナダにおける日系社会を支えている団体やクラブについて学び敬意を表すると共に、家族や友人たちと交流を楽しみ、懐かしい日系カナダ料理を堪能できる素晴らしいイベントだ。

 イベントでは、長年にわたりカナダの日系コミュニティの文化や社会の発展に貢献しているとして、「JCCCカラオケクラブ」「トロント仏教会カラオケクラブ」「ヤツナミシニアカラオケクラブ」「モミジカラオケクラブ」「歌おうネットでカラオケ」5つのカラオケ・クラブに「パイオニア賞」が授与された。

 カラオケクラブには何十年にわたって活動を続けているクラブもあり、会員が集って歌を歌うことで仲間意識を育て、楽しい時間を共有する機会を提供していることが今回の「パイオニア賞」の受賞の決め手となっている。

日系コミュニティの結束を固める〝懐かしの夕べ〟

 また、会場には日系コミュニティから200名余の人々が一堂に会し、毎年歓談や交流を楽しむ場としても重要な役割を果たしている。特に戦争の前に移住した日系カナダの2、3、4、5世…たちと、新たに移住してきた新1、2、3世…たちが互いに親睦を深め合う様子が見られた。会場には親子三世代で参加している人の姿もあり、世代を超えて親交を深めつながっている日系コミュニティの結束力の強さを今一度感じることができた。

 また、今年は初の試みとしてノスタルジアナイト委員会メンバーであるコズロブスキー阿部美智子さんをはじめとする「Kimono Fan」クラブがイベント前に無料の着付けのお手伝いを施し、会場には華やかなお着物や浴衣に身を包んだ女性たちの姿も目立った。

昔懐かしの「日系料理」を味わう

 イベント前には焼きそばをバンで包んだパンや温かいお茶が振る舞われたほか、メインとなる日系料理として焼き鳥やおいなりさん、なますなど数々の品が揃い、一同が舌鼓を打った。また、多数用意された食後のスイカやおまんじゅうなどのデザートは、瞬く間に来場者の手に渡った。

 この「日系料理」は第二次世界大戦という過酷な状況の中、カナダの日系人が作った日本を懐かしむ料理だという。食料の入手も困難であろう時代にこうしてカナダに移り住んだ人々が祖国日本の味を再現し、祖国を想っていたことを思うと、胸がいっぱいになった。

受賞したヤツナミシニアカラオケクラブ(左からMarty Kobayashiさん、Jim Kobayashiさん、Peter Wakayamaさん)

受賞したトロント仏教会カラオケクラブ(写真中央Goerge Horiiさん)

 また、戦争当時の人々が作っていた料理が現在も日系コミュニティのあいだで愛され、継承されていることを知り、この素晴らしい食文化を廃れさせて欲しくないと感じた。参加された2世にとっては昔の思い出料理を懐かしみ、そして子供や若者世代にとっては先の世代の歴史や文化を身をもって味わい、理解する場となったに違いない。

工夫して作られた焼きそばパン

 司会者として壇上に上がったJCCCのパストプレジデント兼アドバイザーを務めるマーティー・コバヤシさんは、まず日系コミュニティの伝説や文化・歴史をカナダに紹介し、社会に貢献して文化を継承してきた日系文化会館の重要性について触れた。また、今回の「ノスタルジアナイト」も、日系カナダコミュニティのなかで貢献してきた数々の団体を称えるものとして重要な位置づけであるという。日本で親しまれているカラオケを通し、余興と交流の場として活用してほしいと語った。

 続いてJCCCのディレクター、ピーター・ワカヤマ氏は、「『ノスタルジアナイト』は、私たちをつなげてきた」と力強く語った。長年私たちに楽しみを共有する場を与えてきたカラオケクラブを称え、今夜心地よい日系料理やプログラムを楽しむだけでなく、世代を超えて交流してほしいと語った。

 続いてバン氏は、1971年に神戸のスナックで始まったというカラオケの発祥に言及。千昌夫の「北国の春」が南アジアで流行するなど、日本人が持ち込んだことで今でも海外で知れ渡っているというカラオケの文化の重要性を述べた。

若い世代にもぜひ参加してほしい「ノスタルジアナイト」

 日本で生まれ育った身としてこのイベントに参加したが、昔懐かしの歌や日系料理を楽しむことで、カナダに移り住んだ日系人の当時の文化を追体験することができた。カナダの日系コミュニティについて学べる場所としては森山センターなどが挙げられるが、知識を得るだけではなく、半日かけて当時の日系人の暮らしや文化を身をもって理解できるのはここだけだと感じる。

 また、世代を超えて日系コミュニティの方が歓談する姿を見て、つながりの強さを今一度感じとった。私自身も、当日最初の円卓で一緒になった日系コミュニティの方との歓談を通して、その人の生い立ちや経験を知り、「助けを求めることを恐れてはいけない」、「多くの人々と交流して学びなさい」、「見返りを求めず、先に施しなさい」など人生の教訓を教えていただき、深く胸に刻むことができた。

 日系料理や素晴らしい歌を堪能しにこのイベントを楽しむのも良いが、カナダの日系コミュニティの方とのお話を通して、何か気づきや学びを得たり、思う所がそれぞれあるのではないかと思う。長年続けられてきたこの伝統を継承するため、そして日系コミュニティの人との交流を広げるためにも、若者世代こそ、参加する価値があるのではないかと思った。ぜひ浴衣か着物を持参して、毎年夏開催の「ノスタルジアナイト」に足を運んでみてはいかがだろうか。