誰もが気になる株と仮想通貨のはなし | バンクーバー在住の人気ブロガー岡本裕明

アメリカ発の株価下落におののいている方もいらっしゃるだろう。その下落の影響は地球をぐるりと一周し東京株式市場にも十分すぎるぐらいのボディブローを浴びせた。近年は不動産、株式、ビットコインと景気の良い話に浮かれていたと思うがさて、この先、どうなるのだろうか?


まず初めにビットコインと仮想通貨について考えてみたい。私は自分のブログで一貫してビットコイン相場は崩落すると言い続けている。ビットコインに代表される仮想通貨のアドバンテージはブロックチェーンだったはずだが、コインチェックからの仮想通貨流出事件でそれが必ずしも実務的に絶対有効ではなかったことを露呈している。

仮想通貨ブームが崩落する理由は数多くあるが、2つだけ。まず、ビットコインには担保となる価値が存在しておらず、紙切れよりタチの悪いただの電子的記録だけである。株や不動産はその背後に担保となる価値が存在する。では一般に流通する通貨はどうかといえば国家が保証するという担保がある。ところが多くの仮想通貨にはそれがない。よって当初から指摘されているようにビットコインの適正価格は誰も示せないのである。

2点目は量子コンピューターの開発が着々と進んでいることである。IBMが汎用型量子コンピューターの実験に成功しているが日本では日立をはじめ、各方面で新世代のコンピューター研究が急速に進んでいる。7〜8年後の実用化とされるが、もっと早く実用化の目途は立つかもしれない。それができると仮想通貨の秘密のカギは破ることが可能になるとされる。つまり現存する仮想通貨は技術的によほどの改良をしない限り存続しえないことになる。

よって個人的には仮想通貨は別の形での成長を模索することになると思うが、この1、2年、ビットコインは一般人を覚醒させたという意味で市場にただならぬ影響を与えたことは疑う余地がない。それは「相場で儲ける」という新たなる希望を与えたことだ。

日本ではビットコインで億単位のお金を稼いだ人を「億り人」というが、99%のビットコイン市場参入者は一獲千金の夢を見たいという気持ちの表れだった。これは株式市場や為替のFXのように「新参者には難しい」というイメージが少なく、プロが市場を形成していて素人が負けやすい相場環境とは違い、誰でも同じところを初めて走っているという共鳴するものがある。だから私はその点については皆、同じ汗をかいたのだと思っている。

ただ、問題が一つあるとすればビットコイン相場が崩れる中で「下がる!」という認識をしたのも久しぶりだという点だ。アメリカをはじめ、世界の株式相場はずっと上げ基調で数年が経つ。カナダなどの不動産市況もずっと上がっている。つまり、相場とは上がるものだと信じている人がより値動きの荒いビットコインで痛手を負ったという衝撃的出来事を経験し、株や不動産も下がるのでは、というベアマーケットにマインド転換を引き起こしたとみている。

だからアメリカをはじめ世界の株が急落したのだという乱暴な論理は振りかざさないが、少なくとも弱気筋が余計弱気になるきっかけを作ったことは間違いない。そして下がったタイミングはビットコインもアメリカ株式相場もだいたい同じころであったという指摘をする人はほとんどいないだろう。なぜならそんなもの、無関係だと断じる人がほとんどだからだ。だが、実際には同期している。

では株式の方だが、大丈夫なのか、と言われると価格が高いところにあることには違いない。株価が買われるのは実績に裏打ちされた場合と将来の価値を先取りするケースがある。例えばアップルは実績に裏付けされた株価形成になっている一方でアマゾンやテスラは期待先行で論理的な株価とはとてもじゃないが言い難い。

実績に裏打ちされた株価の場合で配当がそれなりに期待できる場合、10年持つつもりになればよいだろう。単純計算で10%の配当があれば10年で元本は取り戻せる。10%もの配当がある会社なんてないだろう、と言われる方もいらっしゃるだろうが市場にはずいぶんあるものだ。これぞ本当の宝探しである。

つまり丁半ゲームのように上がった、下がったで一喜一憂せずにじっとしていれば銀行預金利息よりずっと高い配当を得ることができるし、10年のサイクルの中で株価は上下するのだから儲けることも可能であろう。

もっと増やしたいという場合にはアマゾンやテスラのように未来に大変貌するような銘柄を見つけてじっと芽が出て花が咲くのを待つのもよいだろう。私が今、考えるなら宇宙関連、環境、画期的医療などがあれば面白いと思う。ビットコインで大儲けした人たちもビットコインが世間で注目される前に所有し、じっとしていた人たちだ。本当の果実は未開の地にあって機が熟すまでずっと待つことが大事だと言っておこう。

実は私の周りにはお金を増やしたい、だけどカナダの不動産は高くて買えない、とつぶやく方がずいぶん多い。ならば手持ちの1千ドルや1万ドルを着実に増やすという訓練から入るべきであろう。

相場とは大洋の波と同じで凪いでいるときもあれば大嵐になることもある。少額のなけなしのお金をボラティリティの高い商品に突っ込むのはカジノで一獲千金を狙うようなものだ。

お金には増やし方がある。そして荒れ狂う市場に影響を受けないようなしっかりした投資ポリシーを持てばどんなに世間が騒がしくなってもお金を着実に増やす道は案外あるものだ。


岡本裕明(おかもとひろあき)


1961年東京生まれ。青山学院大学卒業後、青木建設に入社。開発本部、秘書室などを経て1992年同社のバンクーバー大規模住宅開発事業に従事。その後、現地法人社長を経て同社のバンクーバーの不動産事業を買収、開発事業を完成させた。現在同地にてマリーナ事業、商業不動産事業、駐車場運営事業などの他、日本法人を通じて東京で住宅事業を展開するなど多角的な経営を行っている。「外から見る日本、見られる日本人」の人気ブロガーとしても広く知れ渡っている。