カナダでチャンスをものにしよう!|バンクーバー在住の人気ブロガー岡本裕明

 私がカナダに来たのは1992年。それから人生の半分をカナダで過ごすことになるとは思いもしなかったが今日に至るまで日本では成し得なかった数々の経験が私の人生を大きく変えた。もちろん、ポジティブな意味でだ。それらのいくつかを綴ってみよう。きっと皆さんの参考にもなるだろう。

〈Do It Yourself!〉

 カナダに来たばかりの頃、アパートを借りた際、ユダヤ人の知り合いがIKEAで揃えるのがいい、と言う。早速アパートの家具一式を買い付け、配達日に家で待っていると段ボールに入った大量のIKEA組立家具が。てっきり完成品が来ると思っていただけに配達の人に思わず、「すいません、まさか、このまま置いていくのではないでしょうね」と聞いてしまった。

 アパートの管理人から借り受けた工具で寝るまでにどうにかベッドを完成させた時、Do It Yourselfの国に来たと感じたものだ。

 その後、業務を通じて「必要以上に人にモノを頼むな、金がかかる」といろいろな人から指摘され、アジアとの違いを感じ、徹底して仕事のDo It Yourself作戦で鍛え上げた。それが実り、今では会計書類からある程度の英語の契約書やリーガルドキュメントまで全部自分で作成できるようになり、どれだけ会社のコストセーブができたか計り知れない。

 そういえばこちらでは日本と違い、家に呼ばれることも多い。日本では家が狭いのでレストランで会うことも多いが、北米ではホームパーティはごく普通。その際、ポットラックという各自持ち寄りの時もあるがそれはある意味、料理の腕自慢ともいえよう。日本で鍋も包丁も握ったことがない若者が増えているようだがDo it Yourselfとは決してHome Depotに行く日曜大工のおじさんのことだけを言うのではないことは肝に銘じたい。

〈英語は階段を登るがごとく上達する〉

 英語で苦しむ若者は多いだろう。実をいうと私も苦しんだ。それまで日本や海外出張でさんざん英語を使っていたのにこちらに来てさっぱり英語が見えない、聞こえない、喋れないの三重苦に陥ったのだ。別にノイローゼになったわけではないが、それまでの旅行英語や表面的な英語からディープな仕事の部分に入り、専門用語とビジネス独特の言い回しに翻弄されたのだ。

 その頃、カナダ人のアシスタントに「どうやったら英語が上達するのだろう?」と悩み相談したことがある。彼女の「カナダ英語辞典を買ってみたら」の一言で目覚めた。「カナダ英語?」そんな存在、知らなかった。英国でもアメリカでも過ごしてきたのになぜ、カナダでうまくいかないのか、そうか、カナダ英語があったのか!自信喪失状態から「なーんだ!だから聞こえないのか」とパッと気持ちが開けたとたん、英語が聞こえるようになった。
 その後、私の英語は壁にぶつかりしばらく苦戦してふっと急にうまくなる、というのを繰り返してきた気がする。階段を登る感じというのはこのことだ。「できない」と悩むのではなく「何故出来ないのだろう」とその原因を突き詰めることで英語の進化の道が見いだせたような気がする。

〈プレゼンテーションは首を左右に振りながら笑顔で〉

 学校に通う人には必ず付いて回るのがプレゼンテーション。日本の学校ではまずやらない。だが、こちらでは小学校から当たり前のように人前でしゃべることを求められる。この目的は自分の考えを述べ、聴衆がいかに自分に賛同してもらえるか説得力を養成するものである。

 そのためには話が面白い、身振り手振りで聴衆を自分に引き付ける、上から目線ではなく、語り掛ける、ストーリー性を持たせて話に引き込まれるようにする…といった数々のテクニックがある。

 私は今から20数年前、かかわっていた事業であるアワードを受賞した。グラミーやアカデミー賞と同じようなタキシード、ドレスの聴衆が約1000名。テレビカメラが回る中、司会のテレビのアナウンサーがグラミー風に「The Winner is…」ともったいぶりながら封筒を開ける。

 私の事業がゴールドを受賞した時、スポットライトが私の方にあたり、割れんばかりの拍手に迎えられステージに向かうが、さて困った、なんて言おう!である。まさか、マイケルジャクソンじゃないから「I love you!」とも言えまい。

 案の定、盾をもらった後、一言と促され、何かを言った記憶がある。内容はよく覚えていないが、これだけははっきり記憶している。聴衆を右から左、左から右と首振りの扇風機のようにクルクル見渡しながら腋から汗、顔はニコニコで聴衆から爆笑を取ったことだ。

 アイコンタクトという言葉ある。目でしゃべるということだ。これは思った以上にパワーがある。「目力」で相手を説得すらできるのだ。英語はしゃべるだけじゃない。身振り、手ぶり、首振りで心臓バクバクでも顔は笑顔、これが秘訣である。君も渋野日向子のスマイルを目指そう!

 三つのお話をさせていただいたが実は、こんな話はごまんとある。逆にそれだけあるということは恥を気にしなかったということだ。失敗しても何にも気にしない、同じ失敗を二度としなければいいだけだ。

 カナダに来て内向的になってしまっている方もいるだろう。是非とも外の世界に飛び出してもらいたいと思う。この国の人はどんな人も心地よく受け入れてくれる。私が28年、ここで世話になったのはその寛大な精神故であり、そのおかげで私もよい仕事をさせていただいている。感謝感謝。

 そんなカナダに来ている皆さんは幸せだと思ってほしい。そしてそのチャンスをしっかりつかんでほしい。カナダで仕事する夢も永住する夢も最近はやや近くなったようだ。カナダは人口の1%も移民を受け入れている国だ。その新天地で人生を変えてみようじゃないか!

岡本裕明(おかもとひろあき)

1961年東京生まれ。青山学院大学卒業後、青木建設に入社。開発本部、秘書室などを経て1992年同社のバンクーバー大規模住宅開発事業に従事。その後、現地法人社長を経て同社のバンクーバーの不動産事業を買収、開発事業を完成させた。現在同地にてマリーナ事業、商業不動産事業、駐車場運営事業などの他、日本法人を通じて東京で住宅事業を展開するなど多角的な経営を行っている。「外から見る日本、見られる日本人」の人気ブロガーとしても広く知れ渡っている。