なぜ、日韓はウマが合わないのだろうか|バンクーバー在住の人気ブロガー岡本裕明

 今回の日韓のすれ違いは政治問題に端を発したのだが、恐ろしい程のメディアの盛り上げ合戦で双方の一般国民も反応せざるを得なくなったというのが本音だろう。こんなふうになったのは当然背景があるのだが、多くの人は目先のニュースに振り回されている。三歩ぐらい下がって一度検証してみよう。

 日韓の関係の悪さというが実は日朝にも冷たい関係にある。そう踏まえれば朝鮮半島と日本の関係に寒風が吹いていると考えてよい。ではいつからそんなふうになったのか。歴史を紐解いてみたいが、センシティブな部分もあり、この短い枠では当然語り切れないのでポイントだけ抑えよう。

 今でも時として韓国側が持ち出す豊臣秀吉の朝鮮出兵への恨みであるが、これはある意味、朝鮮半島側の被害妄想もある。というのは豊臣秀吉が支配を目指したのは中国(当時の明国)であって朝鮮半島はその通過点として捉えていた。が、道を譲らなかった朝鮮半島が結果として戦場になってしまった感は強い。ちなみに激突した戦争は今の北朝鮮、平壌あたりで豊臣軍と明軍が激しく戦ったのち和議になっている。

 次いで西郷隆盛の征韓論。明治黎明の頃、多くの内閣が長期の外遊に出る中で留守番役の西郷が征韓論を唱えた。結果としてそれは否定され、西郷は西南戦争でその生涯を終える。西郷がなぜ征韓論を唱えたか、といえば当時のロシアが東方政策を進めたからに他ならない。

 ロシア東部の都市、ウラジオストックは単語的にはウラジ(支配する)とオストック(東)というロシア語から来ている。不凍港を求めたロシアが1860年に清国から得たこの街を足掛かりに朝鮮半島まで一気に支配下に置こうと考えた。これに対し、西郷は危機感を覚え、朝鮮半島をロシアに対する橋頭堡にしなければロシアは日本をも支配するだろうと考えたのだ。

 西郷は西南戦争で粛清されたが西郷の考えはその17年後に日清戦争として再現される。その結果、朝鮮半島に与えたものは李氏朝鮮の地位確認、独立、清国との宗主権の放棄という近代朝鮮を作るうえで極めて重要な足掛かりを生み出したのである。

 ただ、残念なことにこのころから朝鮮半島と日本の関係はぎくしゃくする。日本の主張は戦時中を含め、朝鮮半島の近代化のために多大なる労力を払ってきた、とするのに対し半島側は支配された恨みが深く根付くのである。

 この理由はどこにあるのか、といえばせっかく宗主国の関係を打ち切ったのにそれを良しとしなかった半島の人たちの本音があるのかもしれない。宗主国とは国家の親子関係のようなものであり、冊封関係ともいう。つまり、半島は常に中華に対して仕えなくてはいけないとする発想である。

 当時の半島は儒教を重んじていた上に中華思想が半島の歴史に染み渡っている。つまり、悪く言えば日本に勝手に親子の縁を切られて独り立ちせよと強要させられたともいえなくはない。

 その後、日露戦争を経て第二次世界大戦が起きたのだが、日本の満州進出の数ある理由の一つはロシアの南下を防ぐためであった。ちなみに日露戦争では日本海軍が大活躍したが、その際の主眼はウラジオストックに軍艦を入れるな、であった。そういう点では日本は半島を意識した歴史ではなく、そこに半島があったのだ、ということにならないだろうか?

 歴史の話が長くなった。だが、この背景は押さえておかないと日韓の問題は語れない。

 ではもう一つ。大戦後、日本は各国との和平を進め、政府の資金援助やビジネスを通じて多くの国や地域と友好で建設的な関係を築き上げた。その代表が台湾である。

今日の台湾と日本の関係は極めて良好で人と人同士の結びつきも強固だし、貿易量でみると日韓関係の悪化からひょっとすると台湾との貿易が韓国を上回り、第3位の貿易相手国となる可能性が出てきている。

 台湾と日本は共通点がある。一つは島国であること、一つは日本も台湾も中国とはセンシティブな関係を持ち続けていること、そして血統的に日本人に近いことがある(朝鮮人とは完全に相違していると理解している)。

 また島国に関係していることだが、日本も台湾も農耕民族であるのに対して、半島は狩猟型民族である。狩猟型民族は基本的に大陸系といえ、移動を繰り返し、その糧を求めるのに対して農耕民族はそこに定着して積み上げることに特徴がある。

 このあたりの圧倒的特徴の差が日韓のすれ違いの基本的事情ではないだろうか?

 ではこの関係は収まるのか?かなりの学識者からも「双方の対話不足」という声がある。個人的には水と油はどれだけ対話しても融和しないと考えている。ならばお互いがスパークしないよう仮面の交際が結局はうまくいくのかもしれない。

 東京、新大久保に行けば女子中高生がたむろし、Kポップに黄色い声を上げる日本人で身動き取れないほど混雑している。年配の女性には韓流ドラマに昔の良き時代を感じるといまだ根強い人気だ。韓国だって日本とビジネスをすることはウィンウィンの関係だと思っている。

 なのになぜ、韓国は日本を刺激するのか?私には韓国国内事情が根底にあるとみている。国民の経済、社会に対する不満が鬱積しており、そのはけ口が欲しいのだろう。その点、日本は尖閣の時同様、当てこすりの対象だとすれば日本も声をあげたくなるだろう。

 実に難しく悩ましい問題である。

岡本裕明(おかもとひろあき)

1961年東京生まれ。青山学院大学卒業後、青木建設に入社。開発本部、秘書室などを経て1992年同社のバンクーバー大規模住宅開発事業に従事。その後、現地法人社長を経て同社のバンクーバーの不動産事業を買収、開発事業を完成させた。現在同地にてマリーナ事業、商業不動産事業、駐車場運営事業などの他、日本法人を通じて東京で住宅事業を展開するなど多角的な経営を行っている。「外から見る日本、見られる日本人」の人気ブロガーとしても広く知れ渡っている。