秋の森のいとなみ|オンタリオ州・アウトドアの魅力。楓の森の歩き方 第54歩


 秋の日差しへと変わりつつあるオンタリオ。季節の変化とともに動植物の活動や成長に変化が現れてくる季節です。

 あたりの気温がグッと下がり、湖の水温も下がり、太陽があがりだすころ水面には蒸気が立ち込め、朝靄となって湖面を覆います。静かで美しい荘厳な景色に水温が下がってきているということが分かります。それぞれに越冬の準備を始めているのです。

 季節の変化を観察することで、野生動物の変化にも気付きます。活発だった鳥の鳴き声は徐々に減り、水鳥は渡りをはじめるための準備をし、留鳥は食料を集め、ビーバーは若い枝を工夫して冬眠に耐えられるように工作し、リスたちはせっせと松の実やどんぐりなどの食料を地下の貯蔵庫にしまいます。クマは冬眠に向けてのエネルギーを貯めるため大量に食べ、体重を増やし、ムース(ヘラジカ)は、繁殖のための大切な時期を迎えます。

トレイルでムースと目が合う


 アルゴンキン州立公園では北方の針葉樹林と紅葉に色づく落葉樹の相まった独特な風景の中に、秋のムースはいます。

 ムースはシカ科の世界最大種で、特にこの時期のオスは、年齢や大きさを表す角が最盛期を迎えます。角は毎年冬に抜け落ち、春になると新しく生え変わるのです。

ハイウェイを横切るムース


 成長している角は、外側が細かい毛の生えた皮で包まれているため『袋角』と呼ばれます。袋角の中には細かい血管が網の目のように走っています。この血管を通って養分が補給され、角はどんどん育っていき次第に硬くなります。角が十分に成長すると袋角はかゆみを生じ、それを擦り落とすために低木に擦り付けて剥がしたりもします。またオスのムースのテリトリーを示すために、匂いをつけているとも言われています。まれに血まみれで剥がれた皮が垂れている角のムースに遭遇するとびっくりしますが、これらは彼らにとっては角を落とす前に起こる現象で、普通のことなのです。

 秋の繁殖期に入ると、メスがオスを惹きつけるために大声で鳴きます。角の大きさは、オスのムースの年齢や大きさ、雄々しさや優位性を視覚的に表す象徴でもあり、時折、同じような体躯のムースがメスを取り合って、角を使っての一騎打ちを行います。

角が無いメスのムース


 ムースの行う繁殖行動は、一頭のオスに対して複数のメスが繁殖相手となり、環境の厳しい極北の地の動物の特徴でもあります。妊娠期間は8ヶ月(平均235日)で、翌春に出産します。

 森の王とも呼ばれるムース、秋に角は最盛期を迎え、雄々しく立派な姿となりますが、繁殖期に入っているので、比較的おとなしいムースも気性が荒くなっている時期でもあります。

 幸運にも秋のムースに出会う機会に恵まれたら、この時期の彼らの行動を理解し尊重して、観察してみてください。

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Holly Blefgen(ホリー・ブレフゲン)
オンタリオ・アウトドアアドベンチャーズの代表。ナチュラリスト。春から秋にかけてカヌーととトレッキング、冬はテレマークスキーでネイチャーフィールド へ。30年余りに及ぶガイド経験を持ち、オンタリオ州及び日本における文化・歴史・自然にフォーカスしたツアーを通して、クライアントとその情熱を共有す ることを愉しみにしている。


Special Thanks, Cameron T Powell 写真 / アートワーク / レイアウト:尾西知樹 翻訳:瀧川貴子

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