海外在住または旅行者の日本人は大麻に手を出したらダメ!|特集「カナダ・マリファナ合法化」

カナダで嗜好用として大麻を使用した場合でも、日本の大麻取締法による国外犯処罰規定が適用されうる。


法的根拠も含めて日本人が大麻に手を出してはいけない理由を、在トロント日本国総領事館で在留邦人の安全対策を担う梶本大樹領事に伺った。

 まずは、日本人が海外で大麻に手をだしてはいけない根拠となる基本条文を確認しますと、カナダで嗜好用として大麻を使用した場合でも、大麻取締法「第二十四条の二」に抵触し、同法の「第二十四の八」にある国外犯処罰規定が適用されることがあります。

「第二十四条の二」
 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。

「第二十四条の八」
 第二十四条、第二十四条の二、第二十四条の四、第二十四条の六及び前条の罪は、刑法第二条の例に従う。

「刑法二条」
 「この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯したすべての者に適用する。(以下省略)」と規定。

 カナダで嗜好用として大麻を使用した場合は、この3つの条文が関係してきます。これらの条文は日本国内のみならず、海外で大麻を使用した場合であっても適用されることがあります。

大麻の所持・譲渡・使用すべてダメ!

大麻を吸うこと自体は罪にあたるのでしょうか?

 大麻取締法では吸引すること自体に言及している条文はありません。ただ、吸う過程において、第二十四条の二にあたる「所持や譲り受け」は必ず発生するということから、結果として罪に問われることがあります。

要するに、ダメなものはダメだということですね。

 そういうことです。例えば、アメリカに持ち込もうとした場合、州法で大麻が合法化されている州があるにせよ、連邦法の下では禁じられているので、連邦法の管理下にいる入国管理官に逮捕されてしまう可能性があります。

 カナダに在住する人すべてが軽い気持ちで大麻を所持し、アメリカを含め海外に持ち出すと罪に当たりますし、大前提として在留邦人および日本人旅行者は所持すること自体がダメだということを声を大にして注意喚起しておきます。

大麻が混ざった食品・飲料(クッキー・清涼飲料水・ビール等)もダメ!

ー来年には大麻の成分入りのお菓子やドリンクなども気軽に手に入れることができるようになってきます。

 大麻の形はしていないけれどもその成分が入っている食べ物や飲み物を販売するお店は来年には解禁になりますし、これから増えていくと考えられています。仮にそのようなお店に立ち寄っても誤って購入しないように気をつけてもらいたいと思います。

間違って自分の意思と反してお土産などで購入してしまった場合、日本やアメリカ入国などの際に大麻自体を所持していなくても、大麻入りの食料品や飲料を持っていて、それが警察犬などに嗅ぎ付かれて逮捕される可能性は十分にあるからです。

 我々も、大麻入りの食品や飲料であることがパッケージに大きく表示されていない製品など間違って購入してしまう人がいるのではないかと懸念しています。今のところ購入できる場所は限られているという話ですが、合法化になってみんなが気軽に立ち入れるような場所でも購入できるようになると、判別がつかないものも増えてくる可能性が高いので、注意が必要です。

留学生やワーキングホリデーの若者が犯罪に巻き込まれるケースが一番多い。

合法化は日本人にどのような危険がされているのでしょうか?

 現在オンタリオ州で大麻に関わらず、傷害・性的被害事件など、犯罪に巻き込まれやすいのは留学生やワーキングホリデーの方々が一番多いのが実情です。

 特にこれからの季節はパーティー会場などでみんなの流れに沿って吸わざるをえない雰囲気になる場合も想像でき、そのような環境に巻き込まれやすいケースが多いのは留学生の方です。

 また次に犯罪に巻き込まれるケースが多いのが、旅行者です。

 実際に旅行会社の方々は大麻合法化に伴い大麻に関連した質問を受けることも増えると予想しており、危惧しています。

 私ども総領事館では、安全対策連絡協議会を設け、留学生や旅行者とコンタクトがある留学エージェントや旅行会社、そして各日系コミュニティの方々に参加いただき、情報共有や注意喚起を促す機会の重要性などを話し合っています。

ー長期在住者にとっても犯罪や危険運転などに巻き込まれるケースも想定されますし、

現在トロントも銃器犯罪増加など治安が悪化しているので注意が必要です。

 そうですね。これまでは比較的カナダやトロントは安全だと言われてきましたが、治安悪化・犯罪増加の要因の一つとして、「Carding操作※」が2016年5月にオンタリオ州内で禁止されて以降、犯罪抑止力は弱体化し、犯罪件数は増加の一途を辿っていると言われています。

※ なんらかの個人情報を集めるために合理的な犯罪の疑いなしにランダムに警察が市民を止めて尋問する捜査。この捜査手法は、白人以外の有色人種、特に黒人が過度にその尋問のターゲットにされたため、賛否が大きく分かれることとなり、2016年5月オンタリオ州内において禁止された。

 大麻に関しても合法化前であっても、街を歩くと大麻の臭いがしていることもよくありましたし、事実上黙認されているのが現状だったと思います。合法化を機会に、大麻が主原因となる犯罪数も増えてくることが予想されるので、地元警察。

匿名でも結構なので、トラブルに巻き込まれた時は気軽に相談をしてください。

ー実際にトラブルに巻き込まれたりした場合、対処などアドバイスはありますか?

 総領事館には邦人保護という役割があるので、在留邦人の方から相談を受けることは我々にとって一つの重要な業務です。10月に配信した領事館メールには住居トラブルなども記載しましたが、日本人の若い方がトラブルに巻き込まれるケースは後を絶ちません。我々が認識している範囲では、日本人が巻き込まれた犯罪のうち、およそ7割が学生やワーホリで来られている方々です。

大麻は、中毒性も指摘されています。大麻の影響下で起こした事故には海外旅行保険も適用外であることが大半ということも認識しておいてもらいたいです。

 重複しますが、カナダで合法になったとはいえ、カナダ国外への持ち出しや国内への持ち込みはどちらも禁止されています。日本だけでなく、アメリカやカリブ海に行かれる方も多いと思いますので、十分に注意してほしいと思います。

 また、大麻のことに限らず、日本の親御さんからカナダに来ているお子様を心配して連絡をもらうケースもあります。今できることとして在留届や旅レジの登録などは是非とも届け出しておいてもらいたいと思います。