第10回 ラーメン屋の集い、ポジティブなコミュニケーション|カナダのしがないラーメン屋のアタマの中


ラーメン屋の新店オープンが続いています。先月から今月にかけて3軒、日系のラーメン屋さんがダウンタウンに新たにオープンします。2月に出張で行ったシンガポールで、たまたまその内の一軒のオーナーさんと知り合い、聞けばトロントで開店予定だということだったので、トロントのラーメン屋さんに声をかけ、歓迎会を兼ねてラーメン屋の集いを開催しました。実に6店舗ものラーメン屋さんが集い、外食コンサルタントやお付き合いのある業者さんも含め、ラーメン談議で大いに盛り上がりました。

 はたから見れば、コンペティション同士バチバチやっていそうな印象を持たれるかもしれませんが、このようにトロントのラーメン屋、日系レストランや居酒屋は、お互いにライバル関係にありながらも非常に仲が良く、世代を超えて業界を盛り上げていこうという気運が感じられます。

 ここトロントに日系のラーメン屋が出来て数年、ラーメンブームという言葉がひと段落ついたところではありますが、まだまだラーメンはポテンシャルがあります。もう少しかみ砕いて言えば、カナダのラーメン人口はこれからまだまだ増えるし、ラーメン市場はより大きくなります。つまり、今あるパイを奪いあい、誰かが勝ってそれによって誰かが負けるという市場ではなく、全員でパイを広げることによって全員が勝てる市場なので、ライバル同士、切磋琢磨するという意味あいだけでなく、合理的に考えても、ラーメン屋同士が助け合ってサバイブしていくことは、お互いに成功に近づくことができるのです。こういった状況でビジネスが出来ること自体が、すごく幸せなことだし、恵まれていると思います。


 ふと自分の店や社内を見渡すと、実はここにも同じ構造があることに気が付きます。つまり、スタッフ同士が力をあわせてサービスや商品の質を高めたり、お互いに足りない部分を補い合い、助け合ってお店を運営していくことで、それが結果につながり、お互いの成長や給与、待遇の向上につながるのです。

 しかし残念ながら、これはうまく機能していないことが多いです。意見の違いやミスコミュニケーションによる衝突は、お互いに違う考えを持った人間ですから、どうしても避けようのないことかもしれません。ただ、問題の解決やお互いの折衝点を見出すという目的、ゴールを見誤って、ただの鬱憤晴らしやマウントの取り合い、あげくの果てに揚げ足の取り合い、という結果に至ってしまう事態に何度となく陥いりました。

 ラーメン屋さん同士がお互いに助け合って市場を作っていき、ライバルを助けることがめぐりめぐって自分にプラスに返ってくるのと同様、これが逆に機能してしまうと、あなたのネガティブな発言が、めぐりめぐってあなたの懐を寒くしたり、あなた自身を幸せから遠ざけてしまっているのです。

 僕自身、わかっていながらも怒りや恐れといった負の感情に流されてしまうことがあるので、自戒をこめて書いていますが、ネガティブなコミュニケーションの連鎖は、誰も幸せにしません。逆にポジティブなコミュニケーションは関わる人すべてに元気や勇気をもたらします。

 では何がネガティブなコミュニケーションで、何がポジティブなコミュニケーションなのか。それは例えば、誰かのミスに対して単純にそれを叱って「ごめんなさい」という言葉が返ってくるのか、それともそのミスをカバーしたり、再発防止策を一緒に考えたりして「ありがとう」という言葉が返ってくるのか、そういう些細なことからポジティブなコミュニケーションの連鎖が生まれ、めぐりめぐって自分に返ってくるのではと、そんな風に思っています。

「雷神」共同経営者 兼 店長 吉田洋史

ラーメントークはもちろん、自分の興味や、趣味の音楽、経営の事や子育てのことなど、思うままにいろんな話題に触れていきます。とは言え、やはりこちらもラーメン屋。熱がこもってしまったらすいません。