第14回 ラーメンは本当に身体に悪いのか?|カナダのしがないラーメン屋のアタマの中

 ラーメンは何かと悪者にされていると感じてしまうのは、やはり自分がラーメン屋だからでしょうか。10年以上、週6~7はラーメンを食べていますが、特に身体の不調は感じていません。敢えて言えば、年を重ねて代謝が悪くなったのを感じるようになりましたが、それでも人間ドックに行けば、血液検査も尿検査もすべて適正値。お酒の飲みすぎで肝機能がやや弱まっているぐらいで、本人としては健康そのものと思っています。代謝が落ちてお腹が出たのは否めませんが、175センチで72キロなら…まあまあかなと思います。自分のお店の味のチェックや市場調査でラーメンを食べるのはもちろん、家でも色々なインスタントラーメンを試しています。

 日清食品の創業者にしてチキンラーメンとカップヌードルの産みの親・安藤百福氏も、50年間、昼は毎日チキンラーメンを食べていましたが、96歳まで元気に過ごしたといいます。ラーメンを好きな人が、ラーメンを好きなだけ食べて健康な生活を送っているのに、ラーメンは身体に悪い、太るというイメージとセットになっているのが、人気者のラーメンの性とは言えどことなく寂しいです。

 そもそも、ラーメンを日本の国民食まで押し上げたチキンラーメンですが、「魔法のラーメン」としての即席性はもちろん、その栄養価の高さが宣伝文句とされていました。戦後の食糧危機を、アメリカからの輸入された大量の小麦で乗り越える際、パン食がなじまない日本人の胃袋を満たしたのがまさにチキンラーメンだったわけですが、厚生省もインスタントラーメンを「特殊栄養食品」としてお墨付きを与えたぐらいです。しかし、時代が変われば考えも変わり、高度経済成長期に入って食糧難が過去のものとなるにつれ、日清食品も栄養面での利点をマーケティング戦略としてうたわなくなっていきました。実際、戦後間もないころは粗悪な油や包装、商品の陳列によって中身が劣化して食中毒騒ぎなんかもあったようですが、当然いまの世の中でそんなことは起こりません。では、なぜ高カロリー、高塩分、そして油の摂取が身体に悪いというような印象を与えてしまうのでしょうか?

 チキンラーメンの成分表を見てみると、377キロカロリー、食塩相当量が5.6グラム、脂質は14・5グラム。一日に必要なカロリー量は、年齢によってばらつきがあるものの男性がおよそ2650キロカロリーで女性は2000キロカロリー。あら、カロリーは余裕ですね。塩分は、平均の日本人の一日の塩分摂取量が9.9グラムなので、むむ、ちょっと高め。ただスープを飲みすぎなければ3分の1は減塩できます※。最後は脂質ですが、一日2000キロカロリー必要な人で55グラムとれば良いのでこれも問題ないです。これは自分が世界で一番うまいと思う辛ラーメンでも、506キロカロリー、食塩相当量が4.6グラム、脂質が16・3グラムですから、インスタントラーメンの種類によってもそこまで大差はありません。

 ただし、身体に良いか悪いかという点では、ミネラルやビタミンなどが不足しているのは間違いありません。でも、毎日同じものを食べ続けたらバランスが崩れるのは当たり前。そこはきちんと野菜やお肉でバランスを取りましょうね。それから、お店のラーメンも健康志向のヘルシーラーメンから添加物満載のこってりラーメンまで千差万別。ただし、身体を気づかって好きなものを我慢するというのは精神衛生上、健康とは言えないのではというのが正直なところです。

「雷神」共同経営者 兼 店長 吉田洋史

ラーメントークはもちろん、自分の興味や、趣味の音楽、経営の事や子育てのことなど、思うままにいろんな話題に触れていきます。とは言え、やはりこちらもラーメン屋。熱がこもってしまったらすいません。