第15回 急成長するインドと繁盛店の条件|カナダのしがないラーメン屋のアタマの中

 先日、出張で初めてインドを訪れました。インドは2020年代には中国を抜いて人口が世界1位になると言われ、2050年にはGDPでアメリカを抜き、中国に次いで世界2位の経済大国に発展すると言われています。ダンダススクエア顔負けのギラギラした電光掲示板や外資系コンサルなどのビル群の乱立を目の当たりにした一方で、野良犬や牛がそこら中で寝ていたり散歩をしているエキゾチックな光景や衛生的に心配になってしまうローカルマーケットのギャップに、なんとも言いがたい興味が湧きました。

全員で迎えてくれた「くふ楽グルガオン店」のスタッフ

 視察で訪れたグループ系列店「くふ楽グルガオン店」は、一時期はお客さんの9割以上が日本人だったそうですが、現在はローカル富裕層のお客さんの比率も3割ほどに上がってきているそうで、インドの目覚ましい発展がうかがえます。売上も右肩上がりで、日本国内のグループの繁盛店にせまる勢いだというこのお店に、繁盛店の条件とも言える要素が詰まっていたので、忘備録も兼ねて①コミュニティ、②人の成長、そして③感動というキーワードでまとめてみたいと思います。

 1つ目のコミュニティですが、近年の消費動向は、ただお腹を満たすだけ、機能が必要なだけで消費されていた食事やモノが、その役割を変えて、商品やサービスを購入することで得られる体験、経験に価値が置かれるようになってきているそうです。その中で飲食店の役割も変化し、最近のスナックブームの再来からもわかるように、飲食店にコミュニティとしての機能が求められています。経済発展を遂げているとはいえ、まだまだ生活インフラもままならないような状況と背中合わせのインドで、5千人の日本人駐在員さんたちが情報交換だけではなく、その苦労話を肴に飲んだり、安らぎを感じたり、日本に帰ったような気持ちになれる場として熱烈に受け入れられていると感じました。

お決まりの顔抜きパネル

 2つ目は人の成長です。飲食店に限らず、あらゆる組織やチームに言えることだと思いますが、組織全体の成長には、組織に属する一人一人の個人の成長が欠かせません。いわゆる発展途上国と言われるアジア諸国に行くと強く感じる印象として、広がる格差社会の中で、どうにかのし上がってやろうという若者のひたむきな努力や仕事への姿勢には目を見張るものがあります。特にカースト制度の影響がいまだ衰えないインドでは、そこで成功すれば今の生活を抜け出せる、という夢や目標を持って働くことが出来、これは新しい産業であるIT分野でインドが急速に伸びている背景でもあると思います。基本的には親の職業を受け継ぎ、一生を一つの仕事で終えていたインド人にとって、後天的な努力で皿洗いからクックやシェフに昇格し、年間MVPに選ばれると日本への研修旅行に行けるという夢のステップアップが、大いに個人の努力、成長を後押ししていると感じました。

つたない英語で一生懸命もてなしてくれたデザートプレート

 そして3つ目は感動です。残念ではありますが、上に挙げたような若者に出会うことは、日本やカナダでは少ないと感じてしまいます。日本からやってきた駐在員さん達は、オープンキッチンでつたない日本語や慣れない日本料理をインド人だけでオペレーションしている姿を見て非常に驚くそうです。中にはどうやって人材育成をしているのか参考にしたいという企業もあるようで、自分も彼らの働きぶりを見て本当に感動を覚えました。感動は、また明日から頑張ろうという活力を生みます。いつか彼らが研修旅行などでカナダを訪れる機会があったら、自分も彼らにそんな活力を与えられるよう、また明日からラーメン雷神を盛り上げていきたいと思います。

「雷神」共同経営者 兼 店長 吉田洋史

ラーメントークはもちろん、自分の興味や、趣味の音楽、経営の事や子育てのことなど、思うままにいろんな話題に触れていきます。とは言え、やはりこちらもラーメン屋。熱がこもってしまったらすいません。