Ray Zahabさん インタビュー

サハラ砂漠横断や南極点到達など
過酷なエキストリームランニングに挑戦し続ける
Ray Zahabさん インタビュー

(左)2011年に挑戦した デスヴァレー横断(右)非常に乾燥した厳しい環境のゴビ砂漠横断に挑戦

(左)2011年に挑戦したデスヴァレー横断  (右)非常に乾燥した厳しい環境のゴビ砂漠横断に挑戦

元々はお酒好きのヘビースモーカーだったRayさん。ウルトラマラソンへの挑戦を始め、その経験を若い人にもしてもらいたいと“impossible 2 Possible(以下i2P)”を設立し、今も新しい挑戦を続けている。今回は過去のウルトラマラソンの経験や挑戦することへの心構え、厳しい状況を乗り越える方法などを語ってもらった。

■ ウルトラマラソンに挑戦しようと思ったきっかけは何でしたか?

特別走ることが好きだった、ということもなく、実はタバコを1日1パック吸うぐらいのヘビースモーカーでした。ですが、自分の人生を変えたいと思い、2000年から禁煙を始め、運動を始め、自分を変えようとしました。禁煙を始めて3年経つ頃には、とても健康になりましたし、自転車に乗ったり、登山をしたりとアクティブな生活を送るようになっていました。丁度その頃ウルトラマラソンに関する記事を読んでショックを受け、他の人がなぜそんなことに挑戦しているのか気になり、彼らが何を感じているのかを知りたいと思い、自分もウルトラマラソンに挑戦することにしました。その時走ったレースがYukon Actic Ultraと呼ばれる100マイルレースです。2、3ヶ月しか準備期間がなかったので実際最後まで走りきれなくても仕方がないという気持ちで臨んだのですが、結果一位でゴールすることができました。私は今までの人生で一度もこのようなアスレティックな競技で良い成績を収めたことがなかったので驚きもありましたが、残りの人生はこれに賭けたいと思えた瞬間でした。

■ 初めて挑戦されたウルトラマラソン、サハラ砂漠横断の時は何がモチベーションになりましたか?

2006年に挑戦したのですが、約2年半を準備期間に費やし、アフリカの飲み水に関した問題提起のために走りました。毎日約70㎞、それを111日間続け、横断を達成することができました。準備期間中にトレーニングの為に走っていましたが、それよりも実際のサハラ砂漠の美しさや、問題の根深さ、応援してくれる家族や友人などが大きな支えになりやり遂げることができたと思います。

■ ギネス記録にもなった南極点到達での辛いこと楽しいことは何でしたか?

ギネス記録を樹立したということは後に知ったことで特別それを目標としていたわけではありませんでした。これは私が始めたi2Pの活動の一環で行った挑戦で、ソリを使って自分たちで必要な物資を運びながらヘラクレス湾から徒歩で南極点を目指すというのもです。挑戦中はオンラインで様々な学生からの質問に答えたり、ブログを更新しながら直接オンライン通話で話をしたりと経験を共有できたことが楽しかったですね。辛かったことは平均気温はマイナス40度以下という寒さでしょうか。過酷な気候というのであれ私は南極よりも砂漠を走る方が好きだということがわかりましたね。

■ これらの挑戦に挑む心構えを教えてください。

初めの頃はやはりレースの前に緊張したりもしましたが、起こるかわからないことに怯えても意味がないということに気がつきました。最大限の努力をし、丁寧に準備して自分を信じてレースに挑むことの方が大切です。それに同じことに挑戦したとしても、難しい、辛いと感じる場面は個人差があるので他の人の話は参考になりますが自分でやってみないとわからないことが多いと思います。

2000km以上の距離を走りきったモンゴル、ゴビ砂漠横断

2000km以上の距離を走りきったモンゴル、ゴビ砂漠横断

111日かけて横断したサハラ砂漠

111日かけて横断したサハラ砂漠

デスヴァレー、約300kmの距離を走りきった

デスヴァレー、約300kmの距離を走りきった


■ i2Pを始めたきっかけはなんでしたか?

私がサハラ砂漠横断を実行したのはもう30代後半でしたが、やり遂げることができたように、i2Pを通して若い人ができないと思い込んでいることに挑戦する機会を設けて、実際やり遂げることができる、という経験をしてもらいたいと思っています。

また、若い人が自分が本当にやりたいこと、情熱を注げることを見つけることはとても大切だと思います。そのためにはいろんなことに挑戦することがポイントです。パソコンなどで記事を読むだけではなく、実際にその場に出向いたり、やってみたりする中で本当に向いているかどうかがわかります。本当に自分がやりたいことは辛い部分があってもずっと続けていくことができるはずです。

■ どのようにして辛い場面を乗り越えるのですか?

大切なことは自分でやると決めた、ということです。本当に大変なことに挑戦する時は必ず自分で決めて、始めなければいけません。誰にも命令されたわけではなく、自分でやり遂げることができる、やり遂げたいと思ったから始めたことを肝に銘じて、自分を信じれば少しずつでも前に進むことができます。

■ マラソンイベントの多いトロントでランニングを始めるヒントをお願いします。

大体の人は大きすぎる目標を立てて失敗してしまいます。例えば最終的にフルマラソンを走りきる、という目標は良いと思いますが、走り始めから無理をすることはよくないです。時間を掛けて身体を慣らしていくことが大切です。また可能であれば外を走ることをお勧めします。景色が変わるので気分転換にもなりますし、もっと先がみたいと思うようになりますよ。

■ 夢を追いかけるTORJA読者にメッセージをお願いします。

一番大切なことは自分を過小評価しないことです。成功のみを経験する人はいません。例え何かに挑戦して失敗したとしてもそこから学ぶことがあるはずです。失敗したという事実は気にしないで、その時得ることのできた経験や知識を次の挑戦に行かせば良いのです。夢や目標を達成することは1日ではできないものです。時間を掛けて取り組み、時にはリスクを負うことも必要ですし、チャンスがあればどんどん前へ挑戦していってください。


impossible 2 Possible
impossible2possible.com

毎回新しいウルトラマラソンへの挑戦が決まると世界中から参加したい若者を募り、選ばれた人たちは無料で参加することができる。ウルトラマラソンへの挑戦を通して、それぞれの限界に挑戦する機会を設け、自信を持たせることが目的。また参加者はインタラクティブなウェブサイトを通し、常に世界中の他の若者とコミュニケーションをとることができる。


Ray Zahab
rayzahab.com

元々ヘビースモーカーだったが人生を変える決意とともに禁煙。たまたま出会ったウルトラマラソンに興味を持ち、初挑戦で一位を獲得。それ以来エキストリームランナーとしてサハラ砂漠横断を始め、南極点到達、ゴビ砂漠、デスバレー、シベリアなどの過酷な環境下でのウルトラマラソンを行っている。i2P創始者としてウルトラマラソンを続けながら、現在は様々なカンファレンスでスピーチを行っている。