アジアの映画達が大集結 第21回リールアジアン国際映画祭

第21回目の開催となるリールアジアン国際映画祭。今年は11月9日〜18日までの10日間に渡って開催され、なんとオープニングフィルムには日本映画作品『幼な子われらに生まれ』が選ばれた。日本以外にも、中国、韓国、インド、フィリピンなどアジア各国から良質な映画作品が集められる本映画祭で、今年注目の9作品をご紹介しよう。 HP:reelasian.com

幼な子われらに生まれ


監督:三島有紀子
上映:11月9日(木)午後7時30分
@Isabel Bader Theatre

ベストセラー作家重松清が1996年に発表した傑作小説『幼な子われらに生まれ』。『共喰い』などの脚本家・荒井晴彦が重松と映画化の約束を交わしており、その脚本が三島有紀子の手に渡り、20年の時を経て映画化が実現。浅野忠信演じる主人公の田中信は40歳、バツイチ、再婚。良き父親を装ってはいるものの、実際は妻の連れ子とうまくいかないことに悩みを抱えるサラリーマン。妻との間に妊娠が発覚し、そのことを妻の連れ子らに伝えると、長女との関係はより辛辣になりさらには「本当のパパに会わせてよ。」と言い放たれてしまった。一向にうまくいかない家族関係。苦しさや怒りが募り、信は長女を妻の元夫と会わせる決心をするが、そこで長女がとった行動とは。不器用な登場人物たちがなんとか普通の家庭を築こうと葛藤する、感動のヒューマンドラマ。

帝一の國


監督:永井聡
上映:11月15日(水)午後7時00分
@JCCC小林ホール

集英社ジャンプSQ.で2010年より6年間連載されたあの漫画が映画になって帰ってきた。全国屈指の頭脳を持つエリートたちが通う日本一の超名門・海帝高校。新一年生として入学した主人公の赤場帝一の夢は「総理大臣になって自分の国を作る」こと。その夢のために、この学校で生徒会会長になることを目論み、誰よりも早く準備を始める。しかしそこには想像を絶するほどの試練と困難が彼を待ち受けていた。命がけの生徒会選挙が、今幕を開ける。主演を務めるのは人気若手俳優菅田将暉。その他、帝一のライバルとなる超個性的キャラクターたちには野村周平や竹内涼真など主役級若手俳優陣が脇を固める。イケメン俳優陣が一堂に会した、話題の映画をお見逃しなく。

The Last Verse


監督:Ying-Ting Tseng
上映:11月12日(日)午後5時30分
@TIFF Bell Lightbox Cinema 2

初めて監督を務めた映画が台湾の映画祭でノミネートや賞の受賞を果たすなど、デビューから注目されてきているYing-Ting Tseng監督が送る恋愛ドラマ。主人公のレンジーはシャオピンに一目惚れをする。2000年初期以降の台湾の政治背景を含む中で、悩み事などなくのんきに生きてきたレンジーはシャオピンとの出会いを通して、いまだかつてない幸せに包まれるとともに、複雑な大人の世界に直面していく。さらにはレンジーの父親は、自分が背負った借金の返金を息子に押し付けてしまった。兵役から戻り、遠距離で恋愛を続ける中でシャオピンとの普通の生活を取り戻そうとするレンジーだったが、様々な要因で二人の関係はぎくしゃくし始める。彼らが再び良い関係を築き上げることはできるのだろうか?

The Mainour & the Eye-Witness


監督:Dileesh Porthan
上映:11月12日(日)午前11時30分
@TIFF Bell Lightbox Cinema 2

両親の反対を差し置き、異なるカースト間での結婚に踏み切った二人の男女。農業で生計を立てようとわずかな所持金を土地購入に費やしたが、その畑には水がなく、妻が持っていた最後の望み、金の婚約のネックレスを質屋に入れることに。しかし、そこである事件が起こる。なんとバスに揺られてうたた寝をしている隙に、あろうことにか盗人にそのネックレスを奪われ、盗人は証拠隠滅のためにネックレスを飲み込んでしまったのだ。近くの警察に突き出したものの、盗人は容疑を否認し続け、彼が盗んだことを証明することができない妻。そうしてついには旦那さえも妻の話を疑い始めてしまう…。最後まで真相が分からない、緊迫感あるダークな間違いの喜劇作。

Made in Vietnam


監督:Thi Vo
上映:11月14日(火)午後6時30分
@TIFF Bell Lightbox Cinema3

カルガリーインターナショナルフィルムフェスティバル2017の公式作品に選ばれた本作は、監督Thi Vo氏が自ら主演を務め、自身の出生にまつわる秘密に迫ったドキュメンタリーだ。1981年にベトナムからカナダへと逃げてきた母親に連れられた彼は、自身の母親以外の血の繋がった親戚の存在を知ることなく育てられた。大人になり時間が経つにつれて、彼の中にあった父親の記憶はだんだんと薄れていってしまう。それから何年も経ち、監督はやっと自身の母国であるベトナムへ旅をすることを決意。それは自分と血の繋がった父親を探しに行くためだった。ベトナム語はほとんど話せない状況だったが、父親の名前と写真だけを頼りになんとか探し出そうと努力する。親友二人も手伝って、なんとか父親の家族を捜索する中、彼自身と家族にまつわる、ある真実に辿り着く。

Masala Chai


監督:Marco Hülser
上映:11月11日(土)午後2時30分
@Innis Town Hall

世界で二番目に人口が多い国、インド。カースト制度や2000を超える民族集団、また市民の宗教は幅広い宗派に分かれる点などでよく知られているが、そんな多種多様の人々をつなぐものといえば、人々が頻繁に口にしているマサラチャイだろう。五つの異なるチャイ製造者に迫った本作には、アメリカで教育を受け、小洒落たチャイ店を営むオーナー、40年以上映画業界で働いてきたというバックグランドを持つオーナーなど、五人の個性豊かなチャイ製造者たちが登場する。インドでよく知られ、活躍する商人たちのそれぞれの葛藤を描き出し、また昔からの慣わしで現在まで続いてきたインドの階級制度についても浮き彫りにしていく。

無限の住人

監督:三池崇史
上映:11月16日(木)午後7時00分
@JCCC小林ホール

第70回カンヌ国際映画祭特別招待作品に選ばれた超話題作『無限の住人』。沙村広明が描いた原作コミックはアジア各国で熱狂的な支持を受け、ウィル・アイズナー漫画業界賞の最優秀国際作品賞を受賞。両親を殺され復讐を誓う少女・凛(杉咲花)は謎の老婆から「不死身の侍」について教えてもらう。ようやく見つけたその男、万次(木村拓哉)は顔に大きな傷を持ち、妹を失って半世紀、生きる糧を失いながらもただそこに生きていた。凛の頼みを聞き入れて敵討ちを手伝うことにした万次は、凛とともに生活していく中で生きる目的を取り戻す。しかしそんな万次の不死身の身体にはある異変が起き始めていた。300名にも及ぶエキストラを交え、二週間かけて撮影されたという圧巻のクライマックスに注目。

Stand Up Man


監督:Aram Collier
上映:11月17日(金)午後7時00分
@Isabel Bader Theatre

今年のクロージングナイトに選ばれた作品『Stand Up Man』は、Aram Collierが監督を務めるハートフルコメディ。コメディアンになりたいと切望するモーゼスはトロントのコメディクラブにたどり着き、親元から離れて夢のために生きようと決意をする。しかし不幸なことに、両親は彼に家族経営の寿司レストランを譲り渡そうと、故郷であるウィンザーへ戻ってくるように言い放つ。1年後、妻と子供を持ったモーゼスは大したこともない日本料理店の経営に疲れ、ただただ時間だけが過ぎてしまっていた。そんな時妻のユージンが子供を連れて韓国へ帰省することが決まり、やっと自分が待ち続けていた契機をつかんだように思えたモーゼスであったが、ここでも韓国からやってきた自分の従兄弟が邪魔に入ってしまった。夢を叶えようとするものの、うまくいかないことばかりの中で、必死にもがき続けるモーゼス。彼の夢が叶う時はやって来るのだろうか。

おクジラさまふたつの正義の物語


監督:佐々木芽生
上映:11月18日(土)午後6時00分
@Innis Town Hall

2017年9月に公開された、今日本で話題のドキュメンタリー作品。『ハーブ&ドロシー』の佐々木芽生(めぐみ)監督が、6年の期間をかけて制作したこの映画。半世紀以上にわたって続く「捕鯨論争」がテーマとなっている。映画の舞台となったのは和歌山県太地町。「くじらの町」として400年の歴史を持つこの町は、追い込み漁を糾弾した映画『ザ・コーヴ』がアカデミー賞を受賞してからというもの、世界的論争に巻き込まれることになる。太地町を訪れた佐々木監督は、捕鯨を守りたい日本人vs.それを許さない外国人という単純な図式ではない、多種多様な意見を捉えていく中で、世界が直面する「ダイバーシティの危機」へのヒントを見出そうとする。