トロント総合病院で病に苦しむ人々の命を救うべく革新的医療技術の確立に挑む 呼吸器外科准教授 安福和弘氏の桜アワード受賞を祝う 第9回 Sakura Gala開催

桜アワード受賞の一幕


4月18日、Royal Ontario MuseumにてSakura Galaが開催された。毎年開催されるSakura Galaは今年で9回目を迎え、今回は日系文化会館()とToronto General & Western Hospital Foundation (TGWHF)によって共催された。

 Sakura Galaは、JCCCの一大イベントであり、今年のガラでは100万カナダドルが募金として集まった。

 そして、カナダ国内外において日系の文化や歴史遺産の理解と発展に貢献されてきた方に「桜アワード」が贈呈される。今年はトロント総合病院で呼吸器外科准教授を務め、過去には世界初となる超音波気管支鏡を開発するなど、現在に至るまで呼吸外科会に大きなイノベーションをもたらした安福和弘氏だ。

安福氏の技術や研究は日加の架け橋となる

 式典では、最初にTGWHFを代表してビル・ハタナカ氏が挨拶を行った。氏はキャサリン・ウィンオンタリオ州首相と在カナダ日本国大使館石兼公博特命全権大使をはじめとした参加者を歓迎した。更に安福氏について「JCCCの功績に対する理解と感謝を示し、University Health Network(UHN)での研究結果を踏まえると、安福氏の受賞は心から祝うべきものです」と述べた。

左:(左から)それぞれTGWHFとJCCCを代表して挨拶を行うマイケル・ベーカー先生とビル・ハタナカ氏 右:挨拶を行うキャサリン・ウィン オンタリオ州首相

 TGWHFを代表して挨拶を行ったのはマイケル・ベーカー氏は、「たくさんのゲストやボランティアのおかげでこのガラが開催できること、そして同僚である安福氏が桜アワードを受賞することとなりとても誇らしいです。患者への負担を最小限にする彼の肺癌への処置は多くの命を救うと共に、日加でその技術や知識を共有するのにとても重要な役割を担うでしょう」と語った。

 来賓からも挨拶が述べられたあと、会場では桜アワード受賞者である安福氏の活動と功績を紹介するビデオが流れ、上映後には参加者たちから大きな拍手が寄せられた。ビデオ上映後にはアワードの授賞式が行われ、JCCC理事長のゲイリー川口氏と賞の後援者であるダン・アンドレア先生から安福氏に賞が手渡された。

医師として、研究者として人の命を自分の手で救えるのは何よりも誇りに思う

 桜アワードを受賞した安福氏は、最初にアワードを受賞できた喜び、参加者への謝辞、そしてビデオに出演した同僚と患者さんへの感謝を述べた。安福氏は「2006年にトロント総合病院で勤務を始め、胸部外科で肺の移植手術に携わったことを昨日のことのように覚えています。そして2008年には正式に胸部外科に採用されたときはそれを上回る喜びを感じたと同時に、トロント総合病院の胸部外科は野球でいうヤンキース、つまり世界一の場所ですのでプレッシャーを感じました」と振り返った。

受賞したことに感謝を述べる安福和弘先生

 自身が医師として、医療研究者としてたゆまぬ努力を続ける理由は「医師として、患者に尽くすことを心掛け、毎日長時間働いたり、夜中に呼び出されたり、数日間寝ないことも有ります。ですが、それでも私たち医師がこの仕事を続ける理由は人の命を自分の手で救うことができる誇りがあるからだと確信しています。医療研究についても、新しい治療方法や技術が確立されることで私が直接手術に携わらなくてもその技術を以て1人でも多くの患者さんの命を救えると思うからこそ続けられるのです」と力強く語った。

会場内の様子


 そして、今年のガラで集まった募金は肺癌治療の分野においてより先進的な研究を行い、できるだけ患者への負担が少なく、優れた画像処理技術や高度なロボットを伴った手術を確立することに大きく貢献することを目指すとし、未来は明るいと笑顔を見せた。

カナダはカナディアンになったとしても日本人でいさせてくれる第2のホーム

 日本人としてのアイデンティティーに触れる場面もあり、その中で同氏はカナダに移住する決断をしたとき、ためらいはなかったと語った。それは、カナダの豊かな多様性がカナディアンになったとしても日本人であることを許容してくれる社会であるからだとした。そして、その最たる例はJCCCであり、これまでに同会館がマルチカルチャーセンターとして数々のイベントの開催や他のエスニック・グループとのコラボレーションを行ってきたことにフォーカスを当てた。
 そして最後に安福氏はこれまでに医師として家族としての自身を支えてきてくれた家族への感謝を述べ、参加者たちからは盛大な拍手が送られた。

安福氏とご家族


 ガラの途中にはカナダ人ミュージシャンのローレンス・ゴーワンさん、カプランリンダ歌香・飛梅司大師範による琴の演奏、そして永田社中による太鼓のパフォーマンスが行われ、会場は大いに盛りを見せ、第9回Sakura Galaは幕を閉じた。

左:司会進行を務めたメアリー・イトウさん 右:Sakura Galaを共催したJCCCとTGWHFのメンバー

(左から)キャサリン・ウィン州首相、安福和弘氏、メアリー・イトウさん、ゲイリー・川口理事長

安福氏の医療分野における貢献はカナダと日本、そして人類の財産

JCCCゲイリー・川口理事長とキャサリン・ウィンオンタリオ州首相

日系文化会館
ゲイリー・川口理事長

 今夜のSakura Galaは日系文化会館が贈る賞の中でも一番名誉あるものです。それが日本とカナダだけでなく世界の医療現場で多大な功績を残されている安福氏が受賞されるというのは我々としてもとても喜ばしい限りです。それは我々日系文化会館だけでなく、今回ガラを共催しているToronto General & Western Hospital Foundationも同じ想いだと思います。安福氏は日々、革新的な医療研究や技術を確立されていますので、医療の世界でもとても注目度が高いと伺っていますし、そういった素晴らしい方がトロントを活躍の場として選んでいるというのはとても大きな意味を持っていると思います。

日系文化会館
ジェームス・ヘロン館長

 Sakura Galaの開催は日系文化会館にとってとても大切なイベントの1つです。その上、普段からカナダの地で日本人や日系コミュニティーで活躍し、日本とカナダの架け橋となっている方に感謝を伝えることができるとても貴重な場になっています。今回桜アワードを受賞される安福氏は素晴らしい医師であることはもちろんですが、もしかしたら同氏が現在行っている研究が私や皆さんの命を救うことになるかもしれませんよね。そういう意味でも事前に感謝を伝える場にもなっていると思えるととても光栄な機会だと思います。

石兼公博特命全権大使ご夫妻

在カナダ日本国大使館
石兼公博特命全権大使

 安福氏は非常に先進的な技術で癌の検査や手術をされている、日本とカナダだけでなく人類の財産にとなるような立派な功績を残されていると思いますので、今回名誉ある桜アワードの受賞は非常に喜ばしい機会だと思います。またそうした功績がガラで祝われ、今年が日本とカナダの外交関係90周年ですので非常にいい機会に恵まれたと思います。このような場にお招きいただくことができ、とても光栄です。今後も安福氏にはますます医学の分野で研究を進め、これが日本のカナダの架け橋というより、人類の、そして日本人の財産として発展していくことを期待しております。

伊藤恭子総領事

在トロント日本国総領事館
伊藤恭子総領事

 今年初めてSakura Galaに参加させていただきましたが、世界的に医学で貢献されている安福氏に直接お会いすることができ、とても嬉しく思っております。また、このような盛大なガラを毎年成功におさめている日系文化会館と、トロントの日系社会の方々に対しても敬意を表したいと思っております。

*2018年1月号「プロフェッショナル特集」に掲載された
安福氏の半生に迫るインタビューはこちら