コンテンポラリーダンス「Susuriwka」

コンテンポラリーダンス「Susuriwka」の持つ、2つの表情

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カナダの先住民であるモホークのルーツをもつ芸術監督のサンティ・スミス氏と、日本の先住民であるアイヌのルーツをもつ音楽監督OKI氏。この二人が生みだしたコンテンポラリーダンス「Susuriwka(ススリウカ)」は、日本とカナダの共同制作作品であり、2011年冬に横浜で初演が行われ、今年8月にトロントで再演された。トロントの公演ではそれぞれ日本、モントリオール、トロントを拠点に活躍する日本人3人のダンサーを含めた7人のダンサーが出演した。Susuriwkaとは「柳の橋」という意味をもつ。文字通り、この公演は日本とカナダの架け橋ともなった作品だ。話の起承転結に違いはないものの、初演回と再演回では、その印象が大きく異なる。初演回では祝祭や絢爛といった印象が強いが、トロントでの再演回では、奥底にある悲しみの印象が強い。これは昨年の東日本大震災を経て、伝えたいメッセージが変わり、脚色を加えたためだとサンティ氏は語った。
今回は音楽監督を務めたOKI氏のインタビュー、そして日本人ダンサーの3人、小山まさし氏、Mami Hata氏、井上勇一郎氏のインタビューを掲載。コンテンポラリーダンスの魅力や今作品の制作風景を伺った。

音楽監督のOKIさん

音楽監督のOKIさん

音楽監督、OKI氏

―今回のサンティ氏とのコラボレーション実現の経緯はどういったものでしたか?
横浜に能楽堂があって、そこが(今回の演目を)プロデュースしたんですよ。芸術監督のサンティのダンスを日本でやるにあたって、同じ先住民であるアイヌの人とやってみたらどうかって。そこから始まったんです。先住民として、お互い同じ文化のものとかはあると思うけど、メンタリティは全然違うと思います。サンティは強くて、僕はいろいろとゲリラ的にしてました(笑)

―すべての楽曲をプロデュースされていますが、曲に共通するエッセンスのようなものはありますか?
ありますね。オリジナル(日本での初演)の時は、もっと祝祭的っていうか楽しい感じもあったのですが、今回ヘビーになったんですよ。東日本大震災を機に。違う感情でつくっているので、前につくった曲と新しい曲をミックスするのが難しかったというのはありましたね。でも、トロントでの公演で使う楽曲にはブルースが根底にあって、それがうまく背骨となって、曲につながりが出ましたね。

―楽曲の制作風景はどういったものでしたか?
最初にリズムをいろいろ提供して、サンティにそこから選んでもらってたって感じですね。お互いが意見を出し合って合わせてつくったというよりも、僕がつくって添削してもらってっていう作業の過程でしたね。サンティからはバツもいっぱいもらいました(笑)。あまりコンテンポラリーダンスは観ないんですけど、今回の楽曲制作に向けても、全然全然調べていませんでした。でもコンテンポラリーというジャンルだったから、逆にそれがおもしろみに繋がったのかもしれないですね。

(左から)ダンサーの井上勇一郎さん、Mami Hataさん、小山まさしさん

(左から)ダンサーの井上勇一郎さん、Mami Hataさん、小山まさしさん

小山まさし氏、Mami Hata氏、井上勇一郎氏
―表現で言葉を使わない分、難しさを感じますか?
言葉を使わないということが、ある意味ベネフィットとなると思います。私たちが心の底から表現したことを、たとえ理解できなかったとしてもそこから何かを感じてもらえれば、たとえどこの国でも通じるんじゃないかと思うんですよね。ストーリーがあまりクリアにないものもあって、でもそういうものにも、これを伝えたいっていう作品としてのテーマはあって。そのまま理解しなくても良いと思います。なにか引っかかるものを感じて、それを持って帰って考えてくれたり、音楽が好きだったなぁって思ってくれたり、なんでもいいので、そこから興味を持ってもらえたらいいなって思います。

公開リハーサルの一場面

公開リハーサルの一場面

―コンテンポラリーダンスの魅力はどういったところですか?
コンテンポラリーダンスには、囲いがないんですよ。バレエだとこうしなくちゃいけないっていうのがありますが、コンテンポラリーには、ストリートから来たようなものもあれば、バレエっぽいものもあるし、芝居っぽかったり、パントマイムっぽかったりするものもあって、本当にいろんなものがあります。観客の方も、何がくるんだろうって、劇場にくる楽しみがあると思うんですよね。まず動きを演出家の人からもらって、自分でそのバックグラウンドを考えて、自分でつくっていくことができて、他のジャンルの動きを取り入れることもできるのは魅力ですね。夏休みの宿題でたとえるなら、自由研究といった感覚かもしれません。

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