どんな空間でも確かな創造とユーモアの世界を生み出すー芸術監督 ダビデ・ダンゾンさん&パフォーマー 瀬川貴子さん 特別インタビュー

世界で名を馳せる劇団CORPUS 20周年記念公演『House Guests』

ダビデ監督(左)とパフォーマー瀬川さん(右)


立ち上げより20周年を迎える劇団CORPUS。、演劇、フィジカルコメディなど様々な要素を組み合わせた、ユーモアと創造性豊かな作品が話題を集め、数々の賞を受賞。これまでにカナダを始め、日本を含む26か国以上の国で公演を行っている。11月21日よりスタートした最新作『House Guests』は、芸術監督であるダビデさんの実際の住居を舞台とし、我々の演劇やダンスに対する概念を良い意味で壊してくれる、これまでにはない全く新しい作品。今回は芸術監督であるダビデ・ダンゾンさんと、日本人パフォーマーの瀬川貴子さんにお話を伺った。

まず劇団CORPUSのコンセプトを教えてください。

ダビデ:今から20年前、CORPUSはダンサーであり振付師のシルヴィー・ブシャールと私が共同で設立しました。演劇学校で演劇を学んだ私は、言葉ではなく、体の動きに焦点を当て表現を行うフィジカルシアターやコメディに興味を持ち、特に20世紀の才能溢れた喜劇俳優であるチャップリン、バスター・キートン、そしてマルクス兄弟などからインスピレーションを受けました。

そんな私の演劇要素と共同設立者のシルヴィーが持つダンスの要素が全てミックスされたもの、それこそがCORPUSの生み出す作品なのです。そして私達の作品のもう一つの重要な要素、それは観客の皆様です。会場に来て客席にただ座って見るという、これまでの当たり前とされているスタイルを根底からひっくり返すような、観客達の新たな存在定義を見出せる作品を作りたいという思いでここまできました。

シュールさとユーモアが入り混じった新たな世界観 ©Jae Yang

瀬川さんが劇団CORPUSに入られた、その経緯を教えてください。

瀬川:私はまず日本でコンテンポラリーダンスを学んだ後、ヨーロッパでのダンサー経験を経て、カナダに渡りました。そして、知人からここのオーディションを受けてみたら?と勧められたのがCORPUSだったのです。ただその時はこの劇団がどのような作品をやっているのかなど全く知りませんでした。

一番初めのオーディションでは「自分の名前をジェスチャーのみで表現してください。」と言われ、私は一瞬にして「このカンパニーは普通のところとは違う」ということを理解しました。その次には「羊になりなさい」と言われ、頭の中は混乱しつつも、とにかく自分のベストを尽くしました。そして運よくその2週間後に合格通知の電話を受け取ったのです。

そうして出演が叶った『Les Moutons(ひつじ)』は、全てが羊になりきってとにかく無心でいる作業の連続で、とてもハードでしたね。同時に観客とのやりとりによって、毎回違う作品になることが私にとっては非常に新鮮で面白く、CORPUS、そしてこの作品との出会いがダンサーとして新たな次元へと導いてくれたと感じています。

これまでにも沢山のワールドツアーを行い、日本では東京や大阪などの大都市だけではなく、沖縄や仙台など様々な都市で公演されていると聞きました。

ダビデ:ありがたいことに多くのところから公演依頼をいただいています。一箇所で公演を行うと、今度は他の県からも声がかかり、そのような流れでここまできました。本当に素晴らしいことだと感謝しています。

瀬川:日本は私の故郷なので、そこで公演が出来るというのは、とても特別な思いが生まれますね。

家の各フロアで繰り広げられる奇妙なストーリー ©Jae Yang

日本の観客の反応は如何でしょうか?

ダビデ:私達のショーにとても関心を示してくれ、いつも温かい反応を返してくださいます。またシリアスと滑稽、奇妙さとコメディなどといった様々な要素を持つ私達の作品の良さをわかっていただけていると思います。

20周年記念公演となる、今回の新作『House Guests』について教えてください。

ダビデ:この『House Guests』では、私の家に一回につき20名のゲストを招き入れ、約1時間15分間、5名のパフォーマーらによってエンターテインメントが繰り広げられます。パフォーマーたちとのやりとりやダンス、家の中にあるものから驚きや発見を探していただければ嬉しいです。観客の皆様には自由に家の中を動き回っていただいけますし、パフォーマーとのやりとりに参加するかしないかは観客の皆様の自由です。ぜひ博物館のようなものだと思って、それらを楽しんでいただきたいです。

瀬川さんが『House Guests』で役を演じる際に最も大切にしていることは何ですか?

瀬川:今回の私の役は日本人として、日本の文化を皆さんにお届けすること。会場となるこのダビデの家で即興の稽古を始めた時に、過去の公演のポスターや着物など日本に関するものが沢山あり、そこからヒントを得て、次第に私のキャラクターが形成されていきました。この『House Guests』では芸者になって観客の方達と遊んだり、おもちゃを用いて日本の茶会をしたり、もちろん他のパフォーマーたちとのグループダンスも披露しますよ。

パフォーマーと観客によって生まれる化学反応を楽しめる ©Jae Yang

ダビデさんに質問です。この20年間を振り返ってみていかがでしたか?

ダビデ:この20年間は良い時もそうでない時も含めて、未知なる冒険の連続でした。これまでの公演を通して、沢山の素晴らしい人々や文化、土地と出会い、本当に幸運だったと思います。若い頃から願っていた自分のカンパニーを持ちたいという夢を実現させることができ、これからもその夢の続きを楽しみたいと考えています。

今後の展望を教えてください。

ダビデ:アーティストとして、これからも自分自身、そして人々を驚かせることをしていきます。様々なアーティストとのコラボレーションや新たなアイディアを追求し続けたいです。

瀬川:自分自身の手がける一つの作品として、歌舞伎とコンテンポラリーの融合を実現させたいです。実は今もう既に動き始めていて、来年もしくは2年後には完成できればと思います。現在私はオタワに拠点を置いているので、そちらで公演を行うとともに、自分のダンスコミュニティを築けたら嬉しいですね。それと同時に、このCORPUSでの活動も続けていきたいです。今回のようにトロントに数ヶ月滞在して稽古と公演を行うのは稀で、いつもは色々な場所を旅して回っているのですが、それはこのカンパニーの一番良い点だと思います。これからも大好きなCORPUSでパフォーマンスをし、日本を含め世界中を訪れたいです。

最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

ダビデ:ぜひ、この『House Guests』にお友達やご家族と一緒に来てください。そして私達のおもてなしを楽しんでください。きっと素敵な時間を過ごせると思いますよ。

瀬川:これまで見たことのないような面白いものになると思います。家のフロアごとで全く異なる物語が繰り広げられていて、自らパフォーマーたちと掛け合ったり、他の観客の方がパフォーマーたちと何かをしているのを観察してもきっと楽しめるはずです。トロントでこういったショーを行うカンパニーは珍しいので、皆さんぜひ見に来てください。


House Guests 公演情報

期間: 11月21日〜12月17日(火曜〜日曜)
住所: 8 Baden St
HP: corpus.ca
チケットはHPより購入可能。お問い合わせはinfo@corpus.caまで。

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