コールドブリューコーヒーを製造・販売している Hatch Beverage Company社長 Alfonso Tupazさん インタビュー

コールドブリューコーヒーをはじめ、すべての人が楽しめる飲料を求めて、新たな市場を開拓している革新者

トロントの北に位置するマーカムで高品質なコールドブリューコーヒーを製造・販売しているhatch。現在はトロント市内だけでなく、カルガリーやバンクーバーなどカナダ全土に販売エリアを拡大している注目のスタートアップ企業だ。創業者であるアルフォンソさんに、コールドブリューコーヒーの魅力やボトル入りコーヒーという新たなビジネスを始めた経緯、製品をつくるうえでのこだわりについて語ってもらった。

創業者アルフォンソ・テュパスさん

Q どうして一般的なのドリップコーヒーではなくコールドブリューコーヒーを製造しようと思ったのでしょうか?

A 6年前にアフリカで働いていた時に、インターネットでコールドブリューコーヒーの作り方を見つけたのがきっかけです。試しに作ってみると、とてもなめらかで美味しく、趣味のような形で作り始め、毎日夕方になると同僚たちと一緒に飲むようになりました。

2014年にビジネスプランを立て始めて、調査のためにドイツ、アフリカ、アジアなど世界中を訪れましたが、誰も我々がしようと考えていたような規模でのビジネスをしている人はいなかったので、思い切って投資することを決意しました。

現在この工場では一時間に6千本、8時間のシフトで考えると、約5万本のコーヒーを製造することができます。コールドブリューの製造規模としてはカナダで1位、北アメリカではトップ5を誇ります。

hatchのコールドブリューシリーズ

Q hatchを創業する前はどのような仕事をされていたのですか?

A 以前はナイジェリアにあるパッケージ製造会社で働いていました。当時の取引先はヨーロッパやアフリカなどで展開しているPepsiやHeinekenといった国際的大手一流企業たちでした。そこからさらに飲料業、瓶やラベル、ビールの缶の製造業の経験を経て、それらすべての経験が今のビジネスを始めるうえで役立っていると思います。

Q アイスコーヒーとコールドブリューコーヒーの違いは何ですか?

A 一般的なアイスコーヒーは熱湯でドリップした後、氷で冷やして作られます。一方、コールドブリューのコーヒーは最初から冷たい水でコーヒーを抽出しています。たしかに熱湯でドリップするのは短時間でできますし、コーヒーの香りも広がるので多くの人が親しみやすいですが、実はコーヒー豆の甘味は低い温度のほうが抽出しやすいのです。

香りの粒子は高い温度で早く出てきますが、同時に酸味も出やすくなります。そのうえ高温で入れたコーヒーを冷やすと化学構造が変化してしまいます。私たちの製品は冷水で24時間かけて作っているので、よりコーヒー豆から甘味を引き出すことができるのです。

時間をかけて抽出されたコールドブリューのコーヒーはすっきりとした甘みがあるのが大きな特徴です。またコールドブリューというだけではなく、ここでは特に生産者が見えるシングルオリジンコーヒーを提供することにこだわっています。

左:ビールを思わせるのどごしのナイトロコーヒー 中:水出しのティーも取り扱う 右:シングルオリジンコーヒーにこだわる

Q hatchのコーヒーは100%オーガニック、フェアトレードの豆を使用しているということですが、豆を選ぶときに一番大切にしていることは何ですか?

A 様々な農家や輸入業者を比較して豆を選ぶとき、その味や生産者など様々な要素が重要となります。コロンビアは5月と11月、スマトラは11月というように収穫の時期はそれぞれの産地で異なるので、それも考慮しなければいけません。

現在hatchのコールドブリューコーヒーで使っている豆に共通することはどれも高品質、そしてそれぞれのコーヒー豆にストーリーや歴史があるという点です。小さな農家や現地の農家と直接契約することによって、その農場で働く人をより支援しやすくなり、結果的に長期的な関係を築きやすくなると考えています。

Q トロントではあまりボトル入りのコーヒーを見かけませんが、どうしてボトルでコーヒーを販売しようと思いついたのですか?

A 実は、ボトル入りコーヒーのアイデアは日本の製品を見て思いついたものです。私は10年以上前に日本でバックパッカーをしたことがあるのですが、そのときに自動販売機で売られている缶コーヒーやペットボトル飲料を見て驚きました。

オフィスには日本の製品を含め、世界中から集めた缶コーヒーやボトル入りコーヒーをコレクションしています。hatchのボトルのラベルデザインは、我々自身が手がけており、シングルオリジンコーヒーの特色を活かせるように、シンプルかつ豆の産地のイメージが湧きやすいデザインにしています。

私たちのチームは5人だけなのですが、その小さなグループの中で私自身が製造から商品のデザイン、販売まで、全ての部分に関わるようにしています。

世界各国の飲料を研究

Q hatchという名前に込められた思いを教えてください。

A 名前の由来は、新しいアイデアを生み出して形にしたいという強い思いがあったので、パンドラの箱をあけるイメージでhatchという名前にしました。コーヒーの蓋を開けるときも、hatchという言葉を思い浮かべながら新たなものへの遭遇を体験してほしいという思いが込められています。

ロゴのデザインは、すべて小文字でかわいらしい印象を与えるようにしました。

Q hatchを経営するうえで大変だったことはありますか?

A スタートアップの小さな会社のため、スピードとタイミングには気を配りました。少人数ですべて自分たちだけで行うこともビジネスを成功させるための1つの鍵です。管理者が多いと決断が遅くなってしまいますが、チームが少ないとその分スムーズにビジネスを行えると考えています。

また、カーシェールやビーガンをはじめとする様々な認証をもらうことにもこだわっています。認証をもらうことによって、消費者に信頼性のある製品を作っていることを証明できるうえに、新たな取引先を作る上でも品質を保証する印になります。

製品だけでなく従業員の管理まで徹底的に厳しく審査され、それに合格しなければ認証をもらうことはできないため、1つの認証をもらうのにもとても時間がかかります。

しかし厳しく審査されれば、どこを改善すべきかはっきりとわかるので、長い目でみるとそれは会社が成長する上でとても重要なことだと考えています。スタートアップの会社は常に変化し、改善していくことが必要なのです。

Q hatchの今後を教えてください。

A 今後は、更に商品のバリエーションを増やしていきたいと考えています。ここカナダでは甘くてクリーミーなものが好まれるため、抹茶にココナッツやメープルを入れた飲み物やラテなどの商品を新しく作りました。

またナイトロコーヒーも手がけており、販売が出来るまであと少しのところまで来ています。製造ラインでコーヒー豆の焙煎、コールドブリューでの醸造、そしてボトル詰め、最後にラベルを貼って完成したものは、この後トロント内のカフェやレストランに出荷されたり、オンラインで購入してくれたお客様のところに届けられるのですが、この夏にはWhole Foodsとも契約を結び、出荷先の1つになりました。

また、もうすぐSobeysとも提携する予定です。hatchのコーヒーをさらに多くの人に楽しんでもらえると嬉しいです。

TORJA編集部スタッフ実録
hatch社のコーヒー体験&工場見学!

左:焙煎後は豆を寝かせる 中:旨味が凝縮され香り豊かなエスプレッソ 右:何度も試飲を重ねて最高の一杯を導き出す


今回、TORJA編集部は実際にhatch社のコーヒーが作られているという会社兼工場に足を運んだ。中に一歩足を踏み入れると、部屋にはエスプレッソマシーンやコーヒーを淹れるためのキットが並び、すぐそばにはカウンターが設置されている。

アルフォンソさんによると、ここでは二週間に一回、一般向けに少人数でコーヒーのテイスティングイベントやワークショップが行なわれているそうだ。このサービスではhatch社のコーヒーの味を知れるだけでなく、コーヒーそのものの知識をより深めることができるため非常に人気なのだという。この日、私たちはUn Regalo de Diosというニカラグアの農家から仕入れたコーヒー豆を使用したコーヒーをテイスティングさせてもらった。透き通ったとても綺麗な色をしており、すっきりとした優しい味わいで喉を通っていく。今まで飲んできたコーヒーとは全く違う、経験したことのない美味しさに編集部スタッフも驚きを隠せない。

コーヒーの種類や淹れ方のレクチャーをしてくれる


アルフォンソさんは、コーヒー豆の種類ごとで香調や味を念入りに調査し、焙煎時間や抽出時間を一秒単位で変えたり、水質の異なる水で試したり数多くの実験を重ねて最高の一杯を見つけ出すのだと教えてくれた。気の遠くなるような長いプロセスを経て、このhatch社のコーヒーが作られていることを学ぶと、なぜこんなにも美味しいコーヒーであるか容易に納得できた。

ぜひワークショップに参加しよう


その後は工場見学を体験。中にはコーヒーの焙煎のための機械や一定の温度に管理されたコールドブリュー用の機械などが並び、どのような製造ラインでhatch社のコーヒーが生まれているかを一目で見ることができた。hatch社のコーヒーを体験したい、実際に工場を見てみたいという方は、二週間に一度開かれるワークショップに是非参加してみてほしい。ワークショップのお知らせはFacebookで更新されている。メールにての予約申し込みが必要なので、まずはhatch社のFacebookをチェックしてみよう。またhatch社のコーヒーはWhole Foods Marketにて購入が可能なので、ぜひ一度皆さんに試していただきたい。


アルフォンソさんとビジネスアドバイザーの市田さん

HATCH BEVERAGE COMPANY LTD.
COFFEE LAB, ROASTERY AND BREWERY

802 Cochrane Dr.Markham
905-474-3555
HP: hatchcrafted.com
Facebook:facebook.com/hatchcrafted

※日系、日本向けのお問い合わせは市田嘉彦(info@hatchcrafted.com)まで。