親子で教育対談 池端友佳理さん&健人さん

親子で教育対談・息子(僕)は、こうして育ちました。 池端友佳理さん&健人さん
本誌コラムでもおなじみの池端ナーサリースクール園長の池端友佳理さん。今回はコラムにも登場している日系4世の息子の健人さんと、日本語教育を中心に、家庭内での教育環境について語っていただきました。

ikabata-family-02友佳理さん(以下:):実は、健人とはこれまであらためて教育について話し合ったことはありませんでした。家庭の中に当たり前に日本語が存在していて、「お母さんと話すときは日本語で話しなさい」と言ったこともないのですよ。息子と英語でつたないコミュニケーションをとっていたら、言いたいことも言えないし、伝えたいことも伝わらない。特に怒ったり、感情的に話すときには、感情を込めて自分の言葉で息子に伝えたいから、やはり日本語でなければと思ったのです。
健人は小さい頃から私とは日本語、主人とは英語で話しています。日本語については、赤ちゃんのときから毎日、絵本を見せて触らせてと、それは一生懸命に読み聞かせをしました。その影響か、健人はすごく本が好きになりましたし、表現も豊富になっておしゃべりに育ちました(笑)。
健人さん(以下:):お母さんと英語で話したということもなく、子供の頃から特に意識せずに日本語と英語を使い分けていましたね。

続いて、ご家庭での日本文化の継承について教えてください。
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池端さんご一家。 左から、健人さん(息子)
友佳理さん(母)/マークさん(父)

:言葉だけじゃなく、文化や習慣など、日本のことをそのまま子供たちに伝えたいという思いが健人、そしてナーサリーの子供たちに抱いてきた思いです。うちは主人も日系人なので、これまで受け継がれてきたものを、これからも受け継いでいきたいというのもありました。
ナーサリーは、ただ単に「日本語の話せる友達を健人に作ってあげたい」というから、子供たちをお預かりして、遊ばせていたというのが発端です。私が健人にやってあげたいなということは、他の親御さんも同様に、同じ日本人としてこんなことを子供たちにしてあげたいことだろうなと、それがナーサリーに反映されています。私が子供の頃に楽しかったことを、大きくなってから健人たちに、受け継いでいってもらえたらなという感じですね。健人も、いつも誰かがいてくれたから楽しかったようで、たまに私と親子二人とかだと「…つまんない!」なんて言ったり(笑)。毎日ナーサリーにいましたから、健人は息子でもあり、園児でもありますね(笑)。

進学先など、次のステップを決めるときには、家族で相談をしたりするのですか?

:相談というよりも本人がやりたいと思っていることを私たちに報告するという形ですね。私はこっちの学校のこともわからないし、高校のときなんかは通知簿見たかな?というほどにノータッチでした(笑)。人様に迷惑をかけないで、ちゃんと高校を卒業して、大学に行ってくれればいいかなと考えていましたね。

:僕は本当にマイペースで、たとえ誰かに反対されてもやりたいと思ったことを貫きます。事前にリサーチして、自分の興味あるものを、自分で勉強することができるという環境だったことは、とても楽でした。こうやってオープンだったから、「今こうやっているよ」と報告もしやすかったですね。隠すこともないし。

率直に、日本語を話せてよかったと思いますか?

:本当によかったなと思います。昨年は日本で医療ボランティアに行ってきました。これは、僕が日本語が話せるということもあって、受け入れ先も受け入れてくれたのだと思います。英語と日本語の両方が話せることで、日本文化の理解に役立つだけでなく、視野が広がりますよね。

:それに、習慣・文化、言葉が身に付いているから、言葉のコミュニケーションだけでなく、感覚がわかることで、その人たちにより近づくこともできますよね。

勉強が辛かったときのモチベーションはなんだったのですか?

:小さい頃から、とくに漢字を覚えるのが大っ嫌いで。補習校のレベルでの日本語の勉強、それに現地の学校の勉強や子供だったから遊びにも行きたくて、そのバランスが結構大変だったと思います。でも、日本の小学校で3週間、中学校で4週間と体験入学をさせてもらったことで、日本語を通してこんなに多くの人と繋がることができるのだということを感じ、さらに日本のおばあちゃんたちと話したいといった「人」によるモチベーションが大きかったですね。

健人さんの将来の目標はなんですか?

:将来は、こっちの日本人コミュニティの中で何かしたいなと考えています。とくにこっちの日本人が病院とかクリニックに行くと、医学英語が難しかったりするので、そこを僕が手伝うとか。そのためにも、日本語をもっと勉強して、楽に話せるようにしたいなと思っています。


池端 友佳理( いけばた・ゆかり)
京都出身。1990年に来加。伴侶は日系カナダ人三世、健人は一人息子。池端ナーサリースクールの園長を務める傍ら、TORJAでも執筆活動中。

池端 健人(いけばた・けんと)
1992年カナダ生まれカナダ育ちの日英バイリンガル。アイスホッケーを4歳から始め、コンペティティブチームでプレイ。その他空手、柔道、セーリング、ゴルフなどスポーツが好き。現在ヨーク大学でバイオ・メディカル・サイエンスを専攻中。