PASONA CANADA × TORJA 集中特別企画!カナダでキャリア・プロフェッショナルスキルを築き、働くススメ

日本とは大きく異なるカナダの就職・転職市場の仕組みや実態

海外就職をしたい!専門職でステップアップしたい!というこれからカナダ社会に出る意識高い若手人材におくる

Joy Haywood社長(左)・和田文枝さん(右)

Joy Haywood社長(左)・和田文枝さん(右)


カナダの労働市場では必ずといっていいほど職歴や経験値が重要視されている。カナダでこれからビジネスの世界に踏み出す人はそれまでに大学などでそれぞれ自分の進むべき業種・業態の専門知識やスキルを勉学とインターンなどを通して身につける。今回はパソナ・カナダで長年、就職・転職のプロフェッショナルとして多くの人材のサポートをしてきた和田文枝さんに、日本とカナダの労働市場の考え方や仕組みの違いを教えてもらいながら、若手人材のカナダにおけるキャリア形成やステップアップについて、お話を伺った。

■カナダのビジネスシーンにおける一般的な20代のキャリア形成について教えてください。

カナダでは、高校生の時からある程度のキャリア形成を頭に描いて、自分が進む大学等とその専攻科目を決めなければなりません。大学で何を専攻し、勉強したのかが大きく就職活動に影響し、その後のキャリアを左右するからです。エンジニアリングを勉強した学生は、エンジニアのキャリアへ進み、コンピューターサイエンスを勉強した学生はIT分野の職に就きます。この点は、日本と大きく違います。日本では、大学の専攻よりも学生のポテンシャルに重きを置いて新入社員を採用します。

入社後の研修が充実していることもあり、人材を育てる文化があります。そのため、文系の卒業生でもコンピュータープログラマーの職に就いたり、会計・経理職に就いたりします。そういった意味で、大学での専攻に関わらず幅広い仕事の機会があるのは日本だといえます。反対に高校の時からキャリア形成を念頭に大学を選択しないと就職が難しいのがカナダと言えます。女性活躍が進んでいるカナダでは、前述したことは男女に共有して言えます。

■カナダで働くとなると、まずワークパーミットや永住権などの長期の就労ビザがないと、就職というのは難しいと聞きました。実際はいかがでしょうか?

現在の法律の下では、その通りです。ビザを持っていない人を採用する際は、企業がスポンサーとなり就労ビザの申請・取得の手続きをしなければなりません。しかし、現在の厳しい法律の下では、企業が就労ビザの申請をしても通らないケースもあります。せっかく申請しても却下されるのであれば、企業としては初めから就労ビザを持っている候補者を優先して採用するようになります。そういった観点においては就労ビザを持っていた方が就職しやすいと言えます。

■さらにカナダの就職・転職市場では職歴・経験値が最重視されると聞きましたが、実際にはいかがでしょうか?

ここ2〜3年のカナダの平均失業率は7%前後ですが、20代の失業率を見ると13〜14%と2倍の数字になっていて、オンタリオ州はさらに高く約17%となっています。これには様々な要因が考えられますが、実務経験を持たない新卒者の就職が決まらず失業率を上げていることは明白です。インターネットで求人広告を見ると、エントリーレベルのポジションでさえ、応募条件に最低1〜2年の同職務経験が必要と書かれています。これでは、新卒の学生は、応募できる仕事さえないことになります。

こういった背景から大学では学生が在学中にインターンシップを行うことを積極的に奨励しています。毎年夏休みを利用して、3ヶ月間の職務経験を得るだけでも履歴書に記載できる経験となり、週10〜20時間働けるパートの仕事があれば、経験になるだけでなく継続力が高く評価され、就職活動にプラスに作用されます。

インターンシップの仕事内容は、出来れば専攻科目に関連した分野が望ましいですが、違う分野だとしても何らかの職務経験を得られればそこから派生するスキルを活かして仕事に応募出来ます。既卒者の場合は、経験をつけるためにボランティア活動をすることを勧めます。これも出来れば希望する職種と共通するボランティア内容が理想的ですが、違ったとしても「この活動・経験を通じてこういうスキルを学びました」と言うことができることが大切です。

和田文枝さん

和田文枝さん

■先にも触れて頂きましたが、20代の若年層の経歴は浅いものになりますが、高い意識をもつためにも、どのようなステップアップや目的を持つべきでしょうか。

経歴の長さに関わらず、目指すキャリアパスが自分の中にあれば、自然と次のステップアップや目標は見えてくると思います。
 
人事のキャリアを例に挙げてみましょう。人事のキャリアに進む人が皆、大学で人事を勉強したわけではありませんので、そういう方々は、人事のキャリアに進むと決意すると、人事の資格であるCHRP(Certified Human Resources Professional)に必要なコースを習得する人が多いです。恐らく最初に就けるポジションは、Human Resources AdministratorやHuman Resources Coordinatorと呼ばれ、人事の業務全般のアシスタント職です。

HR Assistantとして働いている間に様々な人事の分野に触れる機会を得ながら実務経験を積んでいくことになります。HR Assistantとして2〜3年勤務すると次に進むのは、HR Generalistというポジションです。Generalistになると多岐に渡る人事業務を効率よくこなしながら、人事業務の専門的な分野に深く触れることで、自分はこのままGeneralistとしてのキャリアを進みたいのか、スペシャリストとして専門性を高めたいのかが見えてくると思います。(スペシャリストというのは、教育研修、勤怠・給与管理、人事制度、人員配置、採用など人事分野内で特化した専門性を持つ職務。)

将来目指すのが例えばHR Managerだとすると、自分の今のポジション(立ち位置)と次に進むべきポジションを明確に把握できていれば、次にどんなコースを取りどんな実務経験を得なければならないのか、目標が見えてくると思います。HR AssistantからHR Generalistへ、次はHR Assistant Manager、 HR Manager、そしてDirector of HRなど、自分が進みたいキャリアパスを描くことでその時々の目標設定が出来るのです。

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■カナダのビジネスシーンにフォーカスした場合、知識や学歴があれば、キャリアアップに優位に働くでしょうか?

経験を重視するカナダでは知識や学歴だけでは希望する仕事に就くことは難しいです。また、経験があったとしてもそれが海外の経験では、高く評価されない傾向があります。「経験がないと採用されない」、でも「経験のない自分を企業が採用してくれないと、経験は得られない」と言ったジレンマは多くの新卒者や新移民者が感じていることです。同様にキャリア転向する時も同じ壁に直面します。これまで人事のキャリアを積んできた人が、マーケティングへキャリアチェンジを希望し、マーケティングの勉強を1年習得したとします。この場合も、マーケティングのコースを1年取ったとはいえ、経験がないとその分野での仕事に就くことは容易ではありません。

■カナダ市場で特に日系企業への就職・転職に強いパソナさんですが、 2〜3年前はオープンワークパーミットを持っている方の求人なども増加傾向と聞きましたが、近年の移民法の改正後の傾向はいかがでしょうか?

オープンワークパーミットは、中長期的な就労ビザですが、永住権と違い有効期限があります。現在のエクスプレスエントリーシステムが施行される前までは、オープンワークで1年の職務経験があると、高い確率で永住権が取得できたようです。そのため、企業側は、2~3年のオープンワークを持っている候補者も正社員の対象として検討し、採用してきました。採用後、オープンワークの有効期限内に永住権を取得できたからです。

しかし、エクスプレスエントリーシステムが導入されてからは、オープンワークパーミットを持ちカナダの職歴を得ても、永住権を取得できず、ビザの期限が満了で退社せざるをえないというケースが増えました。企業としては、正社員として採用したのに2~3年で退職されてしまうことになります。このような状況からエクスプレスエントリーが施行されてからは、オープンワークパーミットを所持している方の求人数は、減ってしまいました。

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■数多くの就職・転職のサポートを手掛けている和田さんが接してきたケースで、日本人若手女性のカナダでのキャリアアップやプロフェッショナルな職種への就職において、どのようなケースがありましたか?

①York UniversityでPolitical Scienceを専攻し卒業後に日系のメーカーにBusiness Planning Coordinatorとして就職した女性。日本での職務経験はない方でした。仕事内容は主にカナダ市場の営業動向を見ながら製品の調達に携わる仕事です。入社当初はアシスタント業務のみでしたが、徐々に力を発揮し、同部のアシスタントマネージャーまで昇格。現在は海外の生産工場と直接生産スケジュールや納期について交渉する立場にあり、社内では欠かせない人材となっています。仕事をしながらカレッジでマーケティングのコースも複数習得されていました。

②結婚を機に20代後半でカナダに移民し、日系製造メーカーで社長秘書兼事務職として採用された女性。最初は秘書業務と総務・人事全般のアシスタントとして勤めていましたが、後に人事業務に特化するようになり、現在では採用から新人研修、人事評価や人事制度の見直しなど人事のプロとしてのキャリアパスを進んでいらっしゃいます。彼女も仕事をしながら、人事のセミナーに参加したり、専門コースを受講し、スキルアップに励んでいます。

■特集に合わせて若手日本人女性について意見をください。ここカナダの就職・転職市場と時代や社会の変化に合わせて、彼女達がビジネスシーンでステップアップや活躍をしていくためには、どのような要素が求められていくでしょうか?

カナダの労働市場においても、男女の差やグラスシーリングが全くないわけではありません。まだまだ改善されるべきだと思います。しかし、「男性と対等に」を目指していては、男性以上にはなれません。これから活躍していく女性は、「女性だから持つ発想」、「女性の視点」、「女性の強み」といった“女性ならでは”を武器とした、リーダーシップが取れる女性だと思っています。

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