トロントの居酒屋風雲児 #11 「名前の由来」
いつの間にか葉が色付き、紅葉を楽しむ暇もないくらいあっという間に過ぎていくトロントの秋ですが、カナダの広大さ、自然の多さを再認識させられる良い時期ですね。食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋などと日本では色々と言われる秋ですが、皆さんの秋はどんな秋でしょうか。
気付けば私の息子もあっという間に2歳を迎え、少しずつ話すようになってきて意思の疎通が取れ始めてきたので、とても可愛くて楽しい時期ですが、毎日大暴れしているので大変な時期なのかもしれません。私の今年の秋は子供を追いかけ回す秋になりそうです。
お客様からよく、「お店の名前の意味は何ですか?」「どうしてGuuという名前なのですか?」という質問を受けます。会長から聞いた答えは二つあって、お腹が空くとお腹が「ぐぅ〜」となるからお腹が空いたらGuuに行こうと思ってもらうため。もう一つは美味しい、雰囲気がいい、goodな店と言って頂けるようにとGuu is guuu’d!!という風に聞いています。私はもうGuuで働いて10年以上経つので、Guuという響きが普通ですが、会長が20年以上前に店を開ける時には、きっと他の名前の候補もあったと思いますし、Guuという名前にまだしっくりしていなかったかもしれません。
もし私も今回のように暖簾分けをさせてもらってGuuとして自分の店を開けていなかったら何という名前の店をオープンしていたのだろうとたまに思う事があります。また次の店を開ける時に違う業態、違う名前の店を開ける場合はどうしようと考える事もあります。居酒屋マサル?ラーメンオガちゃん亭?正直どれもしっくりきません。。息子の名前をつける時も色々と悩みましたが、もしかしたらそれ以上に悩むかもしれません。
やはり読みやすい、呼びやすい、覚えやすい名前がいいのかなと思いますが、まだ使われていない新しい名前を考えるのは決して簡単な事ではありません。しかしどの店主も商売繁盛するように、長い間お客様に愛されるような名前を付けているはずです。そういった思いが詰まった名前なんだろうなと思って店の名前を見ていると色々な名前がありますね。
飲食店だけでなく世界的に有名なNIKEの社名はギリシャ神話に登場する勝利の女神「ニーケー」に由来するとか、Starbucksは小説『白鯨』に登場する一等航海士スターバックスに由来され、ロゴに描かれているのはギリシャ神話に登場する海の怪獣だったりと昔の神話から社名をつけている会社もあります。
SONYは音という意味の「Sonic」の語源となったラテン語の「SONUS」と坊やという意味の英語「SONNY」からきていたり、Audiは創始者の苗字「ホルヒ」がドイツ語で「開け!」という意味でこれをラテン語に訳した言葉だそうで、ラテン語を起源にしている社名も多いようです。YAMAHAやHONDAなど創業者の名前やマイクロソフト、ソフトバンクなど単語の組み合わせの社名も多いですね。
しかしこのような有名企業も創業時は小さい会社からのスタートのはずでその時には社名にしっくりきていなかったかもしれません。どの企業も名前だけで有名になっただけでなく、製品やサービスが素晴らしいから世界的に有名になったはずです。会社を動かす一人ひとりの社員の毎日の努力と頑張りが企業を成功させたはずです。私達も少しでも多くのお客様から愛される店、ブランドになるように、毎日頑張らなくてはと思う毎日です。
小笠原 克 Ogasawara Masaru
日本ではファッションブランドGapでアルバイトからマネージャーまで7年間勤務、新規店の立ち上げや日本売り上げNo.1店舗での管理職を経験し、2005年にワーキングホリデーでバンクーバーに渡加。ファッション業界からの転身となるが、調理師免許保持や両親の飲食関係の仕事の影響などもあり、大人気居酒屋Guuでワークビザを取得し男前店で副店長を務める。その後2009年トロントでのFC立ち上げ総責任者に任命されトロントへ。寒い冬でも毎日行列のできる大繁盛店となり、トロントの日本食パイオニアとなる。2014年にはKinkaFamily Inc.の副社長に就任し、居酒屋の他、ラーメン、寿司、焼き鳥などのブランドを管理、2015年10月末GuuとのFC契約終了とともに独立・起業。現在は世界で皆に愛される飲食店を開業できるようにと奮闘中。