夢を掴め!カナダで働く。
カナダで働くことを夢に抱く日本人留学生は多いだろう。ここトロントには北米や欧州の企業で活躍する日本人がたくさんいます。環境や文化の違い、言葉の問題、様々な壁が立ちふさがりますが、きっとチャンスと可能性も無限なはず。先輩お二人にカナダで働くまでの思いやプロセスを伺いました。
好きなことが与えてくれたチャンスとかけがえのないものへの思い
adidas Sport Performance Store Toronto store team leader/VM leader(Visual Merchandising)兼務
海上 誠さん
adidas Sport Performance Store Torontoストアチームリーダー、VMリーダーを務める海上 誠さん。トロントでは唯一の日本人社員だ。adidas=サッカーという印象を持つ方も多いかもしれないが、誠さんも大のサッカー好き。トロントで活動する日系サッカーチームJFT(P.23参照)の副代表も務めている。
文化服装学院を卒業後、恩師の助言や海外で暮らす友人が多かったこともあり自身も海外へ行く事を決意し、ワーキングホリデーでトロントにやって来る。語学学校を卒業し、トロント生活がちょうど半年たったころに友人の紹介でMTBeautyという、毛皮を扱い様々な製品を造る会社にて仕事を始めた。専門的な技術を要するこの仕事での縫製や、細かくカットしたりなど専門学校以来のモノ作り、ファッションの世界が楽しく、それが再びできることがとても嬉しかったそう。時が経つにつれワーキングホリデーのたった半年間では足りない、もっと毛皮の世界を知りたい気持ちが強まりオーナーにワークビザの申請をお願いする。オーナーは誠さんの真面目な働きぶりに、それを快く引き受けてくれた。それから計4年勤務し、その間に移民権申請を行った。
その後オープンワークビザを取得し、adidasのストアスタッフに応募、見事合格する。誠さんは店内のショーウィンドウのディスプレイデザインなども手がけており、気さくで優しい人柄から他のスタッフからも大人気の存在だ。
誠さんにとって欠かせない存在なのがJFT。2006年に誠さんを含む日本人、日系カナダ人と一緒に結成以来、今では100人近くの選手が所属する大きなチームとなった。「小学校からサッカーをやってきましたが、トロントに来てからサッカーが楽しいと心から思えるようになりました。日本では部活が厳しくて、イヤイヤやってた時期もありましたね(笑)」
サッカー選手としてもプレイし、JFTサッカースクールのコーチとしても活躍する誠さん。「最初は1年だけトロントで暮らしてみようという気持ちで訪れましたが、JFTを見守り続けたい、これまで過ごしたトロントでの6年間を大切にしたい、色んな思いが重なり移民を決意しました。大人になった今でも、サッカーに時間が持てることを幸せに思います。日本にいたらこうはいかないかなって。サッカーを通してかけがえのない仲間とも出会えました。」
誠さんの次の目標はadidasの社員としてワールドカップに関わる仕事に就くこと。2014年のブラジル大会で、誠さんがスタッフとして参加している姿をここトロントから楽しみにしていたい。
カナダで働きたい方々へ
当たり前のことですが、カナダは日本とは違います。でもそれを受け入れきれない日本人が多くいるのも事実です。人との付き合い方、会話や仕事のテンポ、リズムが日本とは異なることが多いので、トロントの社会に適応できる人間になることが大切だと思います。
自身を知ることで得れる自信、見えてくる今自分がするべきこと
Toronto Marriott Downtown Eaton Centre Hotel Banquet Department / Superviser
浅野 曜平さん
Toronto Marriott Downtown Eaton Centre Hotelで企業のミーティングや学会、イベントなどの統括をする浅野曜平さん。イベントコーディネーターからもらう企画書を元に、当日までの準備や当日のスケジュールなど全てを管理する。1日に多い日は約10件も予約があり、その規模は十数名から数百名と様々だ。
曜平さんはトロントにはワーキングホリデーで訪れ、今年で滞在7年目になる。日本でもホテル業界で勤務していたが、他国の文化や常識とはどういうものか、海外でも活躍してみたい、という子供の頃から抱いていた野望を叶えようとトロントに来る事を選ぶ。
トロントに来てから半年が過ぎた頃、自分のトロント生活で何か結果を残したい気持ちが湧き上がりカレッジに行くことを選択。過去に経験を持つホスピタリティを専攻した。インターンシップに向けトロント市内のホテルの面接を受けた際、現在働くMarriottのポリシーに感銘を受ける。他のホテルも全て合格していたが、曜平さんは迷わずMarriottを選んだ。Marriottの持つ”Open door Policy”。その名の通りオフィスのドアは開かれ上司と部下の関係の境界線を最小限にしている。また、上司は部下を部下と思わず、対等に接する。上司は常に心を開き、問題が起こった際などにはいつでも耳を傾ける。他のホテルにはないそのスタイルに曜平さんは驚き、惚れ込んだ。自身も部下とは対等に、同じ目線で接していると語る。「お客様第一と考えるホテルが多いですが、Marriottはまず従業員が幸せに働ける環境を作ることを目指しています。そうすると自然とお客様にも満足して頂けるサービスができるんです。」
インターンシップを経てホテルからオファーをもらいそのまま入社し、3年後にはスーパーバイザーに就任。カレッジのオープンワークビザを持つ間に移民ビザを申請し、取得した。スーパーバイザーとしては2年目になる曜平さん。「就任当時は200名規模の案件でも自身が追いつかず、いっぱいいっぱいでした(笑) 現在は500名規模の案件に対しても適切な対応ができるようになったかなと思えます。仲間である従業員と共に最高のサービスを創りあげ、そしてお客様に喜んで頂けることで私も喜びを感じますね。」
カメラやビリヤード、マラソンなど多くの趣味を持つ曜平さん。何事にも常に探究心を持ち、遊びも仕事も趣味も、マットーして楽しむことを大切にしている。趣味も仕事も自分と戦い、どうやったら乗り越えられるかを考えるのが大好きだと言う。そうすると自分の位置や弱点がわかり、自信へと繋がるのだそう。
次の目標はマネージャーへの昇格。自分自身を理解している曜平さんからは、必ず達成すると思わせる不思議な力が感じられた。
カナダで働きたい方々へ
大事なのは常にショートターム、ロングタームの目標を持つ事。そして自身を知る事。自身の強さ、弱さを理解する事によって、自然に正しい自信を持つ事ができ、目標に辿り着くには今、何をすべきなのが観えてくると思います。謙遜も大事ですが、海外では自分に自信を持つ事。失敗を恐れない事が大切です。自分を理解した上でしっかり自己アピールをすることでSuccessful Careerが観えてくると思います。